第100話 乙女の覚悟!
夜になり、窓を開けておくと約束通り、俺の宿にニーナが飛んでやって来た。
「腹減っているだろう、存分に吸っていいぞ」
「こんなこと言う人間族、初めてですわ」
「さあ、気にせずにどんどん吸っていいぞ」
「何故か、サキュバスとしてのプライドを、へし折られた気がしますわ……」
なんだかんだ言いながらも、俺のMPを吸っていく。
ニーナの腹ごしらえも終わったので、本題に入ることにした。
まず、『魔力封じの指輪』を出して説明をする。
必要は無いが一応、【複製】で予備は作成済だ。
一度つけてしまえば、一生魔力が弱いままか、指を切って魔力を回復させるかの2択になる。
切られた指は戻らないと伝える。
説明を終え、リロイから預かった手紙をニーナに渡す。
中身は当然見ていないが、書いていたリロイと手紙を読んでいるニーナを見ていると、内容は大体検討は付く。
何回も、読み返している。
指で涙を拭くと、俺の方を向く。
「指輪をするわ!」
決心した様子だ。
「ただし明日、あの人と会う際に、一緒に連れて行って欲しいの」
「なんでだ?」
「……もし、そこで気付いて貰えなければ、それまでと思って諦めるわ」
「けど、お前魔力無くなるんだぞ」
「えぇ、そうね。 それも運命だと思って受け入れるわ」
かなり悩んで決めたのだろう。
リロイの気持ちが【誘惑】のスキルによるものであれば、魔力の無くなったニーナには気づいてもらえない。
所詮はスキル発動での、偽りの恋心ということになる。
本当にニーナを愛しているのであれば、リロイの言う直感で気付くだろう。
ニーナの種族や、今迄の人生全てをリセットする勇気は称賛に値する。
「もし、行くところが無かったら、俺が紹介する村で暮らすといい」
「ありがとう、優しいのね」
「ただ、その前にこの街での騒動については説明して貰う義務があるけどいいか?」
「それは仕方ないわね。 不本意とはいえ、私が起こしたことだし……」
ニーナは俺の前で指輪を嵌める。
左手の薬指に嵌めた。
……偶然か?
指輪は、ニーナの指の太さにハマるサイズに変化した。
「どうだ?」
「殆ど魔力が無くなった感じね。 人族には変化可能だけど、サキュバスのスキルは使えないわね」
「そうか、俺は別の所で寝るから、今日はここで休んでいけ。 明日の朝、一緒に連れて行ってやるから」
「ありがとう。 けど、この服装でいいの?」
たしかに派手だ。
しかし、店は閉まっているし……
「御主人様、私がリメイクしましょうか?」
シロ、ナイス!
「頼む、明日の朝までに間に合うか?」
「大丈夫です」
「明日は、シロも連れて行くから」
「はい」
今後の事に不安もあったので、ニーナと
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