第34話

ケイトは、ビビアンと、ライルといた。3人はずっといい友達だったし、なんでも知り合っていた。互いの彼氏のことも。      いまも、3人でいる。でも、状況はちがった。発言には、緊迫感と責任が、ともなった。発言に、緊迫感と責任が、ない、いま、ここに、3人の目の前にいるのは、ケイトの、ファンだった・・・・・。それしか、言えない。その目のまえの、ファンには、緊張感と、責任感が、逸脱していた。こうまでも、このふたつを、にんげんから、なくすことは、できるものか・・・。そのかれからなくなった、かれがなくした緊張感、緊迫感と、責任感は、いま3人のかたに、ずっしりと、のしかかった。とつぜんに。    3人の口からは、なにも、発言が、とびださなかった そのことは かれにとって 予想どおりか それとも 計算外か それとも 不快か それとも 愉快か  はかり知れなかった。 かれは しゅうし マイペースで、崩れなかった。気にもとめない、ようだ。3人の発言に、など。また、発言が、ないこと、など。3人の発言のない、美女と、ずっと発言している、かれの乗った、クルーザーは、そのまま、自動化操縦で、当初のルートどおりに、航海を、進んでいた。それは、安心すべきことか、危惧すべきか、・・・・。        カイルの、携帯がなった。カイルの彼氏からだ。このあと、自動操縦が、進めば、待ち合わせの、島に、到着する・・・・。このまま、進路が、変更されなければ・・・・。  『おっと、携帯は、没収させてもらうよ。必要ない、友達を呼ばれちゃー、かなわないからね。今日は、ぼくの、パーティーなんだ。ぼくと、ケイトのね』3本は、祈っていた。島にいけば、カイルの彼氏がいる。それまで、我慢だ。  ただ、ビビアンは、妊娠している。そして、体調が、激変している。極度の、ストレスからだ。この目の前の、得たいの分からない、ひとりで、しゃべりつづける、ケイトのファンに、この船は、事実上、ハイジャックされている。目的は、ケイトだ・・・・・。パーティーを、続けるしか、選択肢はない。      上機嫌、えがお。3人の女の子は、おびえ、ひきつり、怒りをこらえ、軽蔑のまなざしで、みていると、いうのに。まったく、おかまいなし。  どんな、神経なら、こんな状況を楽しめる?  ファンの男は、言っている、自分は、ケイトの親友で、そして、・・・・これから、彼氏になるのだと。     夢物語を、3人は、気が遠くなる、思いで、聞いている・・・・・。体調の、さしせまった、ビビアンが、男に、聞く。 『ケイトとの、なれそめを、聞かせてくれない?きっかけは、どこで?』もちろん、時間かせぎのためだ。    まっこうから、この男を否定してかかっても、いっさい、通用しない。   突破口を、ひらこうと、3人は、必死だ。  なにか助かる道があるかもしれない。この状況を打開したい。なにか、分かるかもしれない・・・・・。    そんな思いの3人のしつもんはみな、無惨に、なんの、収穫なく、おわった。今がぜつぼうてき状況だ、ということに、なんの、せつめいもいらなくなった ・・・・・。  3人から言葉が、なくなった ・・・・。 『てことは、あれだ・・・・わたしは、あなたのことが、すきで、あなたは、わたしのことがすき。二人は両おもいで、つき合わないては、ない・・・。もしも、わたしの彼氏が邪魔するんなら、許さない・・・・』、こう、だ。      『さすが。ケイト。話が、はやいよ。まったく、その通りだ。寸分のくるいも、ないや。さすがだね。』   再び、3人は、絶句した・・・・。   ライルは、たまらず、キレて、言った・・・・。   『なにをねぼけたことを、ほざいてんじゃねーーーよ。ふざけやがって。ケイトは、おまえのことなんて、死んでも、好きじゃない・・・・。』           『ケイト いず のっと ラブ ユー』ビビアンが、繰り返す。汗にじむ、顔色も、蒼白だが、しっかりと、そして、ドスの聞いた声で。   『また、またぁー、ふたりとも、ぼくらが、らぶらぶだからって、嫉妬してんのか。友人のしあわせを、祝ってあげなきゃ、だめじゃないかーー 』 気がついている。ケイトはそう確信した。気づいている。わたしが、自分をすきじゃない、ことなど、へどが、でるほど、分かっている。わかりきっている。  どうでもいいのだ。わたしが、自分を好きかどうか、など。わたしの、感情など。    彼はただ、ひとつのもの、だけしか、要求していないのだ。なぜ、もっと早く、気がつかなかった。彼は、ケイトに、愛情など、要求していない。彼が、要求しているもの、それは、ケイトの体だ ・・・・・・。    付き合う?好きだ? そんなこと、求めては、いない。まじめから。ケイトは、彼にとって、かも、だった。自分が仕掛けた、ねずみとりの、しかけに、かかった、えさ、そう、かも、だった。      案外、しかけのかごにかかった、えものは、強情だった。ひっかかれ、てこずらされ、損失まで、払わされた。我慢ならん 代償を、払うまで。  代償のための、投資にまた、代償が、膨らむ・・・・。膨らむ一方だ。自分はあらゆる、ぺいを、払っている。払い返して、もらうのは、こんどは、自分のほうだ。 このままでは、気がすまない・・・・。あのヤロウ・・・・。         自分に何ができるか・・・・・。相手に、責めいる、武器と、能力を、慎重に、吟味し、さがす。  奴を、取り巻き、囲む。勝算を、出すのだ。行動できるのは、それからだ。まずは、その、勝算をさがせ。

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