追憶の

作者 御堂ユウナ

121

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★★★ Excellent!!!

覚悟して読んでください。
こちらの作品『追憶の』では、特に中盤以降、本物の絶望が襲い掛かってきます。

記憶喪失の少女・アリスと心優しい青年・カインツが出会う。
アリスはカインツに生きる術を習い、やがて彼女は彼に惹かれていくが——
物語の始まりを書き出せばこうなりますが、この優しい序盤に騙されてはいけません。

渦巻く陰謀、畳みかける事件、そして明らかになっていく真相。
容赦ない哀しみが、先に述べた二人を始めとする登場人物たちに、後から後から押し寄せてきます。
一人の人間の、なんと無力なことでしょう。
大きな運命の前には、立ち向かおうとした意志ごと砕かれてしまう。
よく「哀しみを乗り越えて」という表現が随所で用いられますが、もしかしたら、乗り越えられる哀しみは本当の哀しみではないのかもしれません。
この物語を読んでいるとそう考えてしまうくらい、絶望的な気持ちになってしまいます。

ですが絶望だけの物語かというと、そうではありません。
命懸けで誰かの幸せを願える人がいたり、自らの過ちを悔い改められる人がいたり。
先程一人の人間は無力だと書きましたが、無力ながらに抗おうとする彼ら彼女らが愛しいものに見えてきますし、そんな姿に希望を感じもします。
次に何が起こるか怖くて堪りませんが、読む手が止まらないのは、そういう救いだって存在するからだと思っています(当然お話が面白いのもあります!)

丁寧な筆運び、繊細に描き出される心理、美しく組み立てられたストーリー。
心が折れてしまいそうになる絶望まで含めて、大変魅力的な物語に感じています。

ぜひ、ご一読ください。くれぐれも覚悟はお忘れなく!

★★★ Excellent!!!

記憶を失い、見知らぬ場所で目覚めた少女、アリス。
悪魔という異形の存在に怯える彼女を助けたのは、どこまでも心優しい青年カインツ。

彼の助けを借りながら世界について学び、わからないなりにも前へ進んでいくアリス。ふたりは手を取り合い、厳しくも美しい世界で生きていく――そんな優しさと希望に溢れた物語。

……であれば、どれほど良かったでしょう!笑 

上記の雰囲気だけをもつ物語をお求めでしたら、この先のレビューは読まなくて大丈夫です。ですが、

「ありきたりなファンタジーやご都合主義のお話にはもう飽きた」
「どんな思いをしてもいいから、本当に胸に迫る物語が読みたい!」

という命知らずな探求者さんには、自信を持ってお勧めできる作品です。

主人公を待ち受けるのは世界の厳しさ、そして現実の残酷さ。
力がなければ何もなせないという当たり前のことが、これでもかという悲劇になってアリスに襲いかかります。そのたびに少女は涙し、怒り、嘆き……こっちの胸が苦しくなるほどの重圧を背負いながらも、やがて止まることのない世界の争いへと沈み込んでいきます。

そんな辛い展開も多い本作。けれどその激動の中で揺らめく人の感情は、とても繊細な筆で綴られています。ひらがなを巧みに散りばめた文章からは、まるで何層にも重ねられた水彩画のような美しさと儚さを感じてしまうほど。ひどいことが起こっているはずの場面でも、ついつい見惚れてしまいます。

キャラクターひとりひとりに光と影がしっかりと存在し、あるところでは輝き、あるところでは狂気を孕んだ光を放ち……どんどん変化と驚きをもたらしてくれます。みんな素敵なキャラだからこそ、厳しいシーンが到来するたびに悶えること請け合いです。うーん、ネタバレできないのでこれ以上は語れないのが悔しい!笑 

どんな思いをしてもいい――そう覚悟しましたね?
ぜひしっかりと準備を整えて… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

 優しい文体、それが第一印象でした。児童文学のように柔和でわかりやすく、囁いて来るような筆致に導かれ読み進められるのですが。語り部がどんなに優しくても、吟遊詩人が美しい調べに乗せたとしても、世界は残酷であると気付かされます。


 主人公は記憶を失った少女、アリス。
 ひっそりと暮していた優しい治癒師カインツと出会い、色々な出来事の過程、新たな人との出会いで経験を積み重ねていきます。

 悪魔とは?精霊とは?この世界は?

 数々の謎とアリス自身の真実を見つける旅路の中で、彼女がこの世界で得る経験を追体験していく物語。


 それぞれのエピソードで、物語を彩る登場人物たちの感情が緻密かつ丁寧に表現されていて、光が影を作るように、憎しみの影には哀しみが。やさしさの裏には後悔が。相反するものが、何度も繰り返し打ち寄せてきます。
 人は相手を上っ面で判断しがちですが、一人の人間の中には常に表裏一体でプラスの感情とマイナスの感情があり。この人はこういう人だなどと、一言で表現できるほど世界も人間も単純ではないと知る事となり、とにかく人物描写が深いの一言です。

 葛藤や苦しみの救いとなる一筋の光明は、優しさなのか正しさなのか強さなのか。本当の意味での救いとは?
 残酷な出来事に心をえぐられますが、えぐられたこそ掘り出される新たな感情への気づき。
 これは、己のこころの姿を知る物語でもあります。

★★★ Excellent!!!

多くの登場人物たちが、他人を思いやれる優しい心を持っている。その心はとても丁寧に、かつ繊細な言葉で描写され、美しい世界を織り成す。
しかし優しい思いは時に距離となり、必ずしも報われるものではなく、残酷な結末を招くこともある。その陰の側面も、この作品は臆することなく大胆に描く。

だからこそ、世界は光だけではないと知りながらすべてを護ろうとする青年カインツと、誰かの力になろうと必死になれる少女アリスの存在がとても美しく尊い。

ふたりを中心とする仲間たちもまた、それぞれ複雑な事情や思惑、そして辛い過去を抱え、とても魅力的だ。点と点だったそれらがひとつに繋がっていく様は爽快で、見事と言える。

特にグレイ将軍に惹かれた。
容姿端麗、文武両道と非の打ち所のなさそうな彼だが、性格は難が多く頑固で不器用。そんなグレイ将軍が仲間たちと徐々に打ち解けていく様子は本当に微笑ましい。
アスター王国の同じ将軍でありながら、性質が真逆のルーファウスとのやり取りにはぜひ注目して欲しい。
そして復讐に燃える男アデルバートの渋かっこよさも見てもらいたい。

★★★ Excellent!!!

記憶を失った状態で目を覚ましたアリス。
右も左も分からない不安な世界で、彼女に温かな手が差し伸べられた。
救ってくれた治癒師のカインツと共に逞しく生きていくことを決意するが、次々と困難な問題に直面して……

丁寧な心理描写と、繊細に編み込まれた世界観。美しく紡がれる文章にあなたも虜になるでしょう。
そして、個性豊かなキャラクターたちが生き生きと描かれていて、どの子も魅力的です(私のお気に入りはチカちゃん)
皆さんもお気に入りの子を探してみてはいかがでしょう。
おすすめです!

★★★ Excellent!!!

 第1話の時点で文句無しの星三つです。まずは読んでみてください、話はそれからです!
 全体を通して、背景描写が美しく繊細な心理描写もなされており、非常に丁寧に作られた作品です。「書くのも読むのも丁寧に~」という企画を立ち上げられるだけあって、文章の節々から真摯さや心遣いが読み取れます。

【ここからは「1:いざないのひと」編を読んだ感想です】
 開幕から作者さんが目指している世界観を感じ取ることができます。優しく美しいだけでなく残酷な所(例えるなら、ナウシカでしょうか)も垣間見え、それがさらなる魅力を引き出しています。
 全体としては群像劇ですが、大部分がメインヒロイン(=主人公)のアリスの視点となります。そこには、彼女の少女らしい可愛くも繊細な心の機微が描かれており、微笑ましい気持ちで見守ることができます。
 登場キャラは多い方だと思いますが、各キャラがそれぞれ個性的であり、しっかりと描写もされているため、困ることはありません。
 躍動感のある戦闘描写による緊張感のある場面があったり、ちょっとした恋愛・ラブコメ要素があったり、そして各キャラが謎を秘めているのでミステリー要素もあったりと、色々な楽しみ方ができます。
 作家視点としましては、とにかくヒロインの心理描写が素晴らしいので、ヒロインの描写を上手く書きたいという方は、とても参考になると思います。

 それでは、また続きを読んだら追記しに参ります。




★★★ Excellent!!!


一つの出会いが多くの出会いに繋がり
様々な思惑が交差して行く中、やがて
物語は読者の予想を遥かに超える壮大
さで問題を提起する。それが余りにも
自然な流れであることに圧倒された。

それはきっと、この物語に登場する、
たくさんのキャラクターによる功績が
大きいのだろう。

繊細に描かれた彼らの個性、つまり、
『心の動き』。それが、この作品では
何よりも大切に表現され、読者を引き
込む最大の魅力となっている。

人の世の常である『争い』のなかで、
全てを守り抜くなんて無理なことだ。
しかし、『それでも』と願う人の心は
こんなにも胸を打つ。

この物語の主人公、アリスはそういう
少女だった。

少女を通じて知る感情は、優しいもの
だけではない。寂しくて、正直、辛い
ものもある。

それなのに、うれしく、思う。

ぼやけた輪郭のまま、どこかに留めて
きた感情をすくい上げて、言葉にして
もらえたような気がしたから。

この物語は、そんなひどく曖昧だけど
大切なことについて、ときに柔らかく
あたたかに、ときに冷徹で残酷に。

何にも染まらぬ姿勢から、真っ直ぐに
読者に問いかけてくる作品だ。

★★★ Excellent!!!

一話目からハラハラドキドキする。

私も小説を書くので、すごい作者側からの視点なのですが、話の作り方がとても上手だと感じました。

1話目から主人公のアリスは少し危険な目にあるのですが、1話目と言えば、どんな異世界で、どんなスキルを入手してと、説明めいたお話が多いと思うのですが、そういったことを、ストーリーが進みながら分かって行くので、ストレスなく読めます。

また、ほとんどの回で次はどうなるんだろうって思わせるような、ワクワク感、ハラハラ感があって、次の話を読ませるのがとても上手です。

また文章が、とてもキレイでクリアな感じがあって、読みやすいです。
(すみませんうまく表現できないのですが…)

まだ1章しか読んでいないのですが、とても素敵だったのでレビュー書かせてもらいました。

ゆっくり読ませていただきますね♪

★★★ Excellent!!!

まだ長いものがたりの途中なので言葉少なめになりますが……。
柔らかなものがたりの語り口。
そこから、非常に穏やかでメルヘンチックな物語かと思い読み進めると、
大いに良い意味で裏切られます。ときに残酷で、ときに示唆に満ちていて。
登場人物がそれぞれ抱えた謎にはまだ到達しませんが、それらを丁寧になぞっていくストーリー展開。ですので、まずはその文章の「誠実さ」に感銘を受けてください。また、そのなかに何の伏線が隠されているのか、一言も逃さぬよう必死に目に留めて紐解いて読もうという気持ちになります。
なので、是非ゆっくりじっくり読んで下さい。
そうしないとこの作品の魅力は減してしまうと思います。
私もものがたりの行方を、このあとも、ゆっくりじっくり追わせて頂きます。

★★★ Excellent!!!

まず、この物語は記憶を失った少女、アリスが見知らぬ世界で目を覚ますことから始まりを迎える。
そして、この世界で右も左もわからなかったアリスは〝悪魔〟と恐れられる悍ましい化け物と遭遇するが、〝治癒師〟の青年カインツに救われることとなる。

孤独であった少女と治癒師の青年、2人の出会いを引き金とし、この物語の歯車はゆっくりと動き出した。

カインツの〝うつくしい〟優しさ。
そんな彼のうつくしさに焦がれ、自らの無力さに悩むアリス。
しかし、少女アリスは彼の優しさやそのうつくしさに触れてゆくことにより、成長を遂げ、健気にも精一杯。カインツと共に、安らぎと困難に満ちた険しき道を進んでゆく。


これは、少女アリスと治癒師のカインツ。
うつくしき心を持つ2人が紡ぐ。
柔くも、切なさに溢れた物語───


そして最後に。
筆者様の、まるで水のような。
柔らかくも、胸を刺すような冷たさ。
滲み出てくるぬるい温もり。
そんな、繊細さを彷彿とさせる巧みな表現や
描写にも必見。

きっと多くの人が、少女と治癒師の青年の
温かくも切ない物語に、その胸を優しく打たれます。


★★★ Excellent!!!

ギャップ萌えはギャップが発動したときに発揮されるものであってこの場で述べるとただのネタバレにしかならないので割愛。

ここからは真面目にレビューします。

硬派な異世界ファンタジーです。文体はかっちりしていますが、その分、文章がきれいで、読みやすいです。むしろ、ぐいぐい引き込まれます。

欲しいところで欲しい展開を持ってくる、かと思いきや、わりと予想を裏切ったりもします。読めそうで今一歩読みきれません。キャラクターが話を進めていく感じで、流れがとても自然です。

内容としては、記憶喪失の少女が一人の男性と出会い、この世界での生き方を模索していく話です。一筋縄にはいかない世界ですが、それでも少女は懸命に生きようとします。

正直、語りつくせる気がしないので、このあたりで止めておきます。最後に。

読み始めたが最期、時間が溶けます。

★★★ Excellent!!!

人々が抱える想いを丁寧に描く作品。
悩みを解決したい気持ち、不器用でも尽くしたい心、置かれた立場と向き合う自分、溢れる感情に左右される場面など。様々な困難に対する心象を的確に捉えている。「救い」なのか「エゴ」なのか。心の在り方を問いつつ、どんどん展開していく物語は読み応えがある。

また文章の所々に散りばめられた透きとおるような表現が印象的で、『綺麗』『滑らか』という言葉がふさわしい。この美しい流れを体現したような文章も読みやすさの一つに繋がる。言葉にできない想いや、感傷的な『なにか』を何に喩えていくか、それを知り進めるのも読んでいく上での面白さだ。

個性的なキャラクター達の掛け合いもこの作品の魅力であり、そこには確かな『人間達』が存在する。何気ない会話から、重い空気の中発せられる言葉の隅々までが『その人』ならそう言うだろうな、と納得できるものばかりで、何も考えず読むだけでも一切退屈はしないだろう。

戦闘シーンにも力が入っている。事細かく描かれた情景や、くどすぎない展開のおかげか、容易く脳内にそのシーンが浮かぶ。はっきりとした戦闘の目的に加え、それに応じ戦うキャラクター達のキレのある描写は、つい熱が入ってしまった。


しっかりとした基盤と流れるような展開、澄み渡る文章と左右される感情。とても面白くて応援したくなります。

おすすめです。

★★★ Excellent!!!

主人公のアリスが目覚めると自分の名前とここが自分のいた世界ではないという不思議な感覚以外、何も覚えていません。
それだけでも恐ろしいことなのに未知の生物に襲われ、絶体絶命の危機に。
そんな危機に颯爽と現れ、彼女を危機から救た男の名はカインツ。

見知らぬ世界で記憶もなくなって、さぞや心細くて、泣き暮らす日々かと思いきや、アリスは意外にメンタルが強く、頑張ってしまうけどとても優しい女の子なので好感が持てます。

頑張るけど記憶の無い訳アリのアリスと狙われる治癒師という訳アリのカインツを待ち受ける運命とは?
剣と魔法の王道ファンタジー世界でありながらも優しく、理想的なカインツに惹かれていくアリスとその恋心に全く、気付かない朴念仁カインツのかわいらしいラブコメも描かれているので純真な恋心で潤いたい方は是非、御一読を。

★★★ Excellent!!!

主人公のアリスには記憶がありません。優しいカインツという男性に助けられて、彼と行動を共にします。

ユウナさんの織り成す言葉は、丸くて優しい。ひらがなと漢字のバランスが絶妙で、読んでいて心地好いです。
カインツは、優しくて強くて頼もしい温和な男性。アリスは気持ちが揺れながら、迷いながら、不安になりながらも、自問自答しながら自分に出来ることを精一杯頑張る、健気な女性です。
そんな二人が生きているのは、悪魔のいる世界。読み進めていくうちに、怖いのは悪魔だけじゃないと気付きます。
優しい文章と優しい人たちが生きる、残酷な世界。助けたいのに助けられない。守りたいのに守れない。一緒にいたいのに、側にいられない。
そんな切ない話もあって、悲しみと微笑みが同居している物語です。人間心理がきちんと描かれている、読み応えのあるファンタジー作品です。

★★★ Excellent!!!

美しい情景描写や展開の面白さはもちろんのこと、心理描写がとにかく丁寧な作品。主人公のアリスを筆頭に、キャラクターたちの心情が繊細かつ鮮明に、優しく、そして妥協なく描かれています。

もやもやとして詳しく言い表せない心情、喜怒哀楽の言葉だけでは言い表せない、あるいは言い切れない心情。この作品はそんな曖昧な部分まで見事に書き出し、キャラクターたちに血が通っていることや、彼ら彼女らが抱いている気持ちを強く感じさせてきます。それもあって物語への没入感はかなり高め。出てくるキャラクターの数は多いですが、書き分けがしっかりなされていて判別も付きやすく、一人一人の心に共感できる部分もあります。

しかしながら、物語が進むにつれ、キャラクターたちは残酷かつ悲惨な運命に翻弄されてしまいます。目を背けたくなる現実に切りつけられ、傷を負っていく彼らの姿に、思わず「もうやめてくれ」と震えてしまうかもしれません。けれど、筆舌に尽くしがたいことも、生々しい心の傷や流血も、容赦なく書き出されているからこそ、キャラクターたちを大事に思え、幸せになってほしいと心から願えます。

そんなキャラクターたちの言葉や見ている景色は、読んで感じてみてください。どこまでも誠実に書き出された叫びに、必ず心を揺るがされます。

★★★ Excellent!!!

記憶のない少女が青年と出会い、ゆっくりとした日常から始まるのですが、
途中からどんどん展開があやしくなります。

心情とそれを映し出すような情景描写が丁寧で、特に歌のシーンは文章で聞こえるはずもないのに子守歌のようなのが聞こえてくるかのよう。

私が読んでいるのはまだ途中なのですが、国も絡んで来て大ごとになりそうな予感がして続きを楽しみにしています。