第505話 ところでちょっと確認したいことがあるんだけど?
とまあそんな感じで、しばらくウヅキの話や俺を取り巻く女の子たちの話をした後、
「ところでちょっと確認したいことがあるんだけど?」
俺は居住まいを正すと、そうケンセーに切り出した。
「どうしたのそんなに改まって? 変なセーヤくん」
「まあ聞いてくれ、これはとっても大事なことなんだ」
そう。
俺にはケンセーにどうしても聞いておかなければならないことがあったのだ。
それはこれからサクライ家で一緒に住むうえで、とてもとても大切な確認事項であり。
同時に、他の女の子には少々聞かれたくないことでもあったので、俺の声のトーンは必然小さくなって、隣にいるケンセーにだけギリギリ届くくらいの小声になっていた。
俺がどうしてもケンセーに聞かないといけなかったこととは――、
「チート学園で戦った時にさ、ケンセーは俺にえっちし放題って言ってたよな?」
と言うことだった。
とても大事なことだし、他の女の子にはとてもじゃないが聞かせられない。
この件に関しては、なるべく早く事実確認を取っておきたかったので、このタイミングを逃さず俺は聞いてみたのだった。
だって言ってみればこれから俺とケンセーは
それでえっちし放題ってことは――にゅふふふふ~~♪
おっと、ピンク色した大人の階段を上る姿を想像して、自分でもわかる気持ち悪い笑みがこぼれてしまったよ。
いかんいかん。
「それはもちろんノーカンだね!」
「そうか、えっちし放題か――は? ノーカン!? なんで!?」
思わず大きな声が出てしまった俺に、みんなの視線が集まった。
「あ、ごめん、なんでもないんだ、なんでも……」
俺がぺこぺこと頭を下げると、みんなは再び食事やお話に戻っていった。
ふぅ、秘密の話の最中に大きな声を出してしまうとはこの俺としたことが。
いやしかし、それくらい今の答えは想像を絶するものだったんだよ!
「さっきも言ったけど、やっぱりルールや序列があるからね。新参の私が抜け駆けはちょっとできないかなぁ」
「で、でもでもぉ……双方合意ならぁ……」
なおも未練たらたらの俺に、
「それにあの時セーヤくんは私を選んでくれなかったしねー。ってことはあの話はなかったことだよね?」
「う”っ……」
痛いところをつかれてしまったぞ。
「なし……?」
「なし」
「どうしても……?」
「どうしても」
「さ、先っちょだけでも……」
「ごめんねセーヤくん♪」
取り付く島もなしって感じでにっこりと笑って俺の言葉をシャットアウトしたケンセー。
こうして。
俺とケンセーの夢と希望にあふれたはずの新たな物語は、果てなき悲しみとともに幕を開けたのだった……ぐすん。
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