第423話 再会!

「ここは、ゴンド村ではないか」


 ゴンド村に着いたルーカスが何故、ゴンド村に来させられたのか疑問のようだ。

 ゾリアスが、ルーカス達を迎え入れて、新しく出来た俺の家の一階に案内をした。


「以前に訪れた時と比べて、随分と雰囲気が変わったの」

「あぁ、村の区画整理中らしいからな」

「そうか、ところで我らを、ここに呼んだ理由は何だ?」

「それは、今から話す。」


 そう言うと、二階に向かい「降りてきて、いいぞ」と大きな声で叫ぶ。

 俺の声に従い、二階からロキが降りてくる。

 申し訳なさそうにしている。


「……ロキか」

「国王様。申し訳御座いません」


 ロキはルーカスの前まで来ると跪き、ルーカスに謝罪をする。


「タクト、どういうことだ」


 俺は、ルーカス達にロキの身体から魔素を取り除いた事と、闇落ちした理由がガルプツーの仕業によるものだと説明をした。


「闇落ちしたのは、私自身の心の弱さにつけこまれたのが原因です」

「国王へ死んで謝罪しようとしていたのを、俺の一存で生かした。虚偽の報告も俺の判断だ。罰するなら俺だけにしてくれ」


 ロキが生きていた事が余程嬉しかったのだろう。

 死んだと報告して泣いていたイース達が、悲しみの涙とは違う、喜びの涙を流していた。


「護衛三人衆のロキは先の戦いで、タクトに殺された。今から話す事は余の独り言だ」


 ルーカスは、目の前のロキに向かい独り言だと言い話し始めた。


「ロキ。今を持って護衛三人衆の任から解く事を命じる。今迄、護衛三人衆の任、大儀であった。御主には余を含め、王族皆が感謝しておる。……本当に、感謝する」

「……」


 ロキは微動だにせず、下を向いたままルーカスの言葉を聞いていた。


「任を外れたとしても、余達と仲間なのは変わりないことだけは、忘れないで欲しい」


 ルーカスは跪き、ロキの顔と同じ位置にした。


「こちらを見よ」


 ルーカスが、そう言うとロキは目線をルーカスに合わせる。


「本当に大儀であった。今回の件、気に病むことなく、胸を張って生きてくれ」

「勿体無きお言葉」


 ロキは大粒の涙を流していた。

 それを見ていた者達皆が、同じように涙を流す。

 俺は感動はしているが何故か、涙が出ない。

 ルーカスは立ち上がると、俺の方を向く。


「タクト。御主の判断、本当に感謝をする。感謝こそあれ、懲罰など以ての外だ」


 俺は笑顔で返す。


「ゾリアス。暫くはこの村で、ロキを面倒見てやってくれぬか?」

「承知致しました。ロキ殿さえよければ、問題御座いません」


 闇落ちした鬼人である灰鬼人が、暮らして行くのには厳しい世の中だ。

 この村であれば、普通に生活が出来ると判断したルーカスの優しさなのだろう。


「国王様。ロキの名を使うと後々、面倒になると思うので改名をした方が良いかと」


 ターセルが、ルーカスに提言する。


「……確かにそうだな。ロキ、今後はロキを名乗る事を禁ずるが良いか?」

「国王様の意に従います」

「そうだな……今後はローズルと名乗るが良い」


 ロキはローズルと言う名を、ルーカスから授かる。


「ユキノも世話になったんだから、きちんと礼を言え」


 俺はユキノに直接、ローズル(ロキ)に向かい、礼をするように言う。

 俺の言葉で、ユキノより先にイースが礼を言い、ユキノとカルアに、ターセルと続く。

 アスランやヤヨイには後日、正式に伝えてゴンド村まで礼を言わせると、ルーカスが俺に言ってきた。


「タクト~!」

「師匠~!」


 上から、アルとネロが下りてきた。


「全然、来ないから暇だったのだ。遊ぶぞ」

「そうなの~、遊ぶの~」


 遊ぶ事しか頭に無いのか……。


「悪いが、すぐに戻る。これで、暫く遊んでいろ」


 俺はアルにトランプを渡す。


「なんじゃ、これは?」


 時間が無いので、ババ抜きを教える。

 なかなか理解しないので、シロに理解出来たかと聞くと、理解したというのでアル達に教えるよう頼む。

 スキルを使う事は禁止だと伝えておく。


「これだと、俺も負けるかも知れないからな」


 この言葉で、アルとネロは俄然、やる気を出す。

 シロの手を引っ張り、二階へと上がっていった。


「相変わらず、騒がしいの……」

「まぁな。一応、ここの三階が俺の部屋だ」

「御主、此処にも家を構えたのか?」

「あぁ、二階はアルやネロと、シロとクロの部屋がある」

「魔王二人と同居するのか?」

「気が付いたら、こうなっていた。特に問題も無いしな」


 嘘は言っていない、本当の事だ。


「今度、きちんと部屋を見せる。まだ何も無いし、ユキノにも見せていない」

「御主は、ここに住むのか?」

「此処が一番安全だと思うし、俺自体が、家に余り居ないので、俺の代わりにユキノを守ってくれる奴が居る所の方が安心だ」

「確かに、魔王二人にドラゴンやらが居れば、完全な警備体制だが……」


 ルーカスからしたら複雑な感情なのだろう。

 そういえば、ユキノの事を正式に話をしていない事に気が付く。

 改めて話そうとすると、ターセルに大臣から昼食の準備が出来たと、連絡が入る。

 仕方が無いので、オーフェン帝国に戻る事にした。

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