四季物語

作者 サトヒロ

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★★★ Excellent!!!

情緒豊かな美しき四季。
4話構成の四季をテーマにした短編小説集。
秋、冬、春、夏をテーマにした作品です。

臨場感のある一編、一編。
どの短編小説も丁寧に描かれています。

とくに印象的だったのは、夏をテーマにした「正午の海」。
彼を海に突き落としたのは、泳ぎを教えるため?
それとも殺意があったから……?
故意ではないにしろ、友人を死なせてしまった苦しみと葛藤が描かれていて、その後主人公がどんな状況に置かれ、何を語るのか、そこにあるのは絶望なのか希望なのか……、とても興味深い一編でした。

心に響く短編小説集です。



★★★ Excellent!!!

青年とボートと海を題材にした作品を読んでいるうちに昔、洋画で見た
太陽がいっぱいを思い出しました。今でも鮮明に記憶に残っています。
その映画も2回も見に行きました。思いだしながら作品を読ませていただきました。
今後の作品を楽しみにしています。太陽翁

★★★ Excellent!!!

本作は四季をテーマにした4編から成る短編集です。
秋・冬・春・夏の順に巡っていきますが、その季節ごとの舞台に立つ人物はそれぞれに違います。

「枯葉降る季節に」
本作の先陣を切るのは、ノスタルジックの香りが豊かな秋のお話です。
お寺、和服、葡萄、白樺の林道、雨の夜。情感豊かな世界観に18の少年の心の熱っぽい揺らぎが重なります。
その序盤に、18歳の少年のこんな台詞があります。
ラストの「太陽がこんなに優しいなんて、今まで知らなかった」が私の中の印象的な台詞です。

「北河」
冬のお話です。粉雪の降る山峡の自然と、臨場感のある犬ぞりの描写が出迎えてくれました。
次に視界に飛び込んできたのは粉雪舞う河畔にいるひとり少女です。その少女は間もなく眠るように倒れこんでしまいます。
彼女は遭難したのでしょうか? それとも、自ら進んで?
大切な人を思う気持ちをどのような形で示せば良いのか、そのようなことを考えるきっかけとなる一編でした。

「エゾハルゼミが鳴いていた」
3編目は春のお話です。
過去のある出来事がしこりとなって何年も残っている大人の女性が主人公です。
主人公であるその女性(由紀)はその出来事に関係する人物である男性を探しています。
(その男性の名前は卓也で、これは「枯葉降る季節に」の主人公の名前と一致しています)
些細なすれ違いが重なったことによって、人の一生はどこまでも大きく変わるのだと痛感しました。
過去のことを振り返り、答え合わせをすることが怖いと思うのと同時に、それを乗り越えられる人間の強さみたいなものが胸にしみました。


「正午の海」
素晴らしいこの連作を締めくくってくれるのは夏の一話です。
"ぼく"の友人の冬木は泳ぐのが苦手で、ぼくはそんな彼をレクチャーするため沿岸までボートを漕いできました。
泳ぎを体験させるために冬木をボートから突き落としたとき、ぼくは激… 続きを読む