第250話 なっ!? アタシの水系最強精霊術が!

「まずはこれで様子見よ! 水系最強精霊術! 『超高圧聖水散弾ホーリーアクア・バルカン』! とぅっ!!」


 精霊さん(《精霊神竜》)が右手を突きだすと、巨大な魔方陣のようなものが浮かびあがった。

 そこから――、


「オラオラオラオラオラーーっ!」

 ズバババババババババ――ッ!


 猛烈な超連射によって、おびただしい数の弾が発射されてゆく――!


 これは……!

 知覚系S級チート『龍眼』が、即座にこの技を分析しはじめた。

 それによると、


「水に強烈な圧力をかけたものを弾丸にして、これまた強烈な圧によって発射しているのか!」

 つまりは超高性能な水鉄砲ってことだ。


 しかし驚いたのは、その暴力的なまでの数の多さだった。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーーっ!」

 ズバババババババババババババ――――ッ!


 弾幕という言葉がふさわしい、それは絶えることのない嵐のように猛烈な連続弾。

 毎秒60連発の恐ろしいまでの速射砲なのだ……!


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーーっ!」

 ズババババババババババババババババババババババババ――――――ッっ!


「なんという制圧力! これ最強S級チート『剣聖』でもかわすのは無理だぞ!? 受けてさばこうにしても、これだけの連射をさばき切れるかどうか――」

 さすがは精霊さん(《精霊神竜》)、SS級は伊達じゃない……!


「オラオラオラオラーーーー! ――からの、フィニッシュ!!」


 シャウトとともに精霊さん(《精霊神竜》)がカッコイイポーズをとると、爆音とともにひと際激しく、雨あられと圧縮水弾が撃ち放たれ――。


 こうして。


 約1分。

 3600発にものぼる暴虐の殲滅弾雨は、ようやっと終わりを告げたのだった。


「くっ、すさまじい攻撃だ……!」


 霧のようにけぶる水けむりが晴れはじめ、視界の先には避ける間もなく全弾被弾した《神焉竜しんえんりゅう》の無残な姿が――、


「おや? もう終わりなのじゃ?」

 えぇっと――《神焉竜しんえんりゅう》がケロッとした顔で立っていた。


「なっ!? アタシの水系最強精霊術が! ぜんぜん効いてないなんてっ!?」


 そう。

 無間地獄のごとく打ち放たれた弾丸の雨。

 しかし《神焉竜しんえんりゅう》には、さっぱりまったくちっとも効いてはいなかったのだ!


「世界で最も硬いと言われる竜鱗。その中でも最硬と言われる黒竜鱗に守られたこのわらわの絶対防御を相手に、弾の数だけは多いそのチンケな水鉄砲でなにがしたかったのじゃ? まあよい、ではお返しなのじゃ」


 《神焉竜しんえんりゅう》が無造作に右手を振るうと、大気が一瞬ぐにゃりと歪み――、


「な、なに!? なになになんなの!? 良く見えないんだけど!? くっ、なんかよくわかんないけど、風系最強精霊術! 『断罪の真空壁ヘヴンズ・ウォール』!」


 言葉とともに、精霊さん(《精霊神竜》)の前方に魔方陣のような美しい障壁が多重に浮かび上がって――、


「うあーーーーーーーーっ!」


 そして張りぼてかってくらいにいとも簡単に全部貫通されちゃって、直撃を受けた精霊さん(《精霊神竜》)が情けない声を上げなら吹っ飛んだ。

 そのまま地面に顏からベチンと叩きつけられる精霊さん(《精霊神竜》)。


 これは――!

「不可視の斬撃か! そういや、そんなものもあったな!」


 なんか、すっげー懐かしいぞ!

 しかも思ってた以上に強いときた!


「ふん……」

 悠然とたたずむ《神焉竜しんえんりゅう》と。



「くぅ……っ!」

 地面に転がった精霊さん(《精霊神竜》)。


 初撃にして、はや勝負あったかと思ったものの、


「ふっ……どうやら少しはやるみたいね……」

 精霊さん(《精霊神竜》)はふらふらと立ち上がった――いや浮き上がった、かな?

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