第168話 不肖アリッサ・コーエン、微力ながら尽力いたします!
「チートがほんのわずかとはいえ代償を必要としているのはアリッサ、当然君も知っているね?」
「それはもちろん、チートのいろはの『い』ですから」
チートというのはほんのわずか、ほとんど気にならないレベルとはいえ、使用者に代償を要求する。
「そして彼は様々なチートをこれでもかと好き放題ってくらいに多用しつつ、さらには《
「すごいですよね! 私も驚きを禁じ得ません!」
「まぁそうなんだけどね……。ところで、一般的に男性は三大欲求とも言われ無限に湧き出る『性欲』を代償としてチートを使用することが多い。であればだ。つまり彼は異世界への情熱ではなく――端的に言えば
「そんなことはありません!」
キリッ!
私は本部長の言葉をすかさず、そして明確に否定した。
さすがに失礼かなとも思ったんだけれど、
「そんなことはありません、それは実際に
あの時の
澄んだ青空のような、無邪気な子供の心のような、新しい異世界に思いをはせる
いつかは
白い一軒家を買って、子供はオーソドックスに
仕事中にもかかわらず、思わずうっとりと甘くてシュガーな未来予想図を描いてしまった私でした。
「そ、そうか。うん、そうだね。悪かった、今の発言は聞かなかったことにしてほしい」
私の熱意に押されたのか、本部長が冷や汗を垂らしながら言った。
「い、いえ! 私のほうこそ申し訳ありませんでした! つい熱くなって、本部長に対してずいぶんと生意気な口を……」
「いやいや、いいんだアリッサ。私はね、
「こ、これ以上ないお言葉、ありがとうございます!」
これは今まで以上に頑張らないといけません……!
「そうそう。今回の一件で、追って臨時ボーナスが支給されるので楽しみにしておきたまえ」
「臨時ボーナス! あ、ありがとうございます!」
ただし――と、そう前置きをして本部長は続けた。
「今回の件は想像をはるかに超えた、ある意味衝撃的な結果だった。2度も顕現したということは裏を返せば、アガニロムという異世界がそれだけ危険な異世界であることの証でもあるからだ」
「――!」
「なにせこの状況というのはだ。異世界転生局が付与した――S級チート以下、全チートを付与したにもかかわらず、それだけでは抗しきれない状況にごく短期間で2度も陥ったということに他ならない」
「――――!!」
「今後はより慎重な対応が求められることになるだろう。これからは今まで以上に、
「それはもちろんです!」
「アガニロムへの道をこじ開け、《
「身に余るお言葉をいただき、ありがとうございます! 不肖アリッサ・コーエン、微力ながら尽力いたします!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます