第504話 完全にキャラが被ってる……
「そりゃ私もセーヤくんの隣には座りたいけど。でもどんなコミュニティにも暗黙の了解とか空気感があるもん。私はここでは一番の新参者だから、いきなり入ってきて勝手なことはできないでしょ?」
「割と細かいこと気にするんだな。チート学園の時は最後なに言っても聞かないヤンデレっぽかったのに……」
『セーヤくんを殺して私も死ぬ』と言われて心中されそうになったのは記憶に新しい。
「だって今の私は一人じゃないから……私のわがままで散々迷惑かけたって言うのに、なのにこうやって全チートを代表してみんなに送り出してもらったんだもん。私は今、奇跡的ここにいることができるの。だからみんなの代表として、セーヤくんに迷惑かけるようなカッコ悪いことはできないし!」
そっか、ケンセーは全チートっ子の想いを背負ってここにいるんだな……。
「だいたいわかった……ま、なにかあったら気兼ねなく言えよ?」
「なにか――はないとは思うけどね。みんなとってもいい人ばかりだし。あ、でもしいて言うなら――」
「なんだ?」
「ウヅキさんと私、完全にキャラが被ってる……料理得意なとことか特に……」
「言われてみれば、確かにキャラ被ってるな……」
ケンセーとウヅキ。
二人とも運動神経がへっぽこで、可愛くて目を引く巨乳だ。
特技は家事全般。
特に料理が大の得意で、いつも明るく笑顔を絶やさないときた。
「しかもウヅキさんが上位互換っぽいんだよね……」
「確かにウヅキの方が一回り大きいな……加えて沈み込むような柔らかさのなかに、見逃せない張りが隠れていて、その絶妙のバランスが俺の心をつかんで離さないんだ。さすがウヅキ、世代最高峰のおっぱいと評されるだけのことはある……」
俺は右手を軽く握って口元に持ってくると、深い
やれやれ、思わず知見を語ってしまったよ。
「……なに言ってるのセーヤくん?」
「なにって、ケンセーがおっぱいの話を振ってきたんだろ? ウヅキの方が大きいって――」
「私は料理の話をしたんだけど……」
「『え? なんだって?』」
因果を断絶するディスペル系S級チートが久々に暴発し、ケンセーが同じ言葉を繰り返す。
「私は料理の話をしたんだけど……」
「え、あ、はい……」
「包丁さばきとかが完全にウヅキさんの方が上位互換だって言ったの」
「……すみません、完全に早合点しておりました。伏して詫びます」
まったく当たり前だよね!
ケンセーとはなんでも言い合える『従兄妹で幼馴染』の仲とはいえ、さすがに女の子の方からおっぱい品評会の話は振ってこないよね!
「うむうむ、素直でよろしい。話がそれちゃったけど、ウヅキさんの包丁さばきってほんと凄いんだから! すっごく速くて正確なの。シュバババババって感じ!」
「あ、それめっちゃ分かる……俺もウヅキが料理しているの手伝おうと思ったことがあったんだけどさ。俺が手伝わない方が間違いなく早く終わると思って、言い出せなかった……」
もちろん料理技術のうち、特にスピードに特化したグルメ系A級チート『時短クッキング』でも使えばそりゃ高速の包丁さばきもできるんだろうけど、これに敢えてチートを使うほどのことかと言われると正直微妙だ。
チートの使いすぎで何度か倒れたこともあるから、不要不急のチート使用は避けたいのもあるし。
ああでも『料理もできる男』としてモテアピールになるかな?
おっと、そう考えるとまったくもって不要不急ではないな!
今度暇があれば試してみよう。
モテるためなら、俺はチートを使いまくることをためらわない!
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