第39話 当たり前の日常!
ゴンド村を出て七日目に城壁の様なものを発見した。
あれが、ジークか。
徐々に近づくと、かなり立派なのが分かる。
襲撃に備えているのか、小窓や城壁上には衛兵が配置されている。
「ここら辺でいいか」
周りに人が来なさそうな場所だと確認をする。
一旦、ゴンド村に戻り約束通りに、フランとマリーを連れてくることにした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
七日しか経っていないが、懐かしい気分になる。
村にも活気があり、村人達が生き生きとしている。
フランは俺を見つけると、迎えに来たことを理解して頷き、自分の家に戻っていった。
マリーも俺に気が付くと、寄って来た。
「有難う御座います」
礼を言う。
「すぐに行けるか?」
「はい。荷物を取ってきます」
身支度は、俺達が村を出る際にいつでも出発できるようにと準備をさせておいた。
マリーは元々荷物が無い為、すぐに用意が出来るだろうが、フランはそれなりに持っていきたいものもあるだろう。
最後まで悩んでいたモモが気がかりになり探しているが、なかなか見つからないので近くにいたリズに聞いてみた。
「モモを知らないか?」
「モモなら多分あそこにいますよ」
リズが指差した先には、花畑で子供たちと遊んでいるモモの姿があった。
「モモ!」
子供達と遊んでいる後ろから声を掛ける。
モモは振り返り俺と分かると、子供達に少し待つように言う。
再度モモに、この村に残るかの確認する。
モモは前とは違い、迷いが無くこの村に残ると話した。
俺がこの村を去ってから数日だが、子供達の面倒はモモが見ているらしい。
モモ自体も子供の世話が好きな事に気が付き、手が掛かるが楽しい毎日を過ごしていると、嬉しそうに話してくれた。
モモにとっては、この当たり前の日常が幸せに感じるのだろう。
「タクトさん、御願いがあります」
「ん? 何だ?」
モモの御願いなら、どこかの誰かと違って無茶ではないので、身構える事無くすんなり答える事が出来た。
「御迷惑でなければ、
「えっ!」
まさかの
今の俺の
やっと、まともな人を登録出来る!
村長も、まともな人だが御老体だからな……。
「御迷惑でしたか?」
回答があまりに無い為、心配そうに俺を見つめる。
「あっ、スマン。俺で良ければ登録してくれ!」
「ありがとうございます」
四人目にして、念願のまともな人を登録した!
当たり前の事がものすごく嬉しい!
なんとなく、モモの気持ちが分かる気がした。
「タクトさんと、
とても嬉しそうだ。
「言ってくれれば、いつでも登録したぞ!」
「そうなんですか? ロイドさんやクラツクさんも登録したがっていましたが、連絡は村長からと言われたので、難しいのかと思っていました」
……俺、そんな事言ったか?
全く記憶が無い。
ロイドとクラツクを呼び、この件について問うことにしよう。
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