第20話 俺って、ボッチだ!
「グランニール、何をしておる」
アルシオーネが、グランニールを睨んでいる。
(アルシオーネ様が負けた事を、皆に伝えてます)
魔族に取ってアルシオーネが負けた事は信じられないらしく、色々な魔族に連絡している。
その光景に違和感を感じた。
「……あれは、どうやって連絡を取っているんだ?」
俺の【念話】は神や魔物と話す
だとすると今、グランニールが他の魔物と連絡を取っているのは、別の方法になる。
「ステータスから、
アルシオーネが不思議そうに答えた。
……えっ!
何ですか、その機能。
今迄、ボッチだったので使う事がなかったとはいえ、そんな機能は知らない。
ステータスを確認すると、確かに右下にページを捲る様な記号がある。
その記号を押すと、
当然、真っ白で登録者は無しだ。
……あれ?
俺って友達作りから始めなくちゃいけないのか。
登録者がひとりもいないのは『MP』『HP』共に減ることはないが、なんかダメージが大きい。
「アルシオーネ、お前一番が好きだよな」
「おぅ、一番は気持ちがいいから好きだぞ!」
「……俺の最初の
俺自身、何を言っているんだと思った。しかも、相手は魔王だ!
「なんだと!」
アルシオーネは喜んで、早速登録の作業を始めている。
目の前に『アルシオーネより
考える間もなく『はい』を押した。
俺は、魔王と
思っていた以上に、喜んでいる自分が居る。
「これからは、妾のことをアルと呼んでいいぞ!」
友人の証のあだ名の様なものか?
「あぁ、よろしくな! アル」
しかし、ある程度知能があれば、魔物同士でも連絡が出来るという事か!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「なぁ、ところで魔王ってなんなんだ?」
気になり聞いてみた。
魔王というのは、特定の魔族?に対して魔族達が恐怖や尊敬等を意識し始めると、その意識の集合体が世界に影響を与えて新しい魔王が誕生する。
魔王になると、ステータスの称号が『第〇柱の魔王』となるので分かる。
……ステータスに『称号』なんてあったようだが記憶に無い。
魔王同士の繋がりはそこまで強くないらしい。
アルシオーネとネロ、ロッソは、最初の魔王三人で永くその座に君臨している。
残りの三柱は、時代と共に変わっている。
アルシオーネとネロは仲がよく、頻繁に連絡は取り合っている。
魔王達の時間感覚が良く分からないが……。
ふたり共、基本自分主義(わがまま)で、自分に危害が無ければ世界がどうなろうが関心が無い。
ロッソも仲は良いがダンジョンの奥に引きこもっている為、連絡で話す位でここ数百年程、姿は見ていない。
前回の転移者も最終的には魔王の第五柱となり、第六柱の魔王と一緒に好き放題暴れたらしい。
『上級神』が裁いた事になっているが、『上級神』から依頼のあったアルシオーネとネロが、恩恵習得を条件に倒したのが真相らしい。
長年こういう事をしてたから、
アルシオーネやネロは『魔王』とはいえ、実質的にこの世界の『番人』も兼ねているという事だな。
本人達はそんな気が全くないだろうが……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「アル、頼む」
グランニールに運んで貰うのは止めて、アルの【転移】にした。
俺達は『迷いの森』から『ゴンド村』の近くまで一瞬で移動した。
これが、【転移】か! と感動した。
女性達は驚いている。
「ありがとな!」
「友人の頼みじゃ! 遠慮するな」
この場合の『友人』とは、クロの事か? それとも俺か?
追求するのもヤブヘビなので、聞かずにおく事にした。
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