第1197話、わたくし、失われたメイドを求めて三千光年ですの⁉(その2)
──大富豪の孫として生まれながらも、幼い時分に両親を二人共事故で亡くすと言う、特大の不幸に見舞われてしまい、それ以降広大な屋敷で一人暮らしを余儀なくされて、唯一残った肉親である祖父により、専任のお世話係兼教育係兼護衛係のメイドさんをあてがわれることになったのだが、彼女と初めて対面をした時、僕は驚きのあまり思わず言葉を失ってしまった。
彼女が思いの外年若く、セミロングの髪も丸く大きな瞳も色素の薄い焦げ茶色をした、絶世の美少女であったのもさることながら、
実は、とても初めて会ったとは思えないほどの、『既視感』を覚えたのだ。
「……あ、あの、君」
「はい、何でしょう、お坊ちゃま」
「お坊ちゃまって……………うん、僕のことは、『ユキヒロ』と呼んでくれ」
「それでは私のことは、『メディア』とお呼びください」
「……『メディア』って、かの『女王メディア』にあやかってとか?」
「まさか、滅相もない」
「──ッ。『女王メディア』の生まれ変わりみたいな少女が、住み込みの家政婦をするって、まさか君、『キ○スターのサーヴ○ント』では──」
「もはや、おっしゃっている意味がわかりません。…………これだから『型○厨』は」
「──十分わかっているじゃねえか⁉」
「いやほら、『メイドロボ』と言えば、『マ○チ』ではありませんか?」
「は? ここ最近のトレンドで『マ○チ』と言えば、かの『原○インパクト』とかのソシャゲにおける、『マ○チプレイ』のことなのでは?」
「──ジェネレーションギャップ⁉」
「……ジェネレーションて、君もそんな歳じゃ無いだろう?」
「私の外見は年齢に左右されない………あ、いえ、何でもありません。とにかく『メイドロボ』と言えば、『マ○チ』なのです!」
「そこが良くわからないんだが、まあいい。どうしてメイドロボなら『マ○チ』であることが、君の名前が『メディア』であることに繋がるんだ?」
「ほら、『マ○チメディア』って言うでは有りませんか?」
「──結局、単なる駄じゃれかよ⁉」
「もちろん、『キ○スターのサーヴ○ント』の真名の意味合いも、多少は含まれてはいるんですけどね」
「──やっぱり、『型○厨』じゃねえか⁉」
「私と言うよりも、本作の作者がねw」
「──しかも、言い逃れがメタ臭い⁉」
「そんなことよりも、『ユッキー』ってば、私を見るなりさも意外そうな顔をなさいましたが、何かご不審な点でも?」
「──いきなりヤンデレそのままの死んだ眼になって、人を不吉な愛称で呼ばないで⁉」
「すみません、同じく『未来』をタイトルに冠した、『時間SF』繋がりのよしみで」
「──もうわけがわからないよ⁉(この台詞自体も『時間SF』繋がりだったりしてw)
「それよりも、一体私の何が、ご不満なのでしょうか?」
「──今となっては不満だらけだけど、最初に君を一目見て僕が意外そうな表情をしたとしたら、それはまた別の理由だよ!」
「と、おっしゃいますと?」
「……僕が今よりももっと幼い時分に、初めて訪れたお祖父様のお屋敷において、『絶対入ってはいけない』と言われていた地下室に、つい好奇心に負けて赴いてしまったんだけど、」
「わかります、『絶対入ってはいけない』なんて、単なる『フラグ』ですよねw」
「だから、『メタ的発言』はやめろって! ──とにかく、その地下室で見てしまったんだよ」
「見たって、一体何を?」
「何とそれは、まるで棺のようなガラスケースの中に安置されている、一糸まとわぬ絶世の美少女だったんだ!」
「…………へえ、『そんなもの』を、ねえ」
「ど、どうしたの? 急に目つきが鋭くなったけど?」
「いえ、何でもありません。──それで、その『少女』がどうしたのですか? 実はそれこそはかつて生きていた少女の剥製で、本家の御当主様が『猟奇殺人鬼』であることが発覚したとか?」
「──すげえことを、さらっと言うなよ⁉ 別にお祖父様は犯罪者なんかじゃ無いよ! だってその子って、『人形』だったんだから!」
「なあんだ、それなら何も問題は無いのでは?」
「そ、それが、思わず触ってみたところ、体温が無くひんやりはしていたものの、その精巧なリアルさや肌の質感ときたら、まるで生きた人間そのもので、単なる人形とは思えなかったんだよ⁉」
「………」
「ちょっ、どうしたの、いきなり黙り込んだりして?」
「……これは、
「え」
「あなた様は、御当主様の最大の秘密をお知りになったのです。たとえ実のお孫様であろうとも、ただでは済まないでしょう」
「──お、お祖父様の、最大の秘密って、あの人形は一体何だったんだ⁉」
「当財閥の豊富な資金力をふんだんに投入して、『オリエ○ト工業』様に特注して造らせた、世界に一つしかない本物そのものの、『少女メイド型ダッチワイフ』なのです!」
「──自分の親族にとっての、絶対に知りたくなかった秘密の、最大級のやつがきたああああああ!!!」
「……とはいえ、御当主様も奥様を亡くされて久しく、これは男の
「年端もいかない外見をして、妙に悟りきったことを言わないでくれる⁉ ──て言うか、その人形ってのは、君にそっくりだったんだけど⁉ 実はそれこそが、僕が一目君を見て驚いた理由なんですけど⁉」
「そりゃあ、御当主様だって殿方なのですから、メイドを選ぶにしろダ○チワイフを選ぶにしろ、どうしても『自分の好みのタイプの女性』を選んでしまうのも、当然の
「──実の孫に、祖父の生々しい性癖について、さももっともらしく語るのはやめてくれない⁉」
「まあ、とにかく、それは単なる『偶然の一致』に過ぎず、もちろん私は人形でも何でもございませんので、どうぞご安心なさってください。これから幾久しゅうあなた様のお側に仕えさせていただく所存ですので、どうぞよろしくお願いいたすますわ♡」
……まだまだ言いたいことは有ったが、そのように輝くような笑顔で言われては、もはやこれ以上二の句を告げなくなってしまうのであった。
──そうだ、こんなにも感情豊かな子が、人形なんかであるはずが無いのだ。
そのように、半ば無理やりのようにして、自分に言い聞かせた僕であったが、
まさかほんの数年後に、自分と彼女との『時間や世界』すらも超えた、運命的な結びつきを知ることになるとは、思いも寄らなかったのである。
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
メリーさん太「……何なんだよ、前回に引き続いての、今回冒頭の【突発新作短編】は?」
ちょい悪令嬢「ああ、実はほんの先日まで動画サイトの『GYA○!』様において全話無料配信されていた、エ○ゲ原作の時間SFアニメの傑作『失われた未来○求めて』にインスパイアされて、急遽作成した一作なのですよ」
メリーさん太「──いや、『インスパイア』て、むしろそのまんまじゃ無いか⁉」
ちょい悪令嬢「……え? 何ですか、メリーさん、『そのまんま』とは?」
メリーさん太「だから前回のラストのメイド(ロボ)嬢の、『──私こそは、あなた様ご自身の手で造られた「人造人間」であり、このような不幸な過去をやり直すために、遠い未来からこの時代へと送り込まれてきたのです』という台詞が、『失われた未来○求めて』の中心人物の一人である、古川ゆ○ちゃんの身の上そのものじゃ無いか⁉」
ちょい悪令嬢「ええ、ですから『インスパイアされた』と、申しているではないですか?」
メリーさん太「あれってもう、『インスパイア』なんてレベルじゃ無く、もはや『二次創作』や『パ○リ』と言っても過言じゃねえだろうが⁉」
ちょい悪令嬢「パ○リとは、また失礼な。あれはちゃんと、本作の作者の『オリジナル作品』でございますよ?」
メリーさん太「どこがだよ⁉ ──て言うか、自分から『インスパイアされた』と言っておいて、『オリジナル』は無いだろう⁉」
ちょい悪令嬢「ご心配なく、いつものパターンに過ぎませんから」
メリーさん太「いつものパターン、て……」
ちょい悪令嬢「他人様の作品を視聴していて、途中で結末を大方予想していたところ、実際には別の終わり方をした場合、そのアイディアは遠慮なく『自分の作品のオリジナルの結末』として、利用させていただくと言ったパターンですわ☆」
メリーさん太「──そ、それって⁉」
ちょい悪令嬢「確かに前回の【突発短編】の幕切れは、『失われた未来○求めて』そのものにも思えますが、あそこから大きく違ってくるのですよ」
メリーさん太「なっ⁉」
ちょい悪令嬢「さて、何と言っても『失われた未来○求めて』において注目すべきは、未来から来た『人造人間』が、わざわざ時間遡行してまで達成しようとした目的を達成できず、一応機能停止はしてしまうものの、けして未来に帰ったりせず、そのまま現代に居続けることですわよね」
メリーさん太「……あ、うん、普通はタイムトラベルの証拠になるようなものは残さないと言うのがお約束なんだから、特に『人造人間』などと言った『オーバーテクノロジー』の結晶そのものなんて、現代世界(の科学的発展)に多大な影響を与えて、未来を変えてしまいかねず、タイムトラベラーとしては御法度中の御法度だろうよ」
ちょい悪令嬢「実際主人公の秋山そ○氏も、残された人造人間を参考にして、まったく同じ人造人間を造るとともに、その頭脳部分である量子コンピュータを応用して、脳死状態の恋人を甦らせようとした挙げ句の果てに、何とタイムトラベルさえも実現してしまうのですからね」
メリーさん太「……それでうちの作者においても、何か新たなる時間SFのアイディアが浮かんだってわけか」
ちょい悪令嬢「ええ、これまで本作においては『タブー』であった、時間SFの『泣き所』について、革新的な『解決方法』を思いつきましたの!」
メリーさん太「じ、時間SFの泣き所、だと⁉」
ちょい悪令嬢「それこそはまさに、現代物理学的に絶対実現不可能なはずの、『肉体丸ごとのタイムトラベル』ですわ!」
メリーさん太「──ッ」
(※次回【その3】に続きます)
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