第463話 SS級チート『真なる龍眼』

「セーヤくんの目が金色に光ってる……これってまさか知覚系S級チート『龍眼』……!? リューガンが力を貸してるんだね!?」


「ま、そういうことだ。2年S組のチートっ子たちの力は、さっき返してもらったからな。だったら俺が『龍眼』を使えたからって、別に驚くほどのもんでもないだろう?」


 2年S組のみんなはエネルギー体となって《2年S組の剣おたまブレード》になっただけでなく、みんなのチート能力も俺の中に戻ってきていたのだ――!


「チート能力が戻ってから馴染むまでにタイムラグがあったせいで、最初の一発はもろにイイのもらっちまったけど……うん、今はもう完全に元通り『龍眼』が使えてるな。よーく見えてるぜ?」


「うぅっ、でも! 今の10000倍『20世紀最後の暴君』は、ほぼほぼSS級の強さがあるんだよ? なのになんでS級の『龍眼』を使っただけで対処できるようになるの――!」


「ほぼほぼSS級……最近一気に聞かなくなったよな、ほぼほぼ……あんな流行ってたのに……」


 でもケンセーの疑問はいちいちもっともだ。

 ま、俺とケンセーの仲だからな、せっかくだから説明してあげようじゃないか。


「もともと『剣聖』と『龍眼』の組み合わせシナジーは、反則級に強かっただろ?」


 知覚系S級チート『龍眼』が敵を丸裸に分析し、それをもとに最強チートである『剣聖』が攻撃を組み立てて格上の相手であっても攻略するってのが、俺の基本にして絶対のスタイルだ。


「それに加えてチート学園でリューガンと直接触れ合えたことでさ、『龍眼』ってチートのこともよくわかったっていうか。今までよりもより深くチート能力を使いこなせるようになったんだ」


「まさか、そんなことが――」


 思い起こせばあれは確かシロガネの妹達シスターズを助ける時だったかな?


――――――――

主様ぬしさまのそれは、なかなかによく竜の力を真似た術じゃがのぅ。まだまだ力の本質、真理にはたどり着いておらぬのじゃ』


『『龍眼』とはただ遠いものを見る千里眼にはあらず。その本質は離れた場所にいる個体同士の意思疎通、心のやり取りなのじゃよ』

――――――――


 そんな感じで《神焉竜しんえんりゅう》に『龍眼』のなんたるかを教えられたことがあった。

 その時は《神焉竜しんえんりゅう》の持つ『真なる龍眼』が単なる上位互換だと思って、そんなもんかとさらっと流したんだけど――、


「そうか、これが『龍眼』の本質――『真なる龍眼』なのか――」

 今や知覚系S級チート『龍眼』は、SS級チート『真なる龍眼』へと昇華していた。


 《魔神》と戦った時にSSS級の力で強引に超強化した神話級知覚系SSS級チート『神龍眼』とは異なって、『真なる龍眼』は『龍眼』の本質へと至らんとする正統なる進化だ。


 そしてSS級チート『真なる龍眼』へ進化したおかげで、


 今の俺はケンセーの心までも見透かすように――ケンセーの意思や想いまでをも、なんとなく読みとることができるようになっていた。

 そうして得られた未来予知に近い先読みがあれば、あとは防御や回避くらい『剣聖』の力をもってすればどうとでもなるというわけだ。


 ――でもこれってある意味ケンセーのおかげなんだよな。


 ケンセーがチート学園を長引かせてくれたおかげで、チートっ子たちと俺の絆はより深く深く結ばれることになった。

 おかげでただでさえ反則級に便利だったS級チート『龍眼』が、さらなる超越進化をとげることができたのだから――!

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