第421話 激闘! エアウォーク ちゃんvs ブブカちゃん
「これは間違いなくシロだな」
「うん、間違いなくシロだね」
休日に、運動が得意なチートっ子たちと
エアウォークちゃんが3ポイントラインよりもはるか外の超ロングレンジから跳ぶと、そのまま大跳躍をしてド派手なダンクシュートを決めた。
それを眺めながら、休憩中だった俺とケンセーはこっそりと言葉を交わしていた。
「重力を無視してるっていうか、本当に空中を歩いてるみたいだもんな。エアウォークとはよく言ったもんだ」
「すいーーって滑るように進んでくから、まるで見えない板の上を歩いているるみたいだよね~」
これにはケンセーもびっくりしたみたいだ。
「でもブブカちゃんとエアウォークちゃんをバスケで競わせるってのはいい考えだったな」
「でしょでしょ? お互いに特技を生かして本気でやりあってるもんね」
「ハイレベルな戦いだから本物のチートかどうかも見抜きやすいし、2人同時にチェックできるから文字通り一石二鳥だ」
「だね――あ、またブブカちゃんがものすごい高さからダンクするよ」
言われて見やると、5メートルくらい飛び上がったブブカちゃんが豪快にダンクシュートを叩きこんでいた。
ちなみにバスケのリングの高さはほぼピッタリ3メートルだ。
つまり2メートルほどリングの上に飛び上がっている計算だ。
「跳び上がった時のつま先がさ、リングよりも高い位置にあるとかもはやバスケじゃないよな」
「ちょーっと2人とも本気すぎなんだよね……」
遊び要素ゼロでチート能力全開でガチりはじめた2人に、俺だけでなくケンセーまでもがちょっと引いていた。
「なぁケンセー。完全に2人でゴールを決めあってるだけっていうか、もう他の誰もついてってなくて見てるだけだぞ……」
「チートっ子はみんな負けず嫌いばっかだからね……」
お手上げって顔をしながらケンセーが言った。
「まあS級チートは言ってみればそれぞれの分野における『最強』だもんな」
ブブカちゃんもエアウォークちゃんも、お互いの意地とプライドにかけて得意分野でだけは絶対に負けるわけにはいかないのだろう。
その辺は完全格上のSS級の《
チート使用者である当の俺が諦めてたってのに、『剣聖』は最後まで自分が最強であることを証明しようとしていたからな。
ま、擬人化したケンセーはそんな雰囲気を全く感じさせない、へっぽこぴーの可愛い女の子だけど。
ゆるふわの茶色い髪とか、運動がさっぱりなこととか、おせっかい&なんだかんだで俺に甘いところとか、なんかこうラブコメの守られる系ヒロインって感じだし。
――なんてことを、ガチバスケ対決を遠めに見ながら考えていたら、
「ちょっとブブカ、アンタどんだけ高く跳んでんのよ!? もうそれバスケじゃないでしょ!?」
「そういうエアウォークだって、ハーフラインからいきなり跳んでダンクしてんじゃん? お互いさまだよ」
おっと、ヒートアップしすぎた2人が言い争いをはじめてしまったよ。
「アンタが滅茶苦茶やるから、アタシは仕方なしに付き合ってんのよ! アンタがフツーにやれば、アタシだってフツーにやるわよ!」
「だってセーヤくんにいいとこ見せたいんだもーん」
「アタシだってセーヤくんにいいとこ見せたいっつーの!」
「そこはそれ、私の顔を立てると思って」
「なんでアタシがアンタの顔を立てないといけないのよ!? っていうかバスケなんだから、むしろアタシの顔を立てなさいよね!」
「なにそれイミフwww」
「なんですってー!」
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