第872話、わたくし、『黄色信号』を灯す力こそ、真に理想的な未来予知だと思いますの⁉(解説編)

メリーさん太「……またこいつ、『悪役令嬢』とまったく関係無い、【突発短編】なんか公開しくさって。──ちゃんと今回の【座談会】で、説明してくれるんだろうな?」




ちょい悪令嬢「ええ、もちろん! ──さあ、何でも聞いてください!」




メリーさん太「……うっ、なんかいつになく前向きだな、むしろ不気味なんですけど? ──まあいい。まず何よりも疑問なんだけど、どうしていきなり題材モチーフが『将棋』だったんだ?」


ちょい悪令嬢「よくぞ聞いてくれました! それはですねえ──」




メリーさん太「ああ、言わなくてもわかるよ。どうせ最近になって、待望の『3月のライ○ン』の新刊と『りゅう○うのおしごと!』の新刊が、立て続けに発行された影響だろうが?」




ちょい悪令嬢「──わかっていたのなら、最初から、そう言ってくださいよ⁉」




メリーさん太「……しかし、どうして今更、(短編とはいえ)『新作』なんか創ったんだ? この二作品の新作を購入すること自体、もはや『恒例行事ルーチンワーク』みたいなものだろう? いや確かに、『3月のライ○ン』の新刊は随分と久し振りだから、【座談会】とかで話題に挙げるのはわかるけど、今回の新作短編についてはむしろ、『りゅう○うのおしごと!』からの影響のほうが大きいんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「おっしゃる通りでございますが、今回最新刊を拝読して、考えることが多々あったのですよ」


メリーさん太「最新巻て、『りゅう○うのおしごと!』のか?」


ちょい悪令嬢「内容的に影響を受けたのは、確かに『りゅう○うのおしごと!』のほうですが、『3月のライ○ン』をも含めて、非常に考えさせられたのです」


メリーさん太「……考えさせられた、って?」




ちょい悪令嬢「特に『3月のライ○ン』に対しては、各『感想サイト』において、いかにも『アンチ』的なレビューが目についたのですよ」




メリーさん太「え、そうなの?」


ちょい悪令嬢「なんか、『もはや将棋モノでは無く、ラブコメみたい』といった意見が多かったですね」


メリーさん太「いや、『3月のライ○ン』って、元々『ラブコメ』だったじゃんか?」


ちょい悪令嬢「つまり、『将棋』の比重がむちゃくちゃ軽くなって、『ラブコメ』ばかりが前面に押し出されている──と言うことなのですよ」


メリーさん太「ああ、そういえば『りゅう○うのおしごと!』のほうも、最近はまさにそんな感じだよな」


ちょい悪令嬢「何せ『りゅう○うのおしごと!』大好きな本作の作者が、前巻においては途中で読むのを断念して、そのまま放り出したくらいですしね」


メリーさん太「えっ、そうだったの?」


ちょい悪令嬢「案の定、『りゅう○うのおしごと!』の新刊のレビューも、『ラブコメ』面の評価のほうが多いようでした」


メリーさん太「……まさか、今回は購入するのを、取り止めたとかじゃないだろうな?」


ちょい悪令嬢「まさか! だったらそもそも前回までの新作短編が、創られるわけが無いでしょうが?」


メリーさん太「あ、そうか。………でも、『将棋大好き、ラブコメ偏重嫌い』の本作の作者が、よく購読したものだな? もしかして、『惰性』とか?」


ちょい悪令嬢「惰性も無きにしも非ずですが、本作の作者のポリシーとしては、『食わず嫌いのアンチだけにはなるな!』ですので、世間の意見なぞに左右されずに、実際に購入してみて、自身の目で確かめたわけです!」


メリーさん太「おお、相変わらず『読者の鑑』のようなやつだな! ………もうWeb作家なんかやめて、『読み専』になったほうがいいんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「──いきなり自分の作者の、『全否定』はやめろ!」


メリーさん太「それで、どうだった? 本当に『ラブコメ偏重』だったわけ?」


ちょい悪令嬢「はい」


メリーさん太「……だったらどうして、『りゅう○うのおしごと!』の前巻で散々懲りていた本作の作者が、『りゅう○う』はもちろん、『3月のライ○ン』の最新刊まで買おうと思ったんだ?」




ちょい悪令嬢「これについては、何度も何度も申し上げているではないですか? 一部の要素モチーフが好みでは無かろうとも、キャラクターが(ウザくて)自分の好みに合わ無かろうとも、総体として(物語として)『面白ければ』、まったく問題無いのだと」




メリーさん太「──ホント本作の作者って、『読者の鑑』だな⁉」




ちょい悪令嬢「特に『3月のライ○ン』においては、実はこの『ラブコメ偏重』こそが、作品自体のテーマ──すなわち、レ○君の主人公としての『行き着く先ゴール』と、密接に結びついていたりしますので、やみくもに文句を付けている人は、『読解力が無い』と言っても過言ではございませんわ」


メリーさん太「……まあ、その辺は『個人的感想』でもあるので、難しいところだよな」


ちょい悪令嬢「いや、それを公のレビューで発表したんじゃ、単に『個人的感想』に留まらず、それなりの『責任』が生じるので、やはり過度な批判は控えるべきでしょう」


メリーさん太「そりゃそうか…………それで、この『ラブコメ偏重』気味の両作品の、どこに感動して、どんな影響を受けたんだ?」


ちょい悪令嬢「実のところは『ラブコメ偏重』と言うよりも、『人間ドラマ偏重』と言ったほうが、いいかも知れませんね」


メリーさん太「ほう?」




ちょい悪令嬢「『3月のライ○ン』のほうは、主人公のレ○君を始めとして、各キャラに対して『救い』がもたらされつつあることを暗示しており、『りゅう○うのおしごと!』のほうは、鹿○庭たまよんさんのような『モブ』に焦点を当てることによって、『ヘイトキャラの救済』という毎度お馴染みの手法でありながら、何よりも読者に『心温まる』気持ちにさせるという、非常に前向きな内容となっております」




メリーさん太「ああ、『りゅう○うのおしごと!』の『ヘイトキャラ救済』については、前々巻の『辛○さんの正体』なんかも、むちゃくちゃ感動したよな! ……うん、あの路線だったら、『人間ドラマ偏重』であっても、何も文句は無いや」


ちょい悪令嬢「そのお陰で、『りゅう○うのおしごと!』においては、本筋の『将棋』面についても、再評価することに繋がりましたの!」


メリーさん太「『りゅう○うのおしごと!』の最新刊での『将棋面』というと、やはり八○君の『将棋用AI』の捉え方が、他のプロ棋士とはまったく異なっているところか?」


ちょい悪令嬢「ええ、まさしくこれまで世間一般的に言われてきた、『将棋用AI』とは全然違った切り口でしたので、非常に興味の惹かれる内容でした!」


メリーさん太「ほうほう、それで結局、途中で放りっぱなしにしていた前巻まで、再読をチャレンジすることになったってわけか?」


ちょい悪令嬢「そうなのです! そのお陰様をもって、今回の新作短編を作成する『切っ掛け』を得ることができたのです!」


メリーさん太「……新作の、切っ掛け、って?」


ちょい悪令嬢「作中にあった、『将棋用AIの最大の目標は、対局に勝つことでは無く、対戦相手の人間の棋士を徹底的に潰すことなのだ』(意訳)ですわ!」


メリーさん太「自分が勝つことでは無く、相手を負かすことって、結局のところ、同じことなのでは?」


ちょい悪令嬢「──ここで質問です。果たして、あらゆる戦法をマスターし基本的にミスをしないAIであれば、相手の人間の駒運びを完全に無視して、自分の達成したいゴールを目指していくだけで、すんなりと勝つことができるでしょうか?」


メリーさん太「いやいやいや、将棋なんて『相手が有ってこそ』なので、相手の思わぬ『一手』によって、盤面が一変することだってあり得るのだから、相手のことを完全に無視して、自分の戦法のみに没頭することなんて不可能だろうが⁉」




ちょい悪令嬢「──だからこそ結局は、『自分が勝つこと』なんかよりも、『相手を倒すこと』のほうが、優先されるわけなのですよ」




メリーさん太「………あ」




ちょい悪令嬢「とはいえ、この考え方自体をそのまま自作に導入してしまうと、『パ○リ』の誹りを受けかねないので、新作短編においては『否定的』に捉え直していますけどね」


メリーさん太「否定的に、って?」




ちょい悪令嬢「最新鋭の量子ビット演算装置が内蔵されている将棋専用のAIが、自分のことを本気で潰そうとしてきているのに、人間の対戦相手のほうは何も気にせずに、まったく調子を落とすこと無く、軽快に駒運びをし続ける──とかは、どうでしょう?」




メリーさん太「AIのほうが、完全に形無しじゃんか⁉」




ちょい悪令嬢「AIとしては人間側に、何よりも『精神的なプレッシャー』を与えて、根源的な『苦手意識』を持ってもらいたいところなのに、これではまったくの逆効果ですよね」


メリーさん太「どうして、そんなことができるんだ? 確か人間側も、一種の予知能力者らしいけど、最新鋭のAIに対して、圧倒的な力量差を見せつけるなんて」


ちょい悪令嬢「まさにそれこそが、作中でご紹介した、『黄色信号戦法』のお陰なのです!」


メリーさん太「つまりそれが、特に今回の短編作成に際して思いつくことができた、注目の『新アイディア』ってわけか」




ちょい悪令嬢「そもそも『将棋に予知能力を利用する』場合、どのように描写すべきか、これまでずっと悩んできたのですが、いちいち『脳内将棋盤上で、実際に駒を動かす』といったやり方を、一瞬のうちに無限に繰り返すというのは、あまりにまどろっこしいので、何らかの改善策が必要かと思っていたら、今回この『黄色信号』方式を思いついたって次第なのですよ!」




メリーさん太「……それも、今回『りゅう○うのおしごと!』等を読んだ、お陰ってことなんだな?」




ちょい悪令嬢「先程述べた、『将棋AIに攻め立てられながらも、まったく影響を受けること無く、スムーズな駒運びをし続けている』状況を、『まったく信号にひっかかること無く、街中をスムーズにドライブし続けている乗用車』で表現イメージすることを思いついたのです。──つまり、将棋の対局で何か『手』を指そうとした時に、少しでも『敗北ツミ』の可能性が秘められている場合には、頭の中で『黄色信号』が点灯して知らせてくれるので、『黄色信号』が点灯しない『手』に指し替えれば、当然のごとく『敗北ツミ』の可能性が無くなり、最終的に勝利を掴み取ることできるといった寸法なのですよ」




メリーさん太「おお、確かに『頭の中で黄色信号が灯るだけ』で、未来の危機的状況を察知できるようになるのは、シンプルでわかりやすくていいよな⁉」


ちょい悪令嬢「実はこれについては、本作お得意の量子論や集合的無意識論に則っても、非常に正しい考え方であるのは、前回作中においてご紹介した通りであります」




メリーさん太「後は何と言っても、実はAIが『美少女アンドロイド』だったのが良かったよな!」




ちょい悪令嬢「あれは、もしもこの単発新作を次期の各種Web小説のコンテストに応募するとしたら、もう少し『インパクト』が必要だと思って、あえて『叙述トリック』のような形にしたわけです」




メリーさん太「そもそも元ネタである『なろうの女神が支配する』で連載した分では、最初からアンドロイドであることが明かされていたしな」




ちょい悪令嬢「──と言うわけで、学ぶことが多々あっただけでは無く、こうして新作作成にも繋がったことだし、やはり『これはと思った』作品に関しては、ネット上の意見なぞに左右されずに、自身の目で見て判断すべきだと言うことも、今回大いに再確認させていただきましたわ♡」










メリーさん太「……ホント、『食わず嫌い』や『アンチ』なんて、何も得しないから、読書やアニメ鑑賞等においては、常に前向きに楽しみたいものだよな」

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