第1126話、わたくし、台湾が香港の二の舞にならなかった理由がわかりましたの!(解説編)

メリーさん太「……ええと、前回の【突発短編】も、相変わらず『危な過ぎるネタ』だったんですが、アレは一体?」




ちょい悪令嬢「ほら、今月1日は、『香港返還25周年』だったではありませんか?」


メリーさん太「あ、うん、そうだな」


ちょい悪令嬢「それで、現在の香港の置かれている立場の『比較対象』として挙げられるべきは、やはり何と言っても『台湾』ですよね?」


メリーさん太「え、そうなの?」


ちょい悪令嬢「ズバリ、『今日こんにちの香港』の姿こそが、『明日の台湾』の姿だったりして★」


メリーさん太「……あー、確かになあ。もしも仮に、大陸某国が、台湾を併合しようと思ったら、恥も外聞も性懲りも無く、『一国二制度』を標榜せざるを得ないよなあ」


ちょい悪令嬢「今回の25周年式典において、期末試験だか実力テストだかの『首席』様が、『一国二制度は今も理想的に機能しておる、しておるのじゃ!…………しているよね?』と宣言していたのも、台湾を『一国二制度』でできるだけ穏便に吸収しようとしているのでしょうねw」


メリーさん太「……いや、現在の香港の状況を見れば、それはちょっと無理が有るんじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「──となると、やはり台湾に対しては、武力併合しか無いと?」


メリーさん太「それか、お得意の『情報操作』なんかを駆使して、台湾内部で工作を巡らせて、自然と大陸への帰属の気運を高めていくとか?」


ちょい悪令嬢「そんな『搦め手』を使うよりも、数だけは多い人民解放軍の武力を使ったほうが、よほど手っ取り早いと思うのですが?」


メリーさん太「いや、現在の国際情勢下では、そんなことを本当にやったら、『総スカン』を食らうんじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「──それも、ロスケの『ウクライナ侵攻』の結果次第ですね。結局ロスケ側に有利な『手打ち』が行われるようなことになれば、中つ国の台湾軍事侵攻に対して、事実上の『お墨付き』を与えるようなもので、共産党内武闘派を勢いづかせるのでは?」


メリーさん太「た、確かに」




ちょい悪令嬢「そもそもですねえ、大いに疑問に思っていたのですが、なぜ大陸コミー勢力は、70年前の中国内戦の際に、台湾を一気に攻め落とさなかったのでしょうか?」




メリーさん太「……そりゃまあ、ただでさえ『窮鼠猫を噛む』よろしく、舐めてかかれば手痛いしっぺ返しを食らいかねないので、慎重に慎重を重ねるべき状況である上に、けして少なくない残存勢力が、事も有ろうに海を隔てた小さな島に逃げ込んだものだから、一挙に大軍勢を送るのが困難となり、さりとて小出しにすれば『各個撃破』されてしまうのが目に見えているので、この際台湾(国民党残存勢力)は放置して、大陸本土のみで『勝利宣言』をして、自分たちが正統なる中国大陸の覇者であることを世に知らしめたんじゃないのか?」




ちょい悪令嬢「うんまあ、そんなところでしょうね。現在もそうですが、とにかくコミー国家と言えば、海軍と空軍が貧弱だから、島嶼部への侵攻を苦手にしておりますからね」


メリーさん太「──あ、でも、確か大陸部においても、国民党政府側の陣地が残っていたんじゃ無かったっけ?」




ちょい悪令嬢「そうなんですよ、あの内戦において国民党政府側は、ほんのわずかな陣地とはいえ大陸に踏みとどまり、コミー人民軍の台湾侵攻を戦略的及び戦術的に、見事に撃退することを成し遂げたのでございます!」




メリーさん太「……あれ? そうすると、さっきの『最後の陣地が独立した島だったから助かった』理論が、通用しなくなるぞ?」


ちょい悪令嬢「わたくしもずっと疑問に思っていたんですよねえ。──でも実は、その答えは、最近の台湾の方々における、ある『アンケートに対する回答』に有ったのです!」


メリーさん太「アンケートって、一体どんな?」


ちょい悪令嬢「『もしも台湾がコミー人民軍の侵略を受けた際に、自分たちを助けてくれる外国の軍隊は、どこを期待なされますか?』──と言った内容でした」


メリーさん太「……それはまあ、常識に考えて、米軍あたりじゃ無いのか?」




ちょい悪令嬢「自衛隊、です」




メリーさん太「はい?」




ちょい悪令嬢「ですから、台湾が凶悪な侵略国家から攻め込まれた際に、最も頼りにしているのが、『日本国の自衛隊』であるとのことなのですよ!」




メリーさん太「──はああああああああああああああああ⁉ そんな馬鹿な!」




ちょい悪令嬢「おや、どうしてです?」


メリーさん太「自衛隊は基本的に『専守防衛』を旨としているのだから、自国が侵略されたりしない限りは武力行使は御法度であり、たとえ台湾が極悪な侵略軍に攻め込まれようが、手の出しようが無いだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「でも、台湾の皆様は信じているのですよ、自分たちが困った際には、きっと日本が助けてくれるって」


メリーさん太「──何でだよ⁉」




ちょい悪令嬢「なぜなら、『前例』が有るからです」




メリーさん太「へ? 前例、って……」




ちょい悪令嬢「実は、まさしくかつての内戦の最終局面において、台湾本土決戦に突入する以前に、わずかに残された大陸部においてコミー人民軍を辛くも撃退できたのは、旧日本軍人の助けが有ったからなのですよ」




メリーさん太「──なっ⁉」




ちょい悪令嬢「しかもそれは、国民党のトップであられた蒋介石総統閣下と、日本のいち将軍との、『個人的友情』によるものだったのです」




メリーさん太「……個人的友情って、蒋総統と日本軍人の間でか?」




ちょい悪令嬢「先の大戦末期、卑怯にも突然中立条約を破棄したロスケ赤軍が怒濤のように攻め込んできて、中国大陸における日本軍は大混乱に陥りました。しかもそれに加えて(当時首脳部をコミー工作員に完全に乗っ取られていた)米軍の二発の原爆投下までも重なって、とうとう日本は『ポツダム宣言』を受け容れて、全軍に対して『武装解除』を命じたのです。──しかし、ロスケの侵略者どもは、その後も侵攻の手を緩めること無く、丸腰となった軍人どころか、民間人すらも殺戮し、女子供に対してまで狼藉を働きました。理性的で合法的な日本軍による組織的統治が瓦解したために、中国や朝鮮の人民どもまでも暴徒と化して、もはや降伏宣言をした日本軍や民間人に対して危害を加えてくる有り様でした」




メリーさん太「……まさに、この世の地獄だな」




ちょい悪令嬢「そんな中で、勅命に逆らってまで人々を守ろうと、武装を解かず闘い続けることを決意した、高潔なる軍人が現れたのです!」




メリーさん太「──な、何だってえ⁉」




ちょい悪令嬢「彼こそが、もとひろし中将閣下であり、後に中国内戦の折に、危機に瀕した国民党政府側の助力に馳せ参じ、圧倒的に優勢だったコミー人民軍を撃退した、台湾における『国民的英雄』だったのです!」




メリーさん太「──日本の対ソ連撤退戦の殊勲軍人が、戦後台湾における『救国の英雄』でもあるだと⁉」




ちょい悪令嬢「それと言うのも、たとえ世界一高潔であり勇猛果敢な日本陸軍といえども、圧倒的優位なロスケ赤軍から民間人を守り抜くのは絶望的状況にあって、中将としては『一計』を案じざるを得なかったのです」


メリーさん太「その、一計とは?」


ちょい悪令嬢「日本軍が崩壊した後において、当然のごとく中国の正統なる支配者となった、『蒋介石』総統ご自身に、助力を得ることです」


メリーさん太「──当時の中国大陸における、日本軍人の最大の敵じゃねえか⁉」




ちょい悪令嬢「さっきから何度も言っているでしょう? 日本軍人こそ、世界一『高潔』だって。これは別に根も葉も無いことなんかでは無く、当時の混乱を極めた中国戦線においても、根本中将は人道的配慮を重んじて、敵将である蒋介石総統からも一目も二目も置かれていたのですよ。──そもそもお二人は、戦前から『知己の間柄』であったそうですしね」




メリーさん太「……へえ、いかにも『不倶戴天の敵』以外の何物でも無いと思われる『日中の軍人』の間にあっても、そのような信頼関係を築くことができたんだな」


ちょい悪令嬢「とにかく、蒋総統の特別のお計らいにより、何と四万もの満州残留日本人が無事に祖国に帰り着くことができて、根本中将はこのご恩をけして忘れまいと心に誓ったそうですわ」


メリーさん太「そりゃあ、あの戦後の大混乱状態においては、奇跡みたいな話だろうよ」




ちょい悪令嬢「──そして本当に、蒋総統が中国内戦において大ピンチに陥った際には、『釣りに行ってくる』とのみ家人に伝えて、まさに着の身着のままに単身台湾へと渡って、国民党政府側の大陸における残存勢力を指揮して、あえて大陸部最後の拠点であった厦門を捨ててコミー側を油断させてから、本命の金門島に全勢力を投下して敵の先遣部隊を殲滅して、コミーの侵攻を完全に押しとどめることに成功したのです!」




メリーさん太「……え、それってつまり、真に自由主義の中国政権を守れたのは、日本軍人の働きによるものだったってわけなの?」




ちょい悪令嬢「ね、現在の台湾の方々が、自衛隊に期待しているのも当然でしょう?」




メリーさん太「──ええーっ、日本軍人て、そんなに優秀だったわけ⁉ たった一人で自国の先進的な軍事知識を使って、中華赤軍なんかの異世界ナーロッパレベルの原始的な軍隊を完全制圧するなんて、まるで『なろう系』の主人公みたいじゃ無いか⁉」




ちょい悪令嬢「逆ですよ、台湾は異世界どころか外国でもありません。何せかつて『神州もと』の一部だったですからね。日本軍人としては、その地において『防衛戦』をいかに戦うかは、常に頭に叩き込んでいる必要が有ったのですわ」




メリーさん太「な、なるほど……」




ちょい悪令嬢「──と言うわけで、大陸のコミー政府の皆様、あなた方が『侵略』さえしなければ、現在の日本の自衛隊は動くことはありませんので、くれぐれも軽挙妄動はお控えなされるように♡ ……さもないと70年前と同様に、人民の支持を失うほどの大敗北を喫し、コミー党による独裁的支配体制そのものが崩壊しかねませんよ★」

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