第896話、わたくし、『即死チート』の正体を解明いたしましたの⁉(前編)

ちょい悪令嬢「──ビッグニュースですよ、メリーさん!」




メリーさん太「うわあ、今回ものっけから、すっげえハイテンションでやんの。…………本作の作者も、もはやこれまでか」




ちょい悪令嬢「いやいやいや、別に本作の作者は、父親の介護に疲れ果てて、ついに精神的にイッちゃったわけではありませんから⁉」


メリーさん太「ほう? だったらそのビッグニュースとやらは、一体何のことだよ?」


ちょい悪令嬢「ふっふっふっ、聞いて驚かないでくださいよ?」


メリーさん太「いいから、さっさと言え! そんなにもったいぶっておいて、もしもつまらないことだったら、ただではおかないからな⁉」




ちょい悪令嬢「──実は何と、かの『即死チート』の、量子論と集合的無意識論に則っての、『正体』の解明に成功したのです!」




メリーさん太「は?………………………………………いやいやいや、何ソレ⁉」




ちょい悪令嬢「だから、『即死チート』のカラクリを、完璧に解明したと申しているのですよ」


メリーさん太「──ツッコミどころが多過ぎて、対処できないよ⁉ 『即死チート』なんて言う、フィクションの最たるものを、本当に論理的に解明できるのかとか! そもそも他人様の作品なのに、余計なお世話じゃ無いのかとか! そして何よりも、父親の介護に忙殺されているなかに、そんな面倒なテーマで作品を作成して大丈夫なのかとか!」




ちょい悪令嬢「大丈夫ですってば、話をお聞きになれば、メリーさんも必ず納得間違いなしだし、特に最後の点については先日も申したように、『書きたい時が書くべき時』ですので、忙しいとか体力が無いとか関係無いのです!」




メリーさん太「……『書きたい』って、何か切っ掛けでも有ったわけか?」


ちょい悪令嬢「実は二つほど有りまして、一つは、前回言いかけた『F○teゼロ』における『王様としての在り方』についてで、もう一つは、まさしく『即死チート』の作者様による『質問募集』に刺激されたからです」


メリーさん太「『王様としての在り方』に『質問募集』って、何だそりゃ?」




ちょい悪令嬢「まず『王様』についてですけど、こちらは『F○teゼロ』のネタバレにならないようにできるだけ抽象的にご説明しようかと思うのですが、そもそも『王様』と言うものは、たとえ王家の血を引いていようとも、『自己申告』のみでなれるものでは無く、自らが治めるべき民たちから『王様』であると認められなければ、真の意味で王様になれないのですよ。──つまり、個人的な王様という『物理的要素』よりも、民からの忠誠心という『精神的要素』のほうが重要になってくるのです」




メリーさん太「……はあ?」




ちょい悪令嬢「むしろこれは前回テーマとして取り上げた、『神様』のほうがわかりやすいかも知れませんね。──原則的に神様なんて『実体』としては存在しませんが、無数の信者による『信仰心』の集合体こそが、事実上神様が存在しているのと同じ状況を生み出しているのです。──つまり、『精神的要素』さえ有れば、『物理的要素』なんて必要では無くなるのですよ」




メリーさん太「……あー、言いたいことが何となくわかってきた。王様や神様なんてモノは、信奉する者がいなければならないのであり、極論すれば、『忠誠心』や『信仰心』と言った、無数の『精神的要素』の集合体が具象化したようなものであるわけだ」


ちょい悪令嬢「御名答。──そして更に申せば、これぞ本作において毎度お馴染みの『集合的無意識』なるものの正体にも、通じていたりするのですよ」


メリーさん太「集合無意識の正体、って……」


ちょい悪令嬢「ここからが二つ目の、『即死チート』系Web作品における『質問募集』イベントと関係してくるんですが、前回もお伝えしましたように、当該作品において現在ラスボスと思われているのが、『世界そのものを夢見ているダイケンジャー』さんだったので、本作の作者ってば、『どうして自分の夢の中に本人がいるのですか?』という、(少々意地悪な)質問をしてみようかと思ったのですよw」


メリーさん太「──やめて差し上げろよ⁉ 完全に『揚げ足取り』じゃんか!」


ちょい悪令嬢「本作の作者も思い直したようで、これまた前回お伝えいたしましたように、『「世界を夢見る神様」が登場してしまいましたから、主人公の「即死チート君」が闘う最後の最後のラスボスは、原作者である○○先生御自身になるのですか?』という質問に差し替えましたw」


メリーさん太「ああ、あれも、その『質問募集』イベント由来のアイディアだったのか? …………いや、その質問も、原作者様に対して、結構失礼なんじゃな無いのか?」


ちょい悪令嬢「まあとにかくそんないきさつが有りまして、元々の質問のほうは、本作の作者自身で考えることにしたのですが、ここで先程の『王様の在り方』が関わってくるのですよ」


メリーさん太「……何で? 『この世界を夢見ているダイケンジャー』と『王様』が関わってくるって、どういうこと? (『王様』では無く『魔王』だったら、『今日からマのつく自○業!』になるけど……)」




ちょい悪令嬢「単純に考えるだけでも、もしもこの世界が大賢者さんの見ている夢だとしたら、当然のごとく、この世界と、大賢者さんが目覚めた後に存在している世界との、『二つの世界』が存在することになるのですよ」




メリーさん太「──ああっ、確かにその通りじゃん⁉」




ちょい悪令嬢「しかもですね、これについては本作において何度も何度も申し上げてきましたけど、人は普通に『他人になった夢』を見る可能性があるわけで、大賢者さんが目覚めたら、『大賢者では無く別の誰かさん』となる可能性だってあり得るわけです。──そうしたら、どうなると思います?」


メリーさん太「ど、どうなる、って?」




ちょい悪令嬢「目が覚めた時に存在する世界も夢を見ていた張本人さんも、無数に存在する可能性があり得るので、某『即死チート』系Web作品のように『世界を夢見ているダイケンジャー』さんなんかを登場させたら、(可能性の上では)無限に存在し得る世界を夢見ている『ダイケンジャー』さんとは、一個人という『物理的要素』では無く、(可能性の上では)無限に存在し得る『世界そのものを夢見ている人物』の集合体ってことになり、世界そのものも、無数の人々が見ている夢──すなわち、『人の無意識』という『精神的要素』の集合体ってことになるのです」




メリーさん太「そ、それって⁉」




ちょい悪令嬢「そう、まさしく『集合的無意識』そのもの──と言うことになるのですよ」




メリーさん太「──‼」







(※いよいよ『即死チート』の衝撃の正体が判明する【後編】に続きます)

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