第900話、わたくし、『努力は必ず報われる』と断言いたしますの!(後編)

メリーさん太「……うん、前回の『父親の介護とアニメ版進○の巨人』についての話は、一応のところ理解できたけど、これ一つのみを例に挙げて、『努力は絶対に報われる』と断言するのは、あまりにも言い過ぎでは無いのか?」


ちょい悪令嬢「そんなことはありませんよ? ──そもそも皆さんは、『努力』というものが『何なのか』を、本当の意味ではわかっておられないのでございます!」


メリーさん太「努力の、本当の意味、って……」




ちょい悪令嬢「最近のトレンドで申せば、『親ガチャ』や『出身地ガチャ』なんかに関係無く、本人が努力すれば、何事であろうとも必ず報われるのです。──もしも報われない場合は、答えはただ一つ、あなたが『努力不足』だっただけのことですよ」




メリーさん太「──出ました『努力不足』! それ絶対に言っちゃいけないことだろう⁉ みんな必死に努力しているんだよ! 結果的に目標に達することができなくたって、本人は全力を尽くしたんだよ! 結局のところ努力だけでは駄目なことも、この世にはあるんだよ!」




ちょい悪令嬢「いいえ、メリーさんを始めとして、そのような『言い訳』ばかりほざいている方たちは、『目的と手段』と言うものを履き違えているだけなのです。『結果を出せない努力』は、そもそも努力とは言えないのです!」


メリーさん太「……じゃああんたは、例えば現在金持ちで無かったり国会議員で無かったりするのは言うまでも無く、今日食べる物さえもおぼつか無いほど困窮していようとも、あくまでもその人たち自身の『努力不足』の一言で、片づいてしまうって言うのかよ?」


ちょい悪令嬢「ええ」


メリーさん太「『ええ』、じゃ無いだろ⁉ おまえいい加減にしないと、下手すると『人権問題』になるぞ⁉」


ちょい悪令嬢「いいでしょう、メリーさんご自身も先ほどおっしゃいましたが、例えば『国会議員になるための努力』とは、果たしてどういうものだと思われます?」


メリーさん太「……国会議員になるための努力って、そりゃあまずは何と言っても、国の内外を問わず政治情勢や社会情勢全般のことについてしっかりと勉強して、実際の選挙に備えて資金づくりや支持者づくりに奔走することとかだろうけど、そう言ったものこそは、『代々政治家の家系』の人間なら最初から当たり前のように手に入れることができる、いわゆる『親ガチャ』の最たるものじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「……国会議員になれるか否かが、『親ガチャ』次第だあ? ──てめえ、ふざけるなよ!」


メリーさん太「ひいッ⁉」




ちょい悪令嬢「本当に国会議員になりたいと思ったら、どんな汚い手でも使わなければならないんだよ⁉ たとえ十数年来の友人であろうとも、選挙においてライバルともなれば蹴落としていかなければならないんだよ⁉ 金や集票の手段が無かったら、どうにかして地元の有力者や労働団体や宗教組織なんかに取り入らなければならないんだよ⁉ ──結局今回も、『女性の当選者が少なくて残念』だと? 別にそれは『男女差別』なんかじゃ無い! 女どもが『努力不足』だっただけだ! 男の議員だって、楽して当選しているわけじゃ無い! なりふり構わずあらゆる手段を使って、女はもちろん同じ男の候補者をすべて蹴落として、小選挙区におけるたった一つの議席をもぎ取っているんだ! これが『国政選挙において努力する』と言うことであって、そもそも当選できなかったら何の意味も無く、そんなもの『努力』とは言えないんだよ⁉」




メリーさん太「……努力とは、どんな汚い手段を用いようとも、必ず目標を達成すること──だと?」




ちょい悪令嬢「それ以外に、どんな努力があるとおっしゃるのです? 目標を達成できなければ、ただの『努力不足』に他ならないのですよ」




メリーさん太「そ、そうか、本気で国会議員や大金持ちになりたいと思ったら、なりふり構わず汚い手を使うのはむしろ当然のことであり、そういうことをやって初めて、『努力を果たした』と言うべきだよな」


ちょい悪令嬢「つまり今回の女性候補者の方々は、卑怯な手段を講じたりしない、清廉潔白な方々ばかりであることが証明されたわけで、むしろ誇ってもいいのではありませんか? ──残念ながら、とても国会議員なんかには、向いていないと思われますけどねwww」


メリーさん太「そりゃそうだよな、文字通り『国の舵取り』を行わなければならないんだ。『清濁併せ呑む』こともできないで、当選なんかおぼつか無いだろうよ」


ちょい悪令嬢「……それなのに、自分たちが落選したのは、『日本の男女平等意識がまだまだだから』とか、『国民全体の政治意識のレベルが低いからだ』とか、自分の至らなさを省みること無く、絶対してはならない『有権者』のせいにしやがって。──いやいや、てめえら、百回ほど死んで生まれ変わってから、人生やり直したほうがいいと思うぞ?」




メリーさん太「──ちょっ、言いたい放題言うなよ⁉ ………でもまあ、あんたの言うこと自体は、納得できたよ。実際に『親ガチャ』等のバックボーンがまったく無くても、国会議員や大金持ちになった人なんて、ごまんといるんだ。『目標のためにはどんな汚いことでもする』のが真の努力だったら、『いくら努力をしても絶対に夢を叶えられるとは限らない』とかほざいている輩は、単なる『努力不足』とそしられても当然だよな」




ちょい悪令嬢「もちろんこれは国政選挙以外のすべてのことにおいても当てはまりますので、もしもあなたに何らかの『夢』──最低でも、現在の苦しい状況から抜け出したいとかいった、『願望』がお有りなら、手段を問わずどのような汚い手を使ってでも成し遂げるべきであり、もしそれが不可能であったのなら、あなた自身が『努力不足』であるのはもちろん、元々そんなに叶えたかった願望ユメでは無かっただけの話ですので、身分相応の生き方をなされることをお勧めいたしますわ♡」










メリーさん太「……うわあ、最後の最後で盛大に、読者の皆様を煽りやがったよ、こいつ」




ちょい悪令嬢「ここまで申せば、逆に発奮なされて、夢を叶えるための努力をし始める切っ掛けになるかも知れませんしね♫」




メリーさん太「──おまえ、それはあくまでも『後付けの理由』だろうが⁉ 最後だけ綺麗にまとめようとするんじゃ無い!」













ちょい悪令嬢「……とか何とか言っていたら、肝心の『進○の巨人』のアニメ版運営様が、『大勝利』どころか『大敗北』に──否、『大炎上』になってしまわれましたわ⁉」




メリーさん太「……いや、あの『腕章』については、完全に擁護不可能だろう。一体何をやっているんだ、公式自ら⁉」




ちょい悪令嬢「漫画やアニメ等の創作物フィクション内で『小道具』扱いしている分なら、まだ言い訳のしようがありますが、実際に『商品化』したりしたら駄目でしょう」


メリーさん太「何と言ってもモチーフにしたのが、『第二次世界大戦時における最大の民族的悲劇』だからな、下手すると国際問題に発展しかねないぞ」


ちょい悪令嬢「これが引き金になって、原作やアニメ版自体も、今更問題にされたりしてね」


メリーさん太「──まったくもう、ホント何やっているんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「そうそう、『腕章』と言えば、本作の作者においても忘れられない思い出がございまして、さる国際的なパソコン関係の展示会において、世界を代表する某メーカーのスタッフの皆様が、赤地に白い円を染め抜いて、その中に会社のシンボルマークを黒塗りして描いていたものを、右腕につけられていたのですよ☆」




メリーさん太「──それってモロ、某『第三帝国』そのものじゃんかよ⁉ 『マ○レの腕章』なんかよりも、よほどマズいのでは⁉」




ちょい悪令嬢「そこで本作の作者が、『御社は世界征服でも目指しているのですか?』と聞いてみたところ、スタッフの方が苦笑いなされましてねえw」




メリーさん太「聞くなよ、そんな危ない質問!」




ちょい悪令嬢「……実はその頃当のメーカー様におかれましては、業績が最悪の状況にあって、ライバルのマイク○ソフトやソ○ーに身売りする瀬戸際まで追いつめられていて、それに対する反発や奮起の心意気こそが、スタッフの皆様にあのような腕章を着けさせたのではないでしょうか?」




メリーさん太「──気持ちはわからないでも無いけど、その腕章だけは絶対に駄目!」




ちょい悪令嬢「でも、これを着けていると、いかにも某パソコンメーカー様への忠誠心が高いように見えるではないですか? そこで(バリバリの林○信者の)本作の作者が一つ譲ってくれるように頼んだところ、『最終日に展示会が終わった後なら差し上げて構わない』と言われたそうですよ?」




メリーさん太「欲しがるなよ、そんなもの! ………………いや確かに、ネット上でオークションにかけたら、かなり高額で落札されそうだけど」




ちょい悪令嬢「ところが残念ながら、わざわざ最終日にもう一度展示会に行くのも面倒でしたので、結局手に入れることは叶わなかったそうですの」










メリーさん太「……何ソノ、中途半端なオチは⁉ 一体あたし、どう反応すればいいの?」

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