第28話 オーク討伐!

 クロの情報だと、オークの数は八〇から九〇匹

 集落は、森を切り開いた場所と、その先の洞窟の二ヶ所。

 人質はいない。


「本当にお前らが、やるのか?」

「おぅ!」

「アルには、絶対に負けないの~!」



 あまりにもしつこいので、オークの集落を襲う事を教えると、ふたりとも面白そうだから見学させろ! と着いて来た。

 道中に「やはりアルがこの世界で一番強いのか?」と尋ねると、アルもネロもお互いに一番だと言って聞かない。

 そこで、軽い気持ちで勝負を提案してみる。


「俺が審判するから、勝負してみないか?」


 ふたりとも、やる気満々だ。

 特にネロは、いつもアルの二番手扱いになる事が多い為、余計に気合が入っている。


 ゲーム名は、『オーク叩きゲーム』


 ルールは簡単だ。

 ・スタートは、俺が二〇匹倒し終わってから。

 ・勝利条件は二つ。大きい頭を持って来た方。コアをよりの多く持って来た方。

 以上だ。


 アルが倒しても、ネロがコアを取ったらコアはネロの物。


 確実に一匹づつ倒して行かないと勝てない事になる。


 大規模な攻撃により森に被害を与えた場合は、即失格。


「分かったか?」

「おぉ、殺してコアを奪えばよいのじゃろ!」

「アルよりたくさんコアを回収するの~、デカい頭を持ってくれば勝ちなの~」


「じゃあ、俺が二〇匹倒したらスタートだからな。クロにシロ、反則していないか監視してくれ」

「承知致しました。皆様には不正の無いよう先に、パーティー登録願います」

「おぅ!」

「了解なの~!」


 ……パーティー登録って何だ?

 そもそも、その機能自体を知らないぞ!

 ボッチに対して、当たり前のように話を進めないで欲しい。


「パーティー登録って何だ?」


 恥を承知で聞く。


「おぉ! タクトはパーティー組んだことないのか。では、妾達が初パーティーという事だな」

「初って響きがいいの~!」


 アルもネロも何故か興奮している。

 ステータスに、パーティ登録というのがありまずリーダーが、仲間フレンド登録から選んで登録出来る。

 最大六人までのようだ。


「タクトが、リーダーじゃぞ!」


 アルがそういうので、俺がリーダーとしてふたりを誘う。

 当然、承諾なので『パーティー成立』となった。

 本当に、まだまだ知らないことが多すぎるな。



「じゃあ、今度こそ行ってくる!」


 そう言って、オークの集落に歩いて行き、一匹、二匹と殺していく。

 襲撃に感づいたオーク達が、次々に出て来た。


 二〇匹目を殺した瞬間に、左右から突風が吹くと目の前で血飛沫が飛んでいる。


 目で追いつけない速度だが、次々と殺しているのが分かる。

 アルのステータス数値にも驚かせられたが、戦闘を目の当たりにすると恐怖しかない。

 本気は出していないと思うが、それでもこのレベルだ。

 魔王が、この世界で恐れられる存在なのが良く分かった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「どうじゃ!」

「私の勝ちなの~!」


 俺が攻撃に向かって五分も立たない間に、オークの集落は全滅した。

 目の前のアルとネロは、どっちが勝ったかを言い争っている。


「まずは、オークの頭大きさ対決! ドンドン、パフパフ!」

「なんじゃ、その『ドンドン、パフパフ!』というのは!」


 そんな真剣に聞かれると恥ずかしい。特に、意味なんてないし……。


「あぁ、気合を入れる時に使う言葉だ! 気合を入れて審査するという俺の意思表示だ!」

「なるほど、『ドンドン、パフパフ!』か。妾も今度使ってみるぞ!」


 大きさはほぼ同じだ。

 若干だがネロの方が小さい気もする。


「アルの勝ち!」

「ふんっ!」

「なんで~!」

「ネロの方は、右耳の当たりが欠けている。大きさはほぼ同じでも、より原型に近いアルの勝ちだ」


 勝利に喜ぶアルと、判定に不服そうなネロ。


「次に、コアの数勝負!」

「ドンドン、パフパフ!」

「ドンドン、パフパフ~!」


 なんか、バカにされている気分だ。


「アルが三三個、ネロが三五個。ネロの勝ち!」

「やった!」

「そんなはずないじゃろ! よく数えろ!」

「アルのコアも数は三五個だが、亀裂が入って壊れる寸前の物がふたつ程ある。よって、より完ぺきな物を持って来たネロの勝ち!」


 先程とは逆に勝利に喜ぶネロと、判定に不服そうなアル。


「とりあえずは引き分けだな!」


 納得がいかないふたり。


「今度は、どこかの街でもう一度勝負じゃ!」

「人が一杯いる中央の都市がいいの~!」


 うーん、気軽にとても怖い事を言っているな。


「おまえら、そんなことしたらもう遊んでやらないからな」

「なんでじゃ!」

「え~!」


 こいつらを野放しにするのは危険だ。


「俺が面白い事を考えたら、必ずお前達に連絡する。だから、それまではむやみに破壊行動や、殺しはしないと約束出来るか?」

「おぅ、約束するぞ!」

「約束するの~!」


 とりあえず、これで安心だ。


「主よ、周りにオークはもういません」

「ありがとう!」


 自分が倒したオークのコアを回収して、オークの武器や所持していた物を全て【アイテムボックス】に入れた。


 パーティーを解除して討伐完了した。


 ゴンド村に帰る事にする。

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