第1144話、わたくし、『Fa○e』で『正義の味方』を目指すのは『狂気の沙汰』だと思いますの⁉(後編)

ちょい悪令嬢「……まあ、士○君の場合は、『主人公』と言うよりも『正義の味方』と言ったほうが、ふさわしいかも知れませんけどね☆」




メリーさん太「──いやいやいや、『主人公』だろうが『正義の味方』だろうが構わないけど、『Fa○e』シリーズ唯一と言っても過言では無い、『常識の塊』のような士○君が狂っているって、一体どういうことなんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「ですから、元々狂った世界の中で狂った人外たちに囲まれてなお、『正義の味方』になろうなどと、『常識的言動』を貫こうとしていることこそが、この上なく狂っていると申しているのですよ!」




メリーさん太「──うぐっ⁉」




ちょい悪令嬢「特に彼の『正義の味方』への固執ぶりは、もはや『異常』と言わざるを得ないでしょう。──まさにそれこそが、彼の『狂気の大本』なのですよ」


メリーさん太「……どうして『正義の味方』になろうとすることが、狂気の原因になるんだよ? むしろ『狂った世界』の中で正義を貫くことによって、人々や世界そのものを正常な状態に戻そうとすることこそ、『正しいあり方』と言えるんじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「おやおや、メリーさん、何か大切なことをお忘れではありませんの?」


メリーさん太「へ?」




ちょい悪令嬢「残念ながら、『正義の味方』なんて、なれっこないのです」




メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「そもそも『正義』そのものが、存在し得ないんだし」




メリーさん太「え?」




ちょい悪令嬢「──なぜなら、本作においても何度も何度も述べておりますように、『正義』なんてものは、立場によってコロコロと変わり得る、『抽象的概念』に過ぎないのですから」




メリーさん太「…………あ」




ちょい悪令嬢「その証拠に、『第五次聖○戦争』を戦っているサーヴ○ントの一人である『アーチ○ー』氏も、かつては『正義の味方』を目指して文字通りに『英霊』にまで登りつめたのですが、結局人間たちの『ある一方の勢力』に利用されるばかりで、その『敵対勢力』の──本来自分が守るべきだった『何の罪も無い子供たち』を、自らの手で殺さざるを得なくなって、『正義というものの欺瞞』を死ぬほど思い知らされて、まるで『かつての自分』そのものの士○君の姿を見るにつけ我慢できず、下手したら彼を殺す勢いで、『正義の味方』になろうとするのを妨害していたではありませんか?」




メリーさん太「……そういえば、そうだったな。──あと、『ギリギリのネタバレ回避』、ご苦労様ですw」




ちょい悪令嬢「──それで、これに対する士○君の対応はと言うと、このように『己自身の失敗例』をまざまざと見せつけられたというのに、まったく動じず、『正義の味方に俺はなる!』と言う信念を微塵も揺るがさないんですよねえ」




メリーさん太「……うん、確かにそこは、あたしも異常だと思った。何と言っても『結果』を知らされたんだから、少しは動揺してもおかしくは無いよな」


ちょい悪令嬢「それどころか、その後で行われた『己の信念をかけた戦い』において、自分よりも遙かに強大なる力を有するはずのサーヴ○ントのアーチ○ーさんに、(辛くも)勝つことによって、『正義の味方』になることを認めさせるんですよね」




メリーさん太「何かいかにも『いい話』のようにまとめられていたけど、いくらその場の勝負を乗り越えたところで、将来『正義の味方として挫折する』可能性はいまだ否定されていないと言うのに、何を『苦難を乗り越えてまた成長してしまった俺』みたいな顔をしているんだろうね?」




ちょい悪令嬢「──つまりですね、士○君は『正義の味方になる』と言う『狂気に囚われている』だけの話で、将来そのために挫折しようが構わず、その挫折すらも『正義の味方』としての人生を貫くために必要なら受け容れようと思っているんですよ」




メリーさん太「ええっ⁉ アレって、『──俺は挫折なんかしない! なぜなら俺はあんたと違って、真に理想的な正義の味方になってみせるからだ!』──と言うことじゃ無かったのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「彼の信念は、同じく『正義の味方』を目指した(自身の養父である)衛宮切○さんの『挫折』の上に成り立っていますからね。基本的には『すべての人を救うこと』を目標にしているのですよ。──それがたとえ、悪魔の化身のようなサーヴ○ントであろうが、『自分のことを全否定する未来の自分自身』であろうがね」




メリーさん太「……あれ? 『何むちゃくちゃなことを言っているんだ?』と言おうとしたけど、確かに士○君て作中で、まさにそんなことをしでかしているわ」


ちょい悪令嬢「その最たるものが、劇場版【Heavens Feel】のラストにおける、『彼の選択』なのですよ」


メリーさん太「……た、確かに、あれは間違い無く士○君にとっての『正義』だし、これまでの別ルートでは彼のことを認めようとはしなかった、アーチ○ーさんやイ○ヤちゃんにとっての『正義』でもあったよな」




ちょい悪令嬢「そしてそれがまさしく、『狂気の沙汰』以外の何物でも無いことも、否定できないでしょう?」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「──と言うわけで、ちょっと見方を変えるだけでいろいろな顔を見せてくれて、更に『Fa○e』シリーズそのものを進化させ得る、『衛○さんちの今日のごはん』アニメ版は、『Fa○e』ファンか否かにかかわらず必見の一作ですので、またいずれ全話無料配信等の機会がございましたら、是非ともご視聴なされることをお薦めいたしますわ♡」




メリーさん太「ちなみに現在においては、各動画配信サイト様で第一話が、『アニプレ○クスY○uTubeチャンネル』様にて第二話が、絶賛無料公開されておりますので、物は試しにご覧なさってくださいませ♫」




















ちょい悪令嬢&メリーさん太「「──などと、心得違いしていたことも、我々にはありました!!!」」




ちょい悪令嬢「……いやあ、わたくしたちも、まだまだ甘かったですわね」


メリーさん太「うん、『本物の狂気』と言うものを、本当は知りもしなかったくせに、生意気なことを言ってしまったよな」


ちょい悪令嬢「『本物の狂気』とは、主人公を始めとする登場人物はもちろん、その作品世界そのものが狂っていることなんかのです」


メリーさん太「そう、」




ちょい悪令嬢&メリーさん太「「──本当に狂っている作品とは、他でも無く、『原作者』や『アニメ制作スタッフ』の皆様ご自身が、狂っている場合を言うのです!!!」」




ちょい悪令嬢「……一体、何の話かと申しますと、」


メリーさん太「今期の夏アニメの、『邪○ちゃんドロップキックX』最新第3話の、冒頭部アバンについてなのですが、」


ちょい悪令嬢「非常にメタ的な話だったりして、メインキャラたち全員で、(テレビの観光案内番組を装った)前期の『邪○ちゃんドロップキックダッシュ』の(最終話に当たる)『千歳編』を見ているんですけど、」




メリーさん太「──実はこの第2期最終話って、大変な『問題作』だったりするのです!」




ちょい悪令嬢「それと言うのも、完全に【番外編】ならではの『お遊び回』なんですよ」


メリーさん太「ただし『お遊び』と言っても、それこそ『カニフ○ン』みたいに、本編の世界観を無視してむちゃくちゃやるのでは無く、いわゆる『ゾンビラ○ドサガ』みたいに、現実の自治体とか観光業界とかとタイアップして、観光地のPRを20分以上使ってたっぷりとやると言う、いわゆる『コラボ企画』なんだけどな」


ちょい悪令嬢「千歳市の市長さんとか、有名な温泉旅館の社長さんとかも、ご本人(の声)が登場なされていましたしね」


メリーさん太「それで『邪○ちゃんドロップキック』の登場人物たちも、千歳市の観光地を紹介するために、『悪魔組』と『天使組』とに分かれて、わざわざ北海道へと遠征したんだけど、問題は『天使組』のほうなんだよな」


ちょい悪令嬢「そうなんですよ、このエピソードを見てから、最新作の『邪○ちゃんドロップキックX』の第1話を見た場合、ほとんどの視聴者の皆さんは、『あれっ?』と思われたことでしょう」




メリーさん太「何せ、第3期である『X』において初登場のはずの、天使たちにとっての『あるじ』に当たる『リエ○ル様』が、第2期の最終話であるこの『千歳編』において、いかにも『レギュラーキャラ顔』して当たり前に登場しているんだからな」




ちょい悪令嬢「当然これについては、本作の作者自身も疑問に思っておりました」


メリーさん太「とはいえ、元々ギャグ作品であり、第1期と第2期の時系列もいい加減であったので、『それ程目くじらを立てる必要も無く、「邪○ちゃんアニメ版」ならそんなものだろw』と自分に言い聞かせていたところ」




ちょい悪令嬢「──何と、まさに今回の最新話において主人公の邪○ちゃんご自身が、その『時系列の齟齬』に疑問を呈されたのでございます!」




メリーさん太「しかも、他のキャラたちには『千歳市を観光した』記憶がちゃんと有って、『リエ○ル様』に関しても第3期以前からレギュラーとして存在していたと認識している中で、邪○ちゃんだけがその記憶がまったく無く、『──何なんですの、この私だけが知らない世界線は…ッ!』などと、『シ○タインズ・ゲート』や『ひぐ○しのなく頃に』みたいなことを言い出したりしてな」


ちょい悪令嬢「もうね、作品の齟齬さえもネタにして、むしろ主人公どころか視聴者までも混乱の坩堝に突き落とすことすら辞さず、自分たちの犯した過ちを認める気など毛頭無いという、潔いまでの開き直りっぷり」


メリーさん太「この制作スタッフの皆様の、とにかく作品を面白くさせようとする執念には、『狂気』すらも感じられるよな」


ちょい悪令嬢「……うん、これぞまさしく、アニメ制作における、『本物の狂気』ですよね」




ちょい悪令嬢&メリーさん太「「──それなのに、『Fa○e』シリーズの作品そのものや、主人公の士○君のことを、勝手に『狂気認定』したりして、誠に申し訳ございませんでした!!!」」




メリーさん太「……そうだよな、『邪○ちゃんドロップキック』に比べて、真面目に『異能バトル』を行っている『Fa○e』シリーズは、十分『正気』だよな」


ちょい悪令嬢「少なくとも、原作者様もアニメ版スタッフの皆様も、『狂気』に囚われたりしておらず、普通に全力で作品づくりをなされているだけですしね」


メリーさん太「特に今回と前回話題に取り上げた『衛○さんちの今日のごはん』なんて、まさしく『狂気』の片鱗も見受けられない、完全なる【日常編】だからな」




ちょい悪令嬢「──と言うわけですので、『衛○さんちの今日のごはん』アニメ版に対しましては、あらぬ誤解を生むような論評をしたりして、心から反省いたしております!」




メリーさん太「『衛○さんちの今日のごはん』は、誰もがとっつきやすい【日常編】であるとともに、『Fa○e』シリーズのファーストコンタクトに最適な傑作でもありますので、皆様是非とも安心してご視聴なさってくささいませ♡」

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