第212話 『正義の味方』の贈り物

 小島ゆう子はベッドへ横たわり、思い詰めた顔で左手に残った傷痕を見ていた。

 リストカットした傷痕だ。

「……」

 ゆっくりと半身を起こし、大きなバッグを開いた。


 手を一番奥まで突っ込んで、袋に詰めたモノを取り出した。

 

 瞳を閉じ、二週間前の事を思い返していた。


 *****


 日曜の昼下がり、自宅マンションでテレビを見ている時、『ピンポーン』とインターフォンが鳴った。

「はい……」

 おもむろにドアを開けた。

 怪しげな宅配業者が訪ずれ、小包を手渡された。


「え……!?」

 送り主は、『正義の味方』とあった。


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