第966話、わたくし、『絶版出版物』が読み放題になったことを言祝ぎますの♡

ちょい悪令嬢「──皆さーん! 日本全国の『下克上上等の本好き』の皆さーん! 超超超超超超、超朗報ですよー!!!」




メリーさん太「何と、何とですよ、あの『国立国会図書館』様が、現在すでに絶版になった書物について、インターネット上で閲覧可能にしてくださったのです!」




ちょい悪令嬢「これが本作の作者のような『ビブリオマニア』にとって、どんなに僥倖なことか、これから詳しく語り尽くしたいかと思いますので、本来予定していた内容を大幅に変更することをお許しくださいませ」


メリーさん太「……まあ、こんなビッグニュースを耳にしたとなれば、すぐにでも『同志ビブリオマニア』の皆様に教えるべきだよな」




ちょい悪令嬢「どうして本作の作者が、ここまで前後の見境も無く大興奮しているかについては、読者の皆様にもわかりやすいように、『初歩の初歩』からしっかりとご説明して参りたいかと存じます。──まずはですね、知っている方も少なくないかと思いますが、国立国会図書館には原則的に『すべての出版物』が集められており、従って何と『すべての絶版本』が存在することになるのです!」




メリーさん太「それと申しますのも、何かしら書物を出版する際には、そのうちの一冊を国立国会図書館に献本することになっているからであり、当該書物が絶版されて市場において流通しなくなったり、破損や老朽化によってこの世から消滅したりしようとも、国立国会図書館内には存在することになるのです」


ちょい悪令嬢「よって、これまでも学者や研究者や学生や、そして何よりも絶版本マニアの皆様は、直接国会図書館に赴いて、お目当ての本や、その場で検索して知り得た非常に価値のある絶版本を、思う存分閲覧しておられたのです」


メリーさん太「──ただしこれは当然のことながら、首都圏周辺に在住の方に限定された『特権』みたいなものであり、地方在住の方にとっては、学者やよほどの本マニアで無い限りは、その事実自体も知り得ず、『絶版本の閲覧』なんて、ほとんど縁の無いことでした」


ちょい悪令嬢「あとこれは、少々贅沢な悩みかも知れませんが、国立国会図書館への交通アクセスがそれ程便利では無く、更には所蔵書物の閲覧等の手続きも結構煩雑かつ時間がかかることもあって、本作の作者においても東京在住の折、一度だけ利用したきりとなっております」


メリーさん太「……まあ、あくまでも『国会』という立法機関が適切に運営されるための、情報収集及び所蔵施設だからな。一般の利用者が気軽に利用できる一般の図書館とは、自ずと違いが生じざるを得ないよな」




ちょい悪令嬢「──それを一気に解決する方策として、これまでも『Web閲覧』という素敵サービスが行われていたのですが、やはり直接図書館に赴く場合に比べて、どうしても限定的なものとならざるを得ず、地方在住者としては不満を感じていたところ、何とこのたび『絶版本限定』とはいえ、Web上での全面的閲覧が可能となったのです!」




メリーさん太「パソコンやスマホさえ有れば、日本中どこでも、いつでもすぐにでも、お目当ての絶版本を閲覧できるんだから、ブビリオマニアとしてはもう堪りませんわ♡」




ちょい悪令嬢「もちろん、事前に少々手続きが必要であり、閲覧できるジャンルにも限りがございますので、その点はご注意を☆」




メリーさん太「え? 事前の手続き、って?」




ちょい悪令嬢「先ほども申しましたが、この基本的に『国会に所属している図書館』は、一般人が気軽に利用することを前提にしておりませんので、それこそ『個人が気軽に利用する』ためには、事前に個人情報を登録しておく必要が有るのです」




メリーさん太「──ええっ⁉ それじゃあ、最低でも一度は国会図書館に行かなければならないわけ? 地方在住者にとっては、それだけでも難易度が高いじゃんか⁉」




ちょい悪令嬢「その点については大丈夫です。これは別に『絶版本』とか『Webサービス』とかに関係無く、国立国会図書館を利用するに当たっての基本的条件ですので、もう何十年も前から行われており、地方在住者においては『郵送での申し込み』も認められていて、公式HP上においてそのための『書式』が入手可能となっております。また通知する個人情報も、氏名や住所等が確認できるマイナンバーカードや免許証等の写しでOKのようです」




メリーさん太「……まあ、間違いなく国の機関である国会図書館に、個人情報を提出したところで、基本的に問題は無いだろうしな」




ちょい悪令嬢「たったそれだけの手間で、絶版本が好きなだけ閲覧できるのなら、むしろ感謝感激雨あられですよ!」


メリーさん太「『好きなだけ』って、つまりは、これまで出版された全書物のうち、すでに絶版になったものだったら、すべて閲覧できるわけか?」




ちょい悪令嬢「……それが残念ながら、『漫画関係』の全書物と、『雑誌類』は、閲覧対象外となっておりますの」




メリーさん太「ええっ、漫画関係がダメなら、価値は半減するんじゃないのか⁉」


ちょい悪令嬢「──ったく、それはあくまでも、『一般人の価値観』であって、筋金入りの『ビブリオマニア』にとっては、『絶版本』と言うだけで、無限の価値が有るのです!」


メリーさん太「おい、ビブリオマニアの皆様が、いかにも『一般的価値観』から逸脱しているような言い方はよせ!」


ちょい悪令嬢「だって、事実ですもの。──もちろん、本作の作者自身も含めてね♫」


メリーさん太「本作の作者が、(漫画以外で)どんな絶版本に興味が有るって言うんだよ?────あっ、さては、あいつ……」




ちょい悪令嬢「昭和時代のまだ規制が緩かった頃の、『某ジャンル』のことだったら、見当違いも甚だしいですよ? 言っておきますが、『絶版本』と『発禁本』は違うんですからね」




メリーさん太「ああ、やはり特定の書物には、『規制』がかかるってことか? …………ある特殊な趣味を持たれている一部の漫画家の皆様、ご愁傷様です。だからといって『個人輸入』に走って、税関に『ブツ』に差し押さえられないようにw」


ちょい悪令嬢「──ていうか、個人情報が把握されているのに、そんなものを閲覧しようと思うこと自体が、自殺行為じゃん?」


メリーさん太「……『漫画関係』でも無く、『ロ○関係』でも無いとしたら、本作の作者は一体、何を閲覧するつもりなんだ?」




ちょい悪令嬢「そりゃあ決まっております、すでに絶版となってしまった、旧ドイツの初期のジェット機を中心とした、『軍用機関係』の書物ですよ!」




メリーさん太「──それが有ったかあああああああああああああ!!!」




ちょい悪令嬢「特に当時の資料が散逸している『試作機』や『計画機』等の、時代を数十年は先取りしていた超革新的ジェット機については、出版される書物ごとに内容が異なっていることも少なく無く、非常に重要な情報が限定した本にしか書かれていないことすらも有り得ますからね」




メリーさん太「そういうのを国会図書館の『検索機能』を使って、すべて読み尽くそうってわけか? 確かに『ドイツ軍戦闘機マニア』にとっての、長年の夢が叶えられたも同然だよな」




ちょい悪令嬢「まさしく、かの『バベルの図書館』が実現したようなものですわ! ありがとう国立国会図書館様! ありがとう『本の神様』! ──さあ、我が国のビブリオマニアの皆様、早速今日から国立国会図書館様に対しては、けして足を向けて寝られませんよ!」

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