第396話 俺の異世界転生が濃密すぎる件に関して
「はおー様、お疲れさまでしたー」
巫女エルフちゃんがいつも通りののほほーんとした口調で声をかけてくれて、俺もちょっとほっこりする。
「すごかったですねー」
「巫女エルフちゃんもありがとうな。《
「それほどでもー。それに
「え? ウヅキが? さすがだなウヅキ。ウヅキにもいつも世話になってるよ」
「えーっと、わたし、なんですかね? ちょっとよく覚えてなくて……」
「謙遜するなんて可愛い奴だなぁもう。あそうだ、俺のカッコいいところも見ててくれたか? 自分で言うのもなんだけど、あの時の俺は相当イケてたんじゃないかと――」
「そ、それが……すみません! 途中からぼうっとしちゃって、実はその、最後の辺はよく覚えていないんです……」
「え、あ、そうなのか……」
思わず落胆を見せてしまった俺に、
「セーヤさんが頑張っていたのに、はうう、ごめんなさい……」
ウヅキがはわわと慌てながら頭を下げた。
「いやいやウヅキが謝る必要なんて全然ないんだからねっ!? それよりぼぅっとしてたって、大丈夫なのか? どこか調子でも悪かったりするのか?」
「いえ、特にそんなことはないと思うんですけど……でも最近ちょこちょこ意識が飛んでることがあるんですよね……やっぱり疲れているんでしょうか……?」
「そうかもな……ここ半月ほど色々あったから、うん、今日は早く寝たほうがいいかも」
もちろん半月と言うのは俺が異世界転生してきてから、である。
「そうですね、知らずに疲れがたまっていたのかもしれません……」
「それがいいよ。ぐっすり寝たらすぐに良くなるさ。――でもそっか。すごく長いようで、まだ
もう体感だと半年とか1年いるような感じだよ。
ほんと、俺の異世界転生がガチで濃密すぎる件に関して……。
ちなみに「こっち」と言ってしまったのは失言でも何でもなく、俺的には「異世界」って意味だけど、他のみんなは「東の辺境」に来て半月ととってくれるからだ。
「ところで
「まぁ、さすがにな。SSS級と戦ったわけだし疲れもするよ」
「うーむ、ちょっと違うというか。なんといえばいいのかの、いつものキラキラした格好良さが、今の
「――え?」
《
すると――
なっ!?『
常時これでもかと使いっぱなしだったモテモテのための最強ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』が完全に沈黙していたのだ。
いやそれどころか、これってもしかして全てのチートが発動していない――!?
つまり俺は今、チートなしの素の自分で――キラキラするどころか冴えないパンピーの俺がそのままで――
「いや、そのみんな。これは違うんだ――今はその、ちょっと訳ありで――だから見ないで――」
反射的に顔を隠そうとした俺を、しかし――、
「
「セーヤさん?」
「はおー様?」
「アンタ急に背中向けてどうしたのよ?」
《
「いやちょっと、その、今はダメなんだ――」
顔を背けながらさっぱり中身のない言い訳をはじめた俺だったが、
「あ……え……?」
急にぐにゃりと目の前がゆがんだかと思うと、同時に猛烈な脱力感が俺を襲ってきた。
《スサノオ》を倒した後にぶっ倒れた――いやその時以上の猛烈な疲労感。
《全チートフル装備》――全てのチートを同時起動したことの代償が、いまさらになって一気に俺の身体にのしかかってきたんだ……!
「あ、これマジでダメなやつ――うぅっ、立って、いられ、な、い……」
その言葉を最後に、俺の意識は深い深い闇の中に沈み込んでいった――。
「無敵転生 ――全チート、フル装備。」 この異世界で、ハーレムマスターに俺はなる!
第五部「《全チートフル装備》」 完。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
第五部は作品タイトルでもある《全チートフル装備》がついに登場となりました。
これはもともと第一部にて、SS級チート『大剣聖』という名前で《
無事にタイトルを回収できて、とても満足しております。
物語もそろそろクライマックスです。
もう少し、最後までお付き合いいただければこれほど嬉しいことはありません。
またもし気に入っていただけましたら、ブックマークや★を入れてもらえるととても嬉しく励みになります!
第五部も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
重ねてお礼申し上げます(ぺこり
ありがとうございました。
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