第1148話、わたくし、日本初の『極超音速飛翔体』の実験成功を言祝ぎますの♡
令和4年7月24日未明午前5時、鹿児島県肝○町の内○浦、宇宙航○研究開発機構『J○XA』宇宙空間観測所。
「──J○XAの皆さん、国産初の『スクラムジェットエンジン』を搭載した、観測ロケット『S52○ーRD1号機』の極超音速飛行の成功、誠におめでとうございます!」
「我々防衛装○庁も貴重なデータを取得でき、大変助かりました!」
「つきましては、心ばかりのお礼として、我が鹿児島県川○駐屯地の調理職員が腕を振るいました、『自○隊カレー』を存分にご賞味ください!」
「……おかわりも、お好きなだけよろしいですぞ(伏線)」
厳つい制服をまとった、にこやかな笑顔の男性たちの、手放しの称賛の声。
それに呼応して、一斉に歓声を上げる、大勢の白衣の科学者たち。
それも、当然であった。
──何と言っても、まさにこの瞬間、日本国の宇宙開発と軍事技術のレベルが、これまでに無い長足の進歩を遂げたのだから。
エプロン姿の自○隊員たちが振る舞う山盛りのカレーに、満面の笑みで舌鼓を打っていく、J○XAの職員たち。
「──おおっ、やはり実験成功後の打ち上げは、何よりも嬉しいな!」
「『ロケットの打ち上げ』だけにな!」
「「「わははははははははは!」」」
「それに自○隊カレーの、何と絶品なことよ!」
「何せ旧陸海軍以来の、伝統料理だからな!」
「これは、何杯もおかわりができるぜ!」
「俺もだ!」
「こっちもだ!」
「おかわり!」
「おかわり!」
「おかわり!」
「おかわり!」
「おかわり!」
いつまでも鳴り響く、J○XA職員たちの、『おかわり』の連呼。
それに対して甲斐甲斐しく、ご自慢のカレーをよそい続けていた、自○隊員たちだったが、
「……時間、か」
おもむろに腕時計を確認するや、エプロンを脱ぎ捨てて、
全員、『憲兵』と書かれた腕章と、ガスマスクを装着した。
「──これより、『旧ソビエトのスパイ容疑』につき、貴様ら全員に対する尋問を開始する!」
「「「………は?」」」
突然のことに、当然のごとく面食らう、J○XA職員たち。
それを尻目に、次々に室内へと突入してくる、黒い制服の隊員たち。
そして、苛烈なる尋問──否、実質上の『拷問』が始まった。
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
メリーさん太「………………何だ、これ?」
ちょい悪令嬢「まあまあ、この【冒頭部の寸劇】に関する解説は、後ほど詳しく行いますので、まずは今回の『J○XA』様の偉業を全力で言祝ぎましょうよ!」
メリーさん太「『J○XA』様におけるロケットの打ち上げと言うと、普通だったら『Hシリーズ』を思い浮かべるところだけど、これって違うのか?」
ちょい悪令嬢「確かに打ち上げたのはロケットですが、注目すべきは『ジェットエンジン』のほうなのです!」
メリーさん太「……え、今回打ち上げたロケットって、ジェットエンジンだったの?」
ちょい悪令嬢「──ぷっ。ロケットエンジンで駆動するからロケットと言うのに、『ジェットエンジンのロケット』って。まるで科学技術的知識がほとんど無い、小学生低学年の子供の言い草みたいwww」
メリーさん太「悪かったな⁉ 生憎こちとらうちの作者みたいな、『軍オタ』でも『ロケットオタ』でも無いものでな!」
ちょい悪令嬢「あはははは、確かに打ち上げのメインは、ロケットエンジンの大型ロケットによって行われたのですが、それに実験用の『スクラムジェットエンジン』の飛翔体が搭載されていたのですよ」
メリーさん太「『スクラムジェットエンジン』って、本作において何度も話題に挙げたやつじゃないか⁉」
ちょい悪令嬢「実験内容もまさに、当【座談会】で述べてきたことばかりとなっておりますの♫」
メリーさん太「──と言うと?」
ちょい悪令嬢「スクラムジェットエンジンとロケットエンジンは、共に最近話題の『極超音速ミサイル』に使われておりますが、あくまでもこの二つはまったくの別物でございます。『スクラムジェットエンジン』のほうはジェットエンジンと言うだけあって、ジェット気流の燃焼に大気中の酸素を利用しますけど、宇宙空間──すなわち大気圏
メリーさん太「──本当に、この【座談会】ですでに述べてきたことばかりじゃないか⁉」
ちょい悪令嬢「ねえ、現在日本を震撼させている『某重大事件』の際にも述べましたが、本作の作者が当【座談会】で述べていることは、自身の豊富な知識と深遠なる思考力によって裏打ちされておりますので、もはや『予言書』そのものと言っても過言では無いでしょう☆」
メリーさん太「……うん、『某重大事件』のほうは、いろいろと差し障りがありそうだから言及を避けるが、確かにあいつの『軍オタ』ぶりは、専門家も裸足で逃げ出すレベルだよな」
ちょい悪令嬢「最近だと、実は例の『K○ー21』についてコメントしようと思っていたのですが、ついカッとなって感情的にこき下ろさなくて良かったですよ」
メリーさん太「『K○ー21』って、あの頭K印国ご自慢の『ポメラニアン』だか何だか言った、愛玩犬や超小型ワープロマシンのパクリのような名前の新型ジェット機のことか? 『感情的』とか『こき下ろそうとした』とかって、一体どういうことだよ?」
ちょい悪令嬢「いや、あの時代遅れのステルスもどきが本当に飛んだことにはびっくり仰天したのですが、考えてみれば時代遅れだからこそ、ある意味『革新性』に乏しい『安全パイ』なのだし、飛んでもおかしくは無いか──と、一応のところ納得していたんですけど、なぜか頭K印本国人や在ニッチどもが、日本に対してマウントをとり始めたのですよ」
メリーさん太「ヘ、何で? あんな現時点においてもすでに時代遅れであり、しかも未完成品に過ぎない『ポメラニアンもどき』が、どうして超音速エンジンにおける超先進国家である日本にマウントとれるんだ?」
ちょい悪令嬢「一応現時点でおいては、日本の国産ジェット機よりも、世代的に最新型だからですって」
メリーさん太「は?………………いやいやいや、独自の技術面では、日本のほうが断然『最新』だろうが⁉」
ちょい悪令嬢「て言うか、あれって『国産』とは絶対に言えないでしょう。──何せ、他ならぬ『心臓部』が、アメリカ製ですものね」
メリーさん太「ジェット戦闘機の、心臓部って?」
ちょい悪令嬢「もちろん、『ジェットエンジン』ですよ」
メリーさん太「あっ(…………先の展開が読めたぞ!)」
ちょい悪令嬢「そうなのですよ、実はジェットエンジンなんて原理上、やろうと思えばいくらでも出力を上げることができるのです! 先ほどチラリと申しましたが、大気中の酸素を取り込んで急激に圧縮して、酸化濃度を高めて燃焼室で高温化して、文字通り『ジェット気流』にしてからエンジン後部より噴出させることにより、高速飛行を実現しているのですが、その際に『ネック』となるのが当然のごとく、出力を上げれば上げるほどエンジン内部が高温となり、エンジン自体が燃え上がったり溶解したり爆発したり
メリーさん太「……そういやさっき、他ならぬ日本こそが、『耐熱金属加工技術』に関しては、世界最高レベルって言っていたっけ?」
ちょい悪令嬢「ええ、『スクラムジェットエンジン』の耐熱処理については、特許を有しているほどなのです。──そしてこの最先端の金属加工技術によってこそ、国際的には後発のジェットエンジン開発国でありながら、現在ではトップクラスの地位を獲得しているのです!」
メリーさん太「……実際、ドイツと並ぶジェットエンジン発祥国であるイギリスが、ジェットエンジンの共同開発を申し込んでくるくらいだからな」
ちょい悪令嬢「そして満を持しての、今回の国内初のスクラムジェットエンジンの飛行実験の成功なのですよ! ──まさしく当【座談会】で散々述べてきたことが、日本のジェットエンジンの超先進性が、明確に証明されたわけです!」
メリーさん太「……うわあ、そんな日本国様に対して、アメリカのジェットエンジンを恵んでもらってやっと成功した、『自称国産ジェット機』の初飛行でマウントをとろうとしていたなんて、あたしが頭K印国の『都市伝説』なら、腹を切って死にたくなるほどだよ」
ちょい悪令嬢「まさかこんなに早くも、手痛いしっぺ返しを食らってしまうなんて、やはり頭K印の皆様って、国を挙げて──否、在ニッチの皆様も含めて、『お笑い芸人』の素質がありますよ!」
メリーさん太「わはははははははは! まったくまったく! ───ところで、そろそろ冒頭の【突発短編】について、いろいろと聞かせてもらってもいいかな?」
ちょい悪令嬢「はい、どうぞ」
メリーさん太「──『はいどうぞ』じゃ無いが⁉ こんなにもめでたい『スクラムジェットエンジン』初実験の大成功だと言うのに、どうしていきなり『旧ソ連のスパイ』なんて言う、きな臭い話になってしまうんだ⁉」
ちょい悪令嬢「それはひとえに、今回の『スクラムジェットエンジン』実験に用いられた打ち上げロケットの、正式名称の問題なのです」
メリーさん太「へ? 今回のロケットの名称、って」
ちょい悪令嬢「『Sー52○ーRD1』と申します」
メリーさん太「名称と言うよりも、識別番号みたいだな。──それがどうした?」
ちょい悪令嬢「注目すべきは、最後の『RD』の部分です」
メリーさん太「あれ? 『RD』って、どこかで聞いた覚えが……………………ああっ、もしかして⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、『RD』と言えば、第二次世界大戦中から旧ソビエトにおいて使用されていた、それこそロケットエンジンやジェットエンジンにおける『識別名称』であり、『RDー1』は『グルシュコ 製ロケットエンジン』に該当し、かの高名なるドイツ製の世界初の実用ジェットエンジンである『Jumo004』のコピー品は、『RDー10』と名付けられておりました」
メリーさん太「……何と、よりによって、旧ソビエトのロケットエンジンやジェットエンジンと、同じ『型番』をつけてしまうとはな」
ちょい悪令嬢「ちなみに旧ソビエトにも『ラムジェットエンジン』は存在しており、やはり『RD』ナンバーが振られております」
メリーさん太「もうそれって、単なる偶然とは言えないのでは⁉」
ちょい悪令嬢「これはもはや、J○XA内部に現ロシアのスパイか、旧ソビエトの熱烈なる崇拝者でもいるのかってレベルですので、冒頭のような【突発短編】の発想に至ったわけですのw」
メリーさん太「──いや、今回の『RD』には、それなりにちゃんとしたJ○XA様独自の由来があって、勝手に『旧ソビエト』に絡めたりしたら、『風評被害』そのものだろうが⁉」
ちょい悪令嬢「別にいいではありませんか? 日本国においては何と国会レベルで、たとえ『旧ソビエトのスパイ』であったとしても、風評被害どころか『名誉毀損』にだってなり得ないのですから」
メリーさん太「え? 『旧ソビエトのスパイ』であることが判明しても、名誉が損なわれないだと?」
ちょい悪令嬢「だって、某政党の委員長様なんて、実の伯父さんがかつてソビエトのスパイであったことが判明しているのに、よりによって日本におけるコミー主義の最大の担い手を公言しながら、何の批判も受けていないではありませんか?」
メリーさん太「……日本は憲法レベルで、思想の自由や結社の自由が完全に保証されているからな。ホント、日本はスパイやその関係者に甘いよな!」
ちょい悪令嬢「まあそれも、『某重大事件』以前までの話ですけどね。今や面目丸つぶれとなってしまっている警察としては、この秋の『国葬』に向けて、戦前の戒厳令並みの超厳戒態勢をとられると思いますよ?」
メリーさん太「──結局、『某重大事件』に関して、言及しているじゃないか⁉」
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