第164話 スラムの解体!
マリー達に、リベラ達を紹介する。
「分かりました」
マリーは慣れてしまったのか、諦めた表情だ。
「申し訳ございません」
リベラが頭を下げると、マリーは慌てる。
「違うのよ! タクトの無茶な行動に呆れているだけだから」
「マリーは怖いから気をつけろよ」
「タクト!」
マリーの叫び声に、ザックとタイラーが背筋を伸ばした。
学習能力はあるようだな。
「ライラです。 宜しくね」
「ザックです」
「タイラーです」
……誰を見ても緊張するようになっているな。
「ライラは、一応客人だ。 狐人族の次期頭首候補だからな」
ライラはこの紹介が不満なようだ。
しかし、ザックとタイラーは再度見た目で判断してはダメだと思ったに違いない。
「全員悪いが、少し付き合ってくれるか?」
全員を連れ出して、スラム跡地に行く。
スラム全体に【結界】を張る。
俺のレベルだとジーク全体に【結界】が張れる事が分かっていた。
ネロとの戦闘のおかげだ。
その【結界】に【隠蔽】を施す。
驚いているライラに解体中に、飛散物等で怪我をする可能性もあるので安全確保の為、マリー達に【結界】を張るように頼む。
シロとクロを呼び、解体作業を始める。
俺が、家に【解体】を掛けてから、クロに物理的攻撃で材料を破壊してもらい、シロの魔法でさらに細かくして幾つかの山にする。
廃材等は【アイテムボックス】にしまった。
時間にして、十分程度だ。
【結界】を張ったままにして、『四葉商会の土地』と看板を一メートル毎に立てる。
ライラに、マリー達の【結界】を解くように言う。
「ここが、俺達の新しい土地だ!」
自慢げに皆に報告するが、解体作業の衝撃の方が大きいようでリアクションがいまいちだった。
喜んでくれると思っていたのに……
「土地の広さ半端ないわね。 半分売ると言っても……」
「あぁ、この場所をどう使うかは、皆で相談して決めるつもりだ」
「まだ、先の話でしょ?」
「近い将来の話だ」
「……分かったわ」
マリーは何を言っても無駄なのは知っているので、それ以上は言ってこなかった。
「自分のいた場所が無くなるのはショックだったか?」
リベラ達に聞いてみる。
「別に良い思い出がある所でもありません、逆にあると思い出してしまうので無くなった方が良いですね」
「……そうか」
聞こえない様にユイにも聞くが、同じ様に良い思い出は無いので、壊してくれた事を感謝された。
【結界】と【隠蔽】を解くと、通行人が何が起こったか分からず驚いていた。
ただ、四葉商会が凄いという印象は残った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝から、街は大騒ぎだった。
昨日までスラムだった場所が、一夜にして更地になっていたからだ。
エイジンからも取材の連絡があったが、答えられる事は無いので断った。
面白可笑しく記事にしていいかと聞かれたので、四葉商会のイメージが良くなるのであれば書いてもいいと許可をした。
シキブ達からも、何故か文句を言われていつもの如く変人扱いされる。
リロイからも、驚きの連絡が入った。
……面倒臭いな。
マリーもお客から、色々聞かれているようで四苦八苦していた。
フランも同様だろう。
とりあえず、「別の者が対応しているの分からない」で通すように言っておいた。
あとで、お叱りを受けるだろうが仕方ない。
シロとクロには、大きいサイズの衣装作りをとりあえず依頼した。
マリーの名簿から住所を確認して、【鑑定眼】でサイズ確認した。
三人共に共用出来るサイズでは無いので、全てオーダーになる。
エマには、出来る所から刺繍を施してもらう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます