第1199話、わたくし、失われたメイドを求めて三千光年ですの⁉(その4)
──私はメイドロボの、『メディア』。
『マルチメディア』のメディアであり、けして『キ○スターのサーヴ○ント』の真名とは何も関係は無い。
何せこの私こそは、『型○キャラ』もびっくりの、『設定山盛りキャラ』なのだから。
何と、『メイド』にして、『ロボ』だけでは無く、更に『タイムトラベラー』でもあるのだ!
……私自身を造ってくださった『
何せ、世界有数の『マッドサイエンティスト』…………じゃ無かった、『天才科学者』として名を馳せた
陰キャならではに(?)、当時の日々を詳細に日記にしたためていたこともあり、過去のデータを完璧にインストールされている私が、若き
──そう、すべては私の、これからの頑張りにかかっているのだ!
どんな手を使ってでも、
……もう、夜な夜な卒業アルバムを涙まじりに眺めながら、あらぬことをわめきつつ壁に頭を叩きつけている、自分の創造主の姿なぞ見たくは無いから。
さあ、今こそ完成したばかりのタイムマシンによって、過去の世界に飛び立とう。
……規格上、衣服を転送することが不可能なので、一糸まとわぬ姿の謎の人物がいきなり高校の校舎に現れたりして、『痴女』に間違われないか気がかりであるが、
もちろんそんな些細なことよりも、使命のほうが大切だし、むしろそのようなインパクト抜群の邂逅こそ、『青春ドラマ』として盛り上がると言うものだ。
さあ、今こそ己の
そのように意気揚々と、過去へのタイムトラベルを敢行して、無事
「──よっ、メディア」
「今日も、遅刻か?」
「……また、こんな不要品置き場で居眠りなんかして」
「しかも、相も変わらず『全裸』だし」
「もう少し、淑女としての自覚をお持ちになったら?」
……あ、あれ?
何これ、
一体どうなっているの?
何で、未来からタイムトラベルしてきたばかりの私に対して、若き頃の
しかも、高校の校舎内で女の子が真っ裸で突然現れても、全然動じないどころか、もはや当たり前のようにして『淑女失格』──ていうか、あれ程恐れていた『痴女認定』されているし⁉
思わず
………えーと、そうなるとこの異常事態を、私一人で乗り切らなければならないわけなの?
「──あ、あのう、皆さんは、私のことをご存じなのでしょうか?」
「はあ?」
「何を今更」
「メディアは、我が
「もはや、『座敷童』か『備品』みたいなものじゃ無いか?」
「──まあ、今はメイド服どころか、何を着ていないけどな!」
「「「あははははははははははははは!!!」」」
──ざ、座敷童に、備品だとお⁉
人のことを、何だと思っているんだ!
…………いや、そういえば私ロボットだから、『備品』でも間違いないのか。
それよりも、『謎部活の専属メイド』であることのほうが、『ネタ』的にマズいんじゃ無いのか?
「──まったくもう、メディアちゃんたら、『初めて未来から来たタイムトラベラーが、過去の状況が予想とはまったく違っていて、つい全裸のままで焦りまくる』ネタはもういいから、いつものようにさっさとメイド服を着て、私たちにお茶を入れてちょうだい」
……もうすでに当たり前のようにして、私用のメイド服が用意されているんだ。
つうか、今発言したのは、
おいおい、『
「あ、あの、皆さんはどうして初対面で、しかも『全裸』の私のことを、そんなに当たり前のようにして、受け容れておられるんですか?」
つい堪りかねて、『タイムトラベラー』としては極力避けるべき『墓穴』を掘りかねない問いかけを、思わず口走ってしまったところ、
──そもそも『諸悪の根源』であるはずの、
「ヘ? そんなの、当たり前だろ」
──ッ。
「……当たり前とは、全裸であることがですか?」
「──違うよ、君を受け容れていることだよ!」
とは言っても、実は現在もなお、私が全裸のままであると言うのに、団員の全員が当たり前の顔をしていることを、もっと問いただしたいところであるのだが、
──もはやそんなことなど言ってはいられないほどの、メガトン級の問題発言を投下されたのであった。
「だって君は僕の、生まれた頃からの『幼なじみ』じゃ無いか?」
………………………はい?
「──って、はああああああああああああああああ⁉
「誰が『
「いや博士は博士でしょ、むしろ当の博士ご自身が、何をおっしゃっているんですか⁉」
「何ソノ執拗な『仇名呼び』⁉ 昨今の教育現場では、もはや『いじめ』の範疇だぞ⁉」
「──だってあなたこそは、『未来から来たメイドロボ』であるこの私を造られた、創造主のマッド……もとい、超天才科学者であられるのでは無いですか⁉」
「「「えっ」」」
あ、ヤバっ。
つい興奮して、『未来から来たメイドロボ』としては、絶対言ってはならなことまで言ってしまった。
しかし、この『衝撃の告白』に対して、別段驚く様子も無く、むしろ苦笑すら浮かべる、『
「あれれ、てっきり『み○るちゃん』だと思っていたのに、『長○さん』だったわけ? ていうか、今更『涼宮ハ○ヒの憂鬱』かよ⁉ もしかして高校生にもなって、『中二病』なの? 君は子供の頃盲腸の手術をしたり、骨折をしたりして、何度もお医者さんの世話になっていたけど、もしも本当にロボットなら、その時バレていないとおかしいのでは?」
「──なっ⁉」
またもや予想だにしなかったことを言い出す、目の前の少年。
もしそれが本当なら、少なくとも私の内臓と骨格は、普通の人間のものでしか無いことになるが、そもそも未来からたった今タイムトラベルしてきたはずの私に、この世界において『過去』が有ること自体がおかしいのだ。
──ホント、一体全体、どうなっているのよ⁉
(※次回に続きます)
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