第797話 戦後処理-1!
【浄化】の作業を終えると、シロが戻って来た。
「御苦労さん」
「いえ、私は何もしていませんので……」
「シロが、ルーカスたちの護衛にいるだけで安心出来た。戦いにも集中することが出来たから、何もしていないわけじゃないぞ」
「確かにそうですが……」
「シロは、何代か前の神の眷属だったんだよな?」
「はい。エリーヌ様の四代前の神である『ヒイラギ』様の眷属でした」
「シロの知っている時代からの話でも聞かせてくれるか?」
「分かりました」
俺は昔にも同じようなことがあったのかを確認する為に、シロから昔の話を聞くことにした。
「それは間違いないんだよな?」
「はい。クロさんから聞いたので、間違いないと思います」
話を途中で止めて、クロに連絡を取り確認する。
(はい。シロの言う通りですが、何か問題でもありましたでしょうか?)
(いや、確認だけだ。それより、魔物の動きはどうだ?)
(魔物たちも自分の住処へと戻って行ったようです。脅威となる魔物は確認出来ません)
(そうか。引き続き頼む)
(承知致しました)
シロと会話を再開しようとした瞬間、【神の対話】が発動する。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
目の前には、神妙な面持ちのモクレンとエリーヌがいる。
「先程は、連絡に応じることが出来ず申し訳ありませんでした」
「出れない事情でもあったのですか?」
俺の質問に、モクレンは少し間をおいて答えた。
「こちらの事情としか、お答え出来ません」
「……そうですか。それより、神であるガルプがエクシズに出現したことに対しての説明をお願い致します」
「申し訳無いのですが、その件についてもお答えすることは出来ません」
「……都合の悪いことは話せないということでしょうか?」
「申し訳ありませんが、お答えすることは出来ません」
答える気が無いのか、答えることが出来ないのかが、モクレンの表情からは読み取れない。
隣のエリーヌは、俺とモクレンの緊張した雰囲気に何も喋れないようだ。
「それは、上級神のアデム様が絡んでいるからですか⁉」
この言葉にモクレンの表情が一瞬変わった。
「なんのことでしょうか?」
「現在の神は、そこのエリーヌ。その前の神はガルプ。そのガルプの前の神がアデム様ですよね。これはアデム様の前の神であったヒイラギ様の眷属である、シロから聞いております」
「……そうですか」
モクレンは、俺への回答を考えているようだ。
「確かに、ガルプの前任神はアデム様です。それが、どうしたのでしょうか?」
「……」
あくまでも、白を切り通すつもりのようだ。
「アデム様は、今回の件に絡んでいないということですか?」
「それに関しても、お答えすることが出来ません」
モクレンは表情を変えることなく、俺の問いに答える。
神とはいえ、ここまで黙秘を貫かれると、エクシズで命を落とした人たちを馬鹿にされた気分になり、怒りの感情が芽生え始めた。
「もう、いいですよ。これ以上、隠すことは猜疑心を抱かせてしまいます」
「ヒイラギ様!」
モクレンの後ろから、一人の男性が姿を現した。
「タクトよ、初めまして。私は上級神のヒイラギと申します」
「タクトです。シロ……ヒイラギ様の眷属であったエターナルキャットには、助けられております」
「そうですか。あの子は元気ですか?」
「はい」
シロのことを話すと、ヒイラギは嬉しそうに笑った。
「世間話は、それくらいにしておきましょう。今回の件は、我ら神の失態です。タクトには随分と迷惑を掛けてしまい、申し訳ないと思っております」
「詳しく説明して頂けますか?」
「そうですね、説明をしないと納得してもらえないでしょうしね」
「納得出来るかは別ですが、説明頂けるのですか?」
「はい。私が説明致しましょう」
「ヒイラギ様‼」
「モクレン、いいのです。彼には聞く権利があります」
感情をあまり表に出さないモクレンが叫ぶと、ヒイラギは冷静にモクレンを抑止する。
「では、説明しましょう」
ヒイラギが説明を始めた。
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