第1168話、わたくし、『ちょい悪令嬢フライングクロスチョップ』ですの⁉(その5)

ちょい悪令嬢「──大変てえへんだ、『メリー三太』親分、大変てえへんですぜ!」




メリーさん太「……朝っぱらから騒々しい、一体どうしたんだ、『ちょい悪』の?」




ちょい悪令嬢「それが親分、たった今し方、動画配信サイトの『ア○マTV』様で、超傑作レトロSFアニメ『プリマド○ル』の最新話を見たんですがね」


メリーさん太「何だ、また唐突に【アニメ談義】かよ⁉ ……………あれ? あたしたち何か、重要なことを忘れていないかしら? 確か前回って──」


ちょい悪令嬢「そんなこと言っている場合じゃありません! とにかく大変なのです!」


メリーさん太「『プリマド○ル』の何が大変なんだよ?…………まさか、ついに脱落者が出たとか?」


ちょい悪令嬢「それについてはすでに、第1話で『ゆう○り姐さん』が、『ゾンビランド佐○』に──」


メリーさん太「──うん、話を戻そう! それで、一体どうしたと言うんだよ?」




ちょい悪令嬢「何と今回、『お風呂回』だったのです!」




メリーさん太「へ?………………………あ、そうなの?」




ちょい悪令嬢「──何ですか、その(毎度のことながら)うっすい反応は⁉ あの(ガチロリキャラの)灰ざ○らちゃんや月○ちゃんたちが、一糸まとわぬ姿になられたのですよ! しかも近年では珍しく、(一部)『湯気無し』で!」




メリーさん太「……いや、確かにあの作品てミリタリィ物だし、時代的にも終戦直後の暗い世相を扱っているから、『お風呂回』とか『水着回』とかは無いものと思っていたけど、一応『萌え作品』であるからには、『テコ入れ』として無理やりねじ込むのも、別にそれ程驚く話では無いのでは?」


ちょい悪令嬢「そう言った『メタ』的なことを言っているのではありません! もっと『根本的な話』をしているのです!」


メリーさん太「根本的な話、って?」


ちょい悪令嬢「もちろん灰ざ○らちゃんたち、喫茶カフェ『黒○亭』の従業員の皆様についてです!」


メリーさん太「喫茶店の従業員であることがどうした? 毎日お仕事をしているんだから、そりゃあお風呂にも入るだろう」




ちょい悪令嬢「──喫茶店とか言う以前に、どうして『自律人形オートマタ』が、お風呂なんかに入る必要が有るのですか⁉」




メリーさん太「あ」




ちょい悪令嬢「しかもびっくり仰天、あの彼女たちが常時背負っている、ランドセルのようなパーツが有るじゃ無いですか?」


メリーさん太「ああ、あのいかにもどこかの量産型ボルジ○ーノンロボをロリ化したようなやつのことか?」


ちょい悪令嬢「あれ、取り外し可能だったのですよ!」


メリーさん太「へ?」


ちょい悪令嬢「なんか水に濡れては駄目なのか、お風呂に入る前にみんなして外して、脱衣場に並べておいているのです!」


メリーさん太「いやあれって、駆動装置とか超精密演算装置とか記憶データ保存庫とか非常用バックアップとか言った感じのやつで、常に背負っていなければならないんじゃ無かったのかよ⁉」


ちょい悪令嬢「つうか、お風呂で濡れて困るくらいだったら、戦場で激しい風雨にさらされた場合、活動不能になってしまうんじゃ無いのですか⁉」


メリーさん太「──もうあいつら、自律人形オートマタとかロボットでは無くて、ただのロリっ子ウェイトレスたちが、コスプレしているだけじゃないのか⁉」


ちょい悪令嬢「……つまり『労働基準法』や『児童福祉法』的に、あんな子供たちを働かせるのはマズいとかの、世知辛い理由だったりして?」


ちょい悪令嬢&メリーさん太「「──十分、あり得る話だ」」







???「……あなたたちは一体、何の話をしているのよ?」







ちょい悪令嬢&メリーさん太「「はい?」」







ちょい悪令嬢「……あ、あの、いきなり何ですの? あなたは一体?」


メリーさん太「この超極秘『量子魔導クォンタムマジックチャットルーム』に、どこから紛れ込んできたんだ⁉」


???「どこからも何も、ここは元々私の部屋だし、紛れ込んできたのはむしろ、あなたたちのほうでしょうが⁉」


ちょい悪令嬢&メリーさん太「「え?」」


???「『え?』じゃ無いわよ! いきなりわけのわからない『会話劇コント』なんて始めて、しかも勝手に人のパソコンでアニメの配信なんかを見ながら! 前回の続きは一体どうしたのよ⁉」


ちょい悪令嬢「ぜ、前回の続きって?」


???「もちろん、「わたくし、『ちょい悪令嬢フライングクロスチョップ』ですの⁉」の第5回目に決まっているでしょうが⁉」


メリーさん太「……ああ、そういえば、最近になって、新規の【作中作シリーズ】を立ち上げていたんだっけ?」




???「思い出したんなら、すぐに【本編】に戻るわよ! せっかく前回はいい所で終わっていたんだから、さっさと続きをいたしましょう!」




ちょい悪令嬢&メリーさん太「「──はっ、了解いたしました!」」




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




「……だってそうでしょ? (この作品お得意の)量子論の多世界解釈に則れば、『世界と言うものは可能性の上では無数に存在し得るのだから、あらゆるパターンが存在しており、小説家がほんの思いつきで作成した作品そのものの世界も存在している可能性が有って、逆に言うとその小説を読むことができれば、該当する世界にとっては『予言書』そのままに、未来に起こる出来事をあらかじめ知ることも可能になるじゃないの⁉」




 そうなのである。


 偶然手に入れた魔導書によって、異世界から予知能力者の美幼女を召喚したところ、ついでに都市伝説の幼女の『メリーさん』まで現れて、しっちゃかめっちゃかの大騒ぎ(死語)となってしまったが、元々私の目的は、自分の代わりに『未来予知』をしてもらうことだったのだ。


 それなのに異世界において、この世界の──特に、私自身の周囲を描写した小説が有ると聞いては、とても黙ってはいられないであろう。


 何せそれをどうにかして読むことができれば、あたかも『予言書』そのものとして利用できるかも知れないのだ。


 そのように期待に満ちて、当の異世界から召喚したばかりの『自称予知能力者』のほうを見やれば、


 これまで散々こちらの意見を全否定してきた幼女が、意外にも満面の笑みをたたえながら頷いた。




「──おおっ、素晴らしい着眼点ですわね! これまでわたくしたちの『メタ話』を頭っから否定しておいて、これぞまさに『メタの極地』ってレベルですわ☆」




 へ?


「い、いや私、別にメタ的なことを言ったつもりは無いんですけど?」


「その発想自体が『メタ』ですの! 無意識でやれるなんて、むしろすごいですわ!」


「はあ?」




「そもそも完璧な未来予知なぞ不可能であり、紙に書かれた『予言書』とか『アカシックレコード』なんてものは、ほとんどデタラメばかりと言っても過言では無いでしょう。──しかし、異世界で公開されている量子魔導クォンタムマジックネット小説『ゆめメガミめない』に関しては、まったく話が違うのです。なぜならこれはそもそも『予言書』とか『未来予知』を目的にして創られたわけでは無く、好き勝手に妄想を書き連ねてみたところ、多世界解釈量子論的に、たまたま別の世界の有り様そっくりの内容になってしまっただけですからね♫」




「──ッ」




「……未来予知が、不可能ですって?」


「ええ、いくら近い将来実現可能とされている『完璧に理想的な量子コンピュータ』をフル回転させようが、未来の出来事を唯一絶対的に予知することなんて、絶対に不可能ですわ」


「──だったら、私の願いはけして叶わないとでも言うの⁉」


「大丈夫ですって、そこは『やりよう』が、いくらでもございますから」


「やりよう、って……」


「それに今申したように、いろいろと『抜け道イレギュラー的なやり方』もございますしね」


「──なっ⁉」




「いい機会ですから、この『異世界の予言書(仮)』を中心として、『最も理想的な未来予知の在り方』について、存分に語っていくことといたしましょう♡」







(※【その6】に続きます)

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