第94話 俺は食料!

「そもそも魔族と人族なんだから、恋しても進展ないだろう?」


 ニーナに、現実を突きつけてみる。


「それは、そうなんだけど……姿も似てるし何とかなるかなって」

「いや、人の姿してもサキュバスのスキル発動している限り無理だろう!」

「御主人様!」


 シロが空間から出て来た。

 ニーナは驚いている。


「ん、どうした?」

「いい方法がありますよ」


 スキル【誘惑】を使用しないようにするには、魔力を抑えれば良い。

 但し、他のスキルも使えなくなるし『MP』での食事も出来なくなるので、人族と同じ様に食べ物から栄養を吸収するしかない。

 つまり、見た目は魔人でも魔人でなくなるということだ。


「つまり、魔人を捨てる覚悟があれば、今の状況は打開出来るという事か」


 ニーナには、かなりリスクが高い。


 リロイと話したいだけで、今までの生活や種族全て捨てる覚悟が必要という事だ。

 ニーナは考え込んでいる。


 俺はその間にステータスでスキルを確認して、魔力を抑え込むスキルを探してみる。

 ……当然、そんなスキル無い。

 魔物のスキルなら、出会わないと習得出来ない。

 スキルポイント多すぎると、俺が死ぬ可能性あるし難しいな。


「御主人様、スキルでは無くてアイテムですよ」

「アイテム?」

「はい、迷いの森でリラ様から依頼の際に、不老不死の者から奪った指輪で、可能では無いでしょうか?」

「そんなのあったか?」


 あまり、記憶が無い。

 とりあえず、アイテムボックスに手を突っ込んで、それらしい物を取り出す。

 取り出した指輪を見て思い出した。

 シロが、拾っておいた方がいいと言った『封魔具』の指輪だ。


「シロ、凄い記憶力だな!」

「ありがとうございます」


 【鑑定眼】で指輪を見るが、やはりレベルが低いのか全て分からない。

 【全知全能】に聞いたが、質問が明確でない為、回答が出来ないそうだ。


 以前に、カンナが【鑑定眼】のレベルが同じ位と言ってくれたが、あれはお世辞だと思う。

 明日にでもカンナに、鑑定してもらおう。


 考え込むニーナに、結論を出すのはすぐでなくて良い。

 しかし、『MP』が必要なら俺から奪い、他から奪うなと伝える。


「そんなんじゃあ、すぐにお腹すいちゃうじゃないの」

「試しに、一回奪ってみろ!」


 俺の胸に手を当てて、『MP』を吸い取る。

 自動回復しているし、MP値も高いので普通の四倍程度は吸える筈だ。


「もうダメ、お腹一杯。 あなた本当に人間族なの?」

「そうだ。 とりあえず明日の夜まで大人しくしていてくれ。 明日の夜に、この宿でもう一度会おう」

「分かったわ」

「他の奴を襲ったら、分かっているよな!」

「えぇ、そんなことはしないわよ。 まだ死にたくないもの」


 窓から外に飛び出すと闇に消えていった。


 俺って、物凄く優秀じゃないか!

 一日目にしてこの成果。

 仲間が優秀だと、本当に助かるよな!

 神があれでも……

 そういえば、最近連絡していないな。

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