第77話 頭ぽんぽん
《
「ま、こんなもんだろ――」
俺はスッと力を抜いたのだった。
《
世界は再び
長大な光の剣から元の日本刀へと戻った神剣《
「こりゃ世界で一番高価な照明だな」
思わず苦笑する。
かなり光度は落ちてきているものの、多分もうしばらくは光っていてくれることだろう。
「明るい間に、最後の仕上げをしておくとするか――」
俺は《
「よう《
そう語りかけたのだった。
「だからってわけじゃないが、ここいらで一旦、手打ちにしないか?」
「くるるるるる――?」
潰れたカエルのように両手両足と、あと首と尻尾を地面に投げ出した《
完膚なきまでにやられて怒りも解けたのか、《
間違いない、戦闘中に何度も感じた通りだ。
こいつは一たび冷静にさえなってしまえば、ちゃんと話し合える相手なんだ。
「いやな。お前もさ、長い間あんな狭い
《
「でもさ。それなりに暴れてもう気は晴れただろう? 俺だって一回殺されたんだし、だから今回は喧嘩両成敗で痛み分けって事でさ」
「クルルルルルルル――――」
「なに言ってるかはよく分からないんだけど、まぁ雰囲気的に多分納得してくれたんだろ。そう受け取っていいよな?」
言って、鼻先をぽんぽんとかるく撫でるように触ってやる。
――すると、ラブコメ系A級チート『頭ぽんぽん』が発動した。
「いや、別にこれくらいチートの発動がなくてもできるんだけど? ……っていうかハヅキにも何度かやったけど、発動しなかったよな? いやいいんだけどさ?」
幼いハヅキは年齢的に対象外だったのかな?
異世界転生局のチートの設定については、よく分かんないところがちょこちょこあるよね……。
「っていうか《
でも申し訳ない。
確かに俺は女の子たちからモテモテハーレムしたいと思ってはいるが、さすがにドラゴンはちょっと守備範囲外だ……。
ま、格で言えば二つも落ちるA級チートが、規格外の
……効かないよね?
それに今はそんなことよりも、
「よし、じゃあもう行け。なんせお前がここに寝そべったままだと、終わるもんも終わらないんだ」
ウヅキたちも、まだ遠巻きに様子を見守っているままだ。
「俺は早く
言って、もういちとぽんぽんと撫でるように鼻先を叩いてやった。
そうして《
「よし、これで本当に全部終わりだ――」
夜空に消える《
「ふぅ――」
俺はやっとこさ、
同時に惰性で回っていた《
あれだけ確かに感じられた覇気とも言うべき圧倒的な力を、今の俺はもうほとんど感じることができないでいた。
役目を終えた
「ありがとうな」
万感の想いを込めて呟いた感謝の言葉にはしかし、誰も返すものはいない。
ただ夜風がほほをぬるく撫でるだけ――。
それでも俺は《
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます