第881話、【ハロウィン記念】わたくし、『表現の自由』を弾圧するゴミニズム政権なんて、『暴力革命』で打倒しますの⁉

「──どう言うことなのだ、これは!」




 202X年10月31日、日本国首都東京渋谷区某所、


 政権政党日本ゴミニズム党本部、最上階の大会議室にて響き渡る、妙齢の女性の金切り声。


 ──フ○=チャン。


 東アジア最大の軍事大国にして、ゴミニズム思想における世界的なリーダー格、『中つ国ゴミニズム人民共和国』党中央政治局から遣わされた、フシギ=チャン系YouTuber兼暫定日本統括委員長。


「ふ、フ○=チャン委員長、どうか落ち着いてください!」


「──これが落ち着いていられるか⁉ シ○=チャン秘密警察シュタージ長官! そもそもこれは、貴様の責任だろうが⁉」


「うぐっ⁉…………面目次第もございませんっ!」


 激昂しまくる上司を何とかなだめようとした、ベテラン女性秘密警察長官であったが、むしろ更に火に油を注ぐ結果となるだけであった。




「……せっかく中つ国本国の政治力と軍事力と経済力とを総動員して、消滅寸前だった日本国の弱小ゴミニズム政党を後押しして、先の衆議院解散総選挙で圧勝させて、念願のゴミニズム政権を日本に打ち立てると同時に、我々中つ国人が党上層部を占めて指導的立場に立ち、名実共に日本を中つ国の『省』として属領化せんと、日本人どもを弾圧洗脳し奴隷化するために、絶大なる軍事力を誇る中つ国人民解放軍を日本に大挙派遣するとともに、秘密警察『シュタージ』を設立して、万全の支配体制を敷いたはずだったのに、どうしていまだに『反乱軍レジスタンス』の反革命活動を許しているのだ⁉」




※【作者注】某日本ゴミニズム党が今回の総選挙において(まかり間違って)政権をとったとしても、万に一つも日本国自体が外国のゴミニズム勢力の支配下に置かれることなぞあり得ず、これはあくまでも日本の某政党の歴代の指導者のお名前に『チャン』をつけると、『某有名YouTuber』と中国人名の『チャン』のダブルミーニングとなるので、これはこれで『面白い』かと思い(w)、このような『ふざけた設定』となっただけですので、悪しからず。




「──こらっ、作者! 余計な『楽屋落ち』の地の文を入れて、ストーリーの流れを中断するんじゃ無い!」


「どうどう、落ち着いてください、委員長。もうお歳なんですから、眉間にしわを寄せすぎると、そのまま取れなくなりますよ?」


「──貴様! いくら女同士とはいえ、歳のことは言うな! 粛正するぞ⁉」


「ひぃっ⁉」


「いやホントそもそもの話、長官の貴様には軍隊の動員まで認めているというのに、どうしてシュタージ総掛かりで、たかが反革命分子を根絶できるどころか、日本省の完全属領化自体を邪魔され続けているのだ⁉」


「そ、それは他でも無く、想像以上に敵が、『強大』だったからでございます!」


「……強大って、そういえば先日シュタージはおろか人民解放軍派遣部隊二個大隊が壊滅してしまった、ここから目と鼻の先で勃発したいわゆる『代々木事変』の際には、一体どれだけ大勢の『敵』と相対したのだ?」


 考えてみれば、これまで平和憲法のもとでぬくぬくと暮らしてきた日本人が、たとえゴミニズム政権が成立して大陸から侵略軍が進駐し事実上占領状態になったからといって、世界有数の軍隊である中つ国人民解放軍と互角以上に渡り合えるなんて、むちゃくちゃ異常な事態ではないか?


 そんなに『真の自由と平和と民主主義を愛し、何としても日本ゴミニスト党や中つ国派遣軍を打ち倒そうとする、憂国の士』が、大勢いたということなのか?


 そのように今更ながらに思い至ったフ○=チャン委員長が、シ○=チャン秘密警察長官へと恐る恐る問いただしてみたところ、




「──一人、です」




 ………………………は?




「おい、秘密警察長官、今何と言った?」


「だ、だから、先日私どもシュタージと人民解放軍とが相対した『敵勢力』は、一人だったと、申したのです」


「ふ、ふざけるなあ⁉ 貴様自分が『シュタージ』だからって、敵が『BE○A』のような怪物だったとでも、言い出すつもりじゃないだろうな⁉」


「ま、まさか、『BE○A』なんて、とんでもない!」


「そうだろう、そうだろう、何せ本家の『マブ○ヴ』や『柴犬』のアニメ版にも、ほとんど登場しなかったくらいだからな」


 ──コラ、余計なことは言うな!




「ええ、ええ、『BE○A』なんかではございません。何と敵は、『魔法少女』だったのです!」




 ………………………は?(二回目)


「『敵は魔法少女』、って……」


 何ソノ、いかにも爆死確定な、駄目なオリジナルアニメのタイトルみたいなのは?


「──貴様、私のことを馬鹿にしているのか⁉ 何が魔法少女だ! 言い訳なら、もっとましなのにしろ!」


「嘘じゃありません! そもそも魔法少女、無いのです!」


「なっ⁉ ──それって、まさか!」




「ええ、これまで散々我々シュタージや人民解放軍に対して、単騎あるいは少人数で立ち向かい圧倒してきたのは、魔法少女や女神様や女悪魔や女錬金術師や女騎士クッコロさんや女流棋士さんや女魔導士や悪役令嬢や聖女や女薬師や女勇者や女冒険者や女剣士や女盗賊や女ヒーラーや女型の巨人等々の、超常の存在だったのです!」




「──何だ、そりゃあ? いきなり世界観が変わってしまったじゃないか⁉ それにどうして女ばかりなの⁉ …………………しかもなんか最後、ヤバいのが混じっていたし」




「実はすべては、この国のゴミニズム政党の、選挙期間中の不用意な発言に、端を発しているのです!」


「へ? 不用意な発言だって? ここの日本人スタッフ(全員粛正済み)って、一体何と言ったのだ?」


「……じ、実は、それは──」




「──それについては、このわたくしの口から、述べさせていただきますわ☆」




 その時唐突に会議場の入り口のほうから聞こえてきた、涼やかなる声音。


 思わず振り向けばそこには、豪奢なドレスをまとった銀髪金目の絶世の美少女が、それぞれが何とも珍妙な格好をした十数名ほどの女性を後ろに引き連れて、仁王立ちしていたのである。


「……貴様たちは、まさか⁉」


「そう、たった今ご紹介にあずかりました、私こと悪役令嬢であるアルテミス=ツクヨミ=セレルーナを筆頭にした、『超常的女性』からなる反革命レジスタンス集団よ!」


「──ッ」


 その驚愕の台詞に、フ○=チャン委員長は、闖入者たちのほうをまじまじと見つめ直した。


 なぜなら、それと言うのも──




「いやいや、いかにも超常的に見えるのはもちろんだけど、どうして貴様ら揃いも揃って、年格好が『ロリ』ばかりなのだ⁉」




 そうなのである。


 元々本作の本編のほうで主人公を張っているアルテミス嬢や『なろうの女神』様は言うまでも無く、女悪魔や女錬金術師に、何と今度N○Kで特別放映される番外編のOVAで主人公を張る女型の巨人ア○ちゃんに至るまで、全員が全員例外なく、『ロリ美少女』ばかりであったのだ☆


「あ、でも、すでに『The Final Season』において、公式に『ロリア○ちゃん』が登場していたんですけどね♫」


「──一体何の話をしているのだ⁉ そんなことよりも、何でおまえたちのようなロリで超常の存在が、我々シュタージや人民解放軍等のゴミニズム勢力による日本支配の邪魔立てをするのだ⁉ まさか貴様らこそが、小賢しき『日本解放戦線』の後ろ盾ではあるまいな⁉」




「日本の解放なんて知ったこっちゃありませんけど、とにかく日本ゴミニスト党の(すでに粛正された)スタッフの皆様が、わたくしたちを本気で怒らせてしまったわけなのですよ。──このようにあなたたちと、『お互いの存在を懸けて闘わざるを得ない』ほどにね!」




 え。


「……何だその、『お互いの存在を懸けた闘い』、って?」




「日本ゴミニスト党が、総選挙に当たっての『売り文句セールスポイント』として、『非実在性少女に対する搾取の全面禁止』──すなわち、何と事もあろうに、『ロリ系』の漫画やアニメやゲーム等の、『表現の自由』の大弾圧を宣言したのです。──すると、どうなると思われます?」




「ど、どうなる、って……」




「まさしく私たちのような『非実在性少女』が、文字通り実在できなくなってしまうのですよ!」




「「は?」」




 一瞬何を言われたのかわからず、呆けた声を出してしまう、フ○=チャンとシ○=チャン。




「──いやいやいや、何言っているの⁉ 貴様たちは初めから、『現実には存在していない』ようなものじゃないか⁉」







「それはあなたたち『ゴミニスト』も、同じことでしょう?」







「「──⁉」」







 突然突きつけられた、あまりにも思いがけない言葉に、今度こそ完全に困惑の極みに達した委員長殿は、しどろもどろに問い返す。


「な、何だよ、私たち『ゴミニスト』が、貴様ら『非実在性少女』と、『同じ』って」


「だって、そうでしょう? 実際のところこの日本において──否、世界において、あなたたちゴミニストを必要としている人が、一体何人いるのかしら?」


「はあ?」




「あなたたち『ゴミニスト』の役割なんて、すでに数十年前の『旧ソ連の崩壊』とともに、『終わっている』のよ。今いるあなたたちは『抜け殻』のようなものに過ぎず、一応のところかつてのソ連のような『悪さ』をしないようだから、『お情け』で存続を赦されているだけなの」




「な、何だとお⁉」




「その証拠に、あれだけ苛烈な共産主義革命を経て政権を確立したというのに、ゴミニズム諸国のリーダー格である中つ国にしろ、旧インドシナ半島国家しろ、アメリカ合衆国のすぐ南にある某島国にしろ、みんな今ではとてもゴミニスト国家とは思えないほど、ではありませんの?」




「あ」




「それに何と言っても、現在のおける一般市民からの『必要性ニーズ』こそが、物を言うのです!」




「……一般市民からの、必要性ニーズ、って?」




「果たして現代の日本において、あなたたちゴミにストとわたくしたち『二次創作物のロリキャラ』って、一体どっちが、より『求められている』でしょうね?」




「──うぐっ⁉」




「そうよ、もはや現在の日本国においては、『ゴミニズム政党』なんて、これっぽっちも『存在価値』は無いの! ──それなのに、世界に冠たる『日本産のアニメや漫画やゲーム』における最大の『人気キャラ』である、わたくしたち『ロリ美少女』を規制しようだなんて、身の程知らずもいいところじゃないの? だったら、おまえら『ゴミニスト』のほうを、永久に『根絶』させるだけの話ですけど? 何せ『表現の自由』を侵すことこそは、現在の『国際的サブカル国家』である日本国においては、たとえようのない『大罪』ですからね」




 ……ホント、ふざけるなよ。


 とっとと消えろよ、


 要らないんだよ、貴様ら『ゴミニスト』なんて。


 これっぽちも存在価値はねえんだよ!


 いっそのこと『ハロウィン』を記念して、我々超常的存在の手で消してやるよ!




 ──トリック、オア、トリート!




 さあ、ゴミニストどもよ、選ぶがいい! 




 ゴミニストとしての永遠の『恥辱トリック』として、せっかく念願の政権を奪取しながら、『暴力革命』によって打倒されるか、




 それとも、せめてもの『慈悲トリート』として、『表現の自由』への弾圧をやめる代わりに、もはや必要の無くなった『ゴミニストとしての緩やかな死』を赦されるかを。

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