第200話 猛威の荷電粒子砲
――『リーン』――
遠くで鈴の音が鳴ったような甲高い音がして――、
ビュン!
真紅の熱線が俺をめがけて走りくる――!
「うぉりゃぁっ!」
それを知覚系S級チート『龍眼』をたよりに、なんとか回避してのける。
あまりに発生が早過ぎてディスペル系S級チート『え? なんだって?』ではとても対処が間に合わないのだ。
「《
「くっそ、《
――『リーン』――
またもや鈴のような音がなるとともに、熱線が俺のすぐそばを走っていく――!
「まったく、本当に器用なものですね。荷電粒子砲の砲口の向きと、粒子を荷電する際に生じるわずかな音だけを頼りに、射線とタイミングを読むことで発射する直前に回避しているのですね?」
「さすが量子AIは頭がいいんだな。100点満点、正解だ」
「……ですがそれではただかわすだけにすぎません。当たれば即死、わずかのミスすら許されない状況で、はてさていつまで逃げ続けられるでしょうか?」
――『リーン』――
――『リーン』――
――『リーン』――
遠い鈴の音が何度も鳴り響き、そのたびに熱線が走り抜ける。
「防御不可&回避困難の即死攻撃とかクソゲーのラスボスみたいなチート使いやがって!」
「相手に常に究極のクソゲーを強いる《
――『リーン』――
――『リーン』――
――『リーン』――
――『リーン』――
「くぅ――っ」
遠い鈴の音が鳴り響くたび、『龍眼』を頼りにどうにかこうにか熱線を避けていく。
時には身体を投げ出して転ぶようにかわし、時には思いっきり身体を捻ってスカし――、ひたすらにぶざまをさらして俺は逃げまどった。
それでも次第しだいに追い込まれていく。
理由は簡単。
俺が先読みするのと同じように、トワ=《スサノオ》も俺の回避行動を読みだした――いや既に完全に読み切られているからだ。
「回避系S級チート『質量を持った残像』!」
「甘いです――そこっ!」
「なっ!? S級の回避系チートが初見から通用しない――!?」
完全に動きを見切られてしまった俺が、
「やられる――!?」
それでも荷電粒子砲をかわせたのは本当にただのラッキー、偶然だった。
無条件の代わりに、滅多に発動することがないまぐれ系S級チート『当たるも八卦当たらぬも八卦』が本当に運良く発動してくれたからだ。
因果を捻じ曲げて「当たる」という確定していたはずの結果を、「当たらない」に置き換えてくれたのだった。
「奇妙ですね? 今のは確かに当たったはずですが……? やれやれ、本当にあなたには驚かされます。力が使えないにもかかわらず《オモイカネ》――量子AIの演算能力とこうまで張りあってみせるとは」
「昔から逃げ足ははやい方なんだよな」
「そのようですね。ですが、それもここまでです――荷電粒子砲・ツインドライヴ」
その言葉とともに背部マウントからもう一本の荷電粒子砲をとり出したトワ=《スサノオ》は、右手と左手にそれぞれ1本ずつを構えたのだ……!
「荷電粒子砲の二丁拳銃とか……さすがに冗談きついな、おい……!」
――『リーン』――
――『リーン』――
遠い鈴の音が立て続けに2回鳴りひびき――、
「いやマジで2本目があるとか反則だろ――!」
冗談でも反則でもなく、容赦なく発射された2本の荷電粒子砲――!
その致死を招く2条の熱線の、
「くぉぉぉぉっっっっっ!!!!」
1本をかわし――、
しかしもう1本が――、
「やばこれ、かわしきれねぇ――っ!」
即座に回避を諦めた俺は、
「頼む! 持ちこたえてくれ《
まだぎりぎりわずかに黄金の輝きを残していた神剣でもって、
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッ!!!!」
迫りくる荷電粒子の熱線を大上段から斬りつけた――!
「ぐぅぅぅぅっっっっっ!!」
《
「おおおおおおおぉぉぉぉぉっっっらぁ!!」
俺はどうにかこうにか、無慈悲なる荷電粒子砲の一撃を叩き伏せたのだった――!
しかしその代償として――、
「はぁ、はぁ、はぁ……うそだろ?」
何よりも頼りになる相棒が、SS級神剣が、
「《
柄だけ残して、根元から解け落ちていたのだった――。
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