第1198話、わたくし、失われたメイドを求めて三千光年ですの⁉(その3)
ちょい悪令嬢「──いやあ、実質的にタイムトラベルすらも実現できる、量子コンピュータを頭脳に持つ『人造人間』が、現在と未来との両方に同時に存在さえしていれば、一挙にすべてが解決できるなんて、完全に盲点でしたわ。この件に関しては、『失われた未来○求めて』に大感謝ですわ♡」
メリーさん太「……す、すげえ、いわゆる『物理的なタイムトラベル』を実現したって、物理法則ぶっちぎりじゃん⁉ その『失われた未来○求めて』ってアニメ、一体どうやったんだ⁉」
ちょい悪令嬢「主人公たちの通っている学校が建っている土地がタイムトラベルに適しているらしくて、
メリーさん太「なし崩しって⁉ しかも土地がタイムトラベルに適しているから成功したとか、もはやSFでは無くて、むしろ『オカルト』の類いじゃんか⁉」
ちょい悪令嬢「結構いいところまで行ったのですが、やはり物理的タイムトラベルの実現は不可能のようでした☆」
メリーさん太「……それなのに、うちの作者の『オリジナル案』だったら、実現できるってわけか?」
ちょい悪令嬢「『擬似的』には、ね」
メリーさん太「『擬似的』、って?」
ちょい悪令嬢「本作独自の『異世界転生』の実現方法を、アレンジしたようなものと思ってください」
メリーさん太「……うちの作者のお得意の論法としては、実際には現代日本から異世界への『転生』なんて行われておらず、生粋の異世界人に集合的無意識とアクセスさせて、現代日本人の『記憶と知識』を脳みそにインストールして、自分のことを現代日本人の生まれ変わりだと思わせるってやつか?」
ちょい悪令嬢「更にはこれの応用例として、ショゴスなんかで『
メリーさん太「──『擬似的』って、まさか⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、『失われた未来○求めて』においては、現在と未来とに同時に『同じ人造人間』が存在しているので、現在にいるほうに集合的無意識を介して未来にいるほうの『記憶と知識』をインストールすれば、『擬似的に』未来から現在へのタイムトラベルが実現するわけですよ」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「いやあ、本来時間的に絶対的な差が存在している、現在と未来との間で、『同じ年格好の同一人物』が同時に存在していることなんて不可能であり、たとえ『集合的無意識とのアクセス方式』を使おうが、原則的に『物理的なタイムトラベル』は実現不可能なはずでしたが、そもそも外見年齢的にほとんど変化が生じない、人造人間や不老不死の吸血鬼なんかだと、こういった『反則技』が使えるわけなのですねえ、ホント勉強になりましたわ♫」
メリーさん太「……いや、ちょっと待てよ?」
ちょい悪令嬢「おや、メリーさん、何かご不審な点でも?」
メリーさん太「その『擬似的な物理的タイムトラベル』の実現は、現在と未来との両方に、同じ年格好の『同一人物』が存在していないと駄目なんだよな?」
ちょい悪令嬢「ええ、その『絶対不可能』と思われた『泣き所』に、突破口を開けてくれたのが、『失われた未来○求めて』だったのですよ!」
メリーさん太「大喜びのところ申し訳ないが、その『突破口』は、文字通り『最初の時点でつまずく』んじゃ無いのか?」
ちょい悪令嬢「ほう、どうしてでしょう?」
メリーさん太「何せ最初に未来から現在へと『人造人間』を送り込もうとした時点においては、現在には『人造人間』はいないわけだから、『集合的無意識とのアクセス方式』は使えないことになるじゃ無いか?」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「お、おい、いい加減何か言えよ⁉」
ちょい悪令嬢「──あはっ」
メリーさん太「へ?」
ちょい悪令嬢「──あはっ、あははっ、あはははははっ」
メリーさん太「ちょ、ちょっと?」
ちょい悪令嬢「──あはっ、あははっ、あはははははっ、あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!」
メリーさん太「──悪役令嬢が、壊れたああああああ⁉」
ちょい悪令嬢「……い、いやあ、笑わせていただきました。いやいやお見事な『模範解答』、どうもありがとうございます」
メリーさん太「模範解答、だと?」
ちょい悪令嬢「これまでそう言った『固定観念』に固執していたからこそ、時間SFとしての『突破口』を開くことはできなかったのですよ」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「何度も申しますが、今回『失われた未来○求めて』において、同じ年格好をした人物が、現在と未来とに同時に存在し得ることを示してくださったお陰で、時間SFとして新たなる境地に到達することができたのです!」
メリーさん太「いや、だから、最初の時点では、現在のほうには人造人間はいないはずだろう?」
ちょい悪令嬢「『最初』って、何ですか? 一体何が、『最初』だと言うのです?」
メリーさん太「は?」
ちょい悪令嬢「忘れてもらっては困りますよ、本作において何度も何度も申してきたではありませんか? 『複数の世界の間には、時間的な前後関係なぞ存在しない』、と」
メリーさん太「……ええと、あんたが何を言っているのか、全然わからないんですけど?」
ちょい悪令嬢「ですから、『失われた未来○求めて』の作品世界においては、どの『現在』においても必ず、『人造人間』は存在しており、『人造人間が存在しない、最初の現在』なんて
メリーさん太「はああああああああああああ⁉ 何だそりゃあ!」
ちょい悪令嬢「むしろこのことに気づいたからこそ、本作の作者は、『擬似的』とはいえ、『物理的なタイムトラベルの実現可能性』に目覚めたのですからね」
メリーさん太「──そりゃあ、自分のオリジナル作品はそれでいいかも知れないけど、他人様の作品の重要なる設定まで、勝手に決めつけたりするなよな⁉」
ちょい悪令嬢「これについて異論がお有りなら、そもそも時間SFに手を出したりする資格は無いのですよ」
メリーさん太「資格が無いって、プロのクリエーターの皆様に、そこまで言っていいのか⁉」
ちょい悪令嬢「だって作品内において当たり前のようにして、現在と未来の間を何度も行き来しているのですよ? もはや『世界間の前後関係』はおろか、『現在』も『未来』もへったくれも無いでしょうが?」
メリーさん太「あ」
ちょい悪令嬢「そもそも本作のセオリーに則れば、実際に時間移動なんぞが行われているわけでは無く、あくまでも『時制の異なる
メリーさん太「……言われてみれば、『失われた未来○求めて』ワールドの中に、メインヒロインの一人である人造人間が常に存在していても、むしろ当然なことでしか無いよな」
ちょい悪令嬢「──と言うわけで、どの『現在という名の異世界』においても、同じ人造人間がいてもおかしく無く、その頭脳である量子コンピュータを使って集合的無意識とアクセスして、『未来という名の異世界』の自分自身の『記憶と知識』をインストールして、擬似的な『物理的タイムトラベル』を実現できても、何ら構わなくなるのですよ♡」
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