第84話 魔王の実態!

「駄目だわ。 もう私の理解を超えた話になっている……」


 シキブが諦めモードになっている。

 ムラサキ達は、御通夜モードだ。

 ローラのみが、楽しそうにしている。


「それで、どうしたらいい?」


 俺は、これからの事をシキブに尋ねる。

 暫く考えてから深刻な顔で、


「魔王の件は、口外禁止とします。 なんかあれば、タクトが責任を取るという事になるけどいい?」

「あぁ、それで構わない」

「皆も分かりましたね!」


 その場にいた全員に約束させた。

 ローラはかなり不満そうだが、俺がそのうち研究に協力出来れば協力してやると言うと、すぐに了承した。


「しかし、あのステータスを持った相手にどうしたら勝てるのか……」

「あぁ、それに魔王と会うときは死ぬ瞬間だと思っていたしな!」

「確かにそうね。 あの姿で対面したら普通に襲うもんね」

「それより私も、ドラゴンに乗ってみたいな~!」


 シキブたちの会話に、違和感があった。


「そもそも、魔王の正体を知らないのか?」

「えぇ、そうよ! 姿形も噂だけだし、能力も不明。 伝説の魔族が魔王って感じね」

「そうなのか……」


 噂のみで、実体が掴めていないって事か。


「魔王って、なにか悪いことしたのか?」

「当たり前だろ!」


 トグルが大声で会話に入って来た。


「具体的に教えてくれ!」

「それは……」


 トグルは言葉が出てこなかった。

 カンナが代わりに答える。


 一〇〇年程前の第五柱魔王と第六柱魔王による世界制圧。

 四〇〇年前程の第五柱魔王対人族の全面戦争!

 五〇〇年程前の第四魔王率いるアンデッドモンスターの王都襲撃!


「魔王が絡むのはこの史実位です」

「そうなのか?」

「はい。 それ以前の記録は残っていないので不明です」


 さすが鑑定士だな。

 歴史についてもよく勉強している。

 そこで大声出していた、戦闘バカとは大違いだ。


「アルとネロの史実は無いのか?」

「はい。 すでに第三柱までは伝説となってましたので、生死どころか存在さえも怪しい存在でした」

「ふ~ん」


 存在さえも怪しいね。

 魔王の名前のみが伝説化されていると言うことか。


「アルとネロを呼び戻していいか?」

「そうね、直接聞きたい事もあるし」


 シロとクロに戻ってくる様に伝える。

 無邪気な小学生ふたり組が戻って来た。


「アルにネロ、そこに座ってくれ!」

「おぉ!」

「は~い!」


 このふたりには、人族との争いを聞かなくてはいけない。

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