コテージ

ミルクと ハシュは、あとで、自慢のマイカーで、遅れて 到着する 予定だった。

コテージに 集まったのは、みな 成功者だった。みな、未来があった。はなばなしい、成功までの、シンデレラストーリーが、ひとりひとりに、あった ・・

ザビエルには、 まったく ちがう 世界のひと達に 思えた。じぶんには なにも なかった。 それなりの、じんせい だったさ、と、

そこそこの、平凡な、いや平凡以下の、

足もとにも およばない、じんせい、だったさ なんて ・・

おなじ、旧友に、言えなかった。

ふたたび 会う日には、とびきり だれより

も しあわせに、なって いよう と、

なっている、だろう と あんなに

思ったのに、

じぶんの じんせいは みじめな、まま だった。 べつに、名声や、権力ばかり、追いかけたわけじゃない。

ほかの メンバーには、それぞれに

彼女が いた。

ザビエルは、彼女は都合が 悪くて これないと うそを ついた。

それを、みんなが、どこまで信じたのかは、

不明である。

あと、2組のカップルは、先に 着いている。

ザビエルが 手配した、コテージだ。

値段は そこそこに、はっているが、

十二分に、その豪華さを、発揮している。

池も、近くにあり、窓辺から 見える。

もりに かこまれた この地は、まるで

オアシスで、すべて 忘れる ことが できる

そう、半年まえに、ことごとく、振られた、

失恋の傷さえも ・・ ザビエルは きたい

していた。じぶんだけ人生の、おちこぼれ

じゃない ジョシュも、ルークも、

おれの人生には、叶わない。

おれの、たとえば、タトゥーには。

おれの、たとえば、職歴には。スターバックスで、今だに、安いバイト、床をみがいて。

おれの、例えば、・・3組のカップルに

なんでもいい 自慢できること ・・・

そうか 自慢できること、を探していたの

か、自慢できること

それを、探す時間を、べつのことに 使っていれば、とっくに、幸せになって、いた。

今になって、ザビエルは 気づいた。

自分が いちばん、遅れそうだ、

ジョシュの、婚約祝いを、兼ねた

旧友の そろう、今回の バカンスは、

いつも 恒例、乾杯の、シャンパンで

スタートを、きる。

この、渋滞だと 間に合いそうに、ない。

ま、いいさ、どうせ、ぼくなんか、

パーティの、わき役さ。

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