第764話、わたくし、『LGBT』が『表現の自由』を損なうくらいなら、概念レベルで全否定いたしますの⁉(後編)

メリーさん太「……う、うむ、結局『ジェンダー勢力は実のところ、特別扱いを求めているだけなのだ』というのは、よく言われることだけど、本作ならではの『論理的考証』としては、どう説明がつけられるんだ?」




ちょい悪令嬢「『為政者が何よりもやるべきこと』としては、男か女かはもちろん、『LGBT』であることすらもまったく考慮せずに、ただ単純に『誰もが対等に競争できて、誰もがチャンスをつかむことができる』、真に社会造りを行い、後は個々人の『やる気と努力』に任せれば良く、実は現行憲法下の日本国においては、基本的に実現できていると言っても過言では無いのです。それなのに、『外国に比べて女性の地位が低い!』とか、『性的マイノリティを保護しろ!』とか、『「LGBT」はもちろん、この後にも「Q」クエスチョニングとか「N」ノンバイナリーとか、無限に「ジェンダーワード」は続いていくぜ!』とか言っていたら、むしろ公平な世の中に余計な波風を立てて、人々の間に無駄な争いごとを生じかねないのですよ。『最高裁における夫婦別姓問題の上訴に対する門前払い』の事例を挙げるまでもなく、日本国憲法下においてはジェンダー問題に対して、違憲レベルの差別行為なぞけして行われておらず、むしろ『似非ジェンダー勢力』こそが、あることないこと騒ぎ立てることによって、いかにも現在の日本に差別が蔓延っているかのように、『印象操作』を行っているだけなのですよ!」




メリーさん太「──言われてみれば、まったくその通りじゃん⁉ 日本国憲法は、人種、信条、思想等々、すべての観点において『完全なる平等』を規定しており、実際の社会においてもあらゆる差別を許さない土壌が育まれているというのに、殊更『LGBTを保護しろ!』とかわめき立てたりしたら、まったく何事も無く静まり返っていた湖の水面に、大きな石を投げ込むようなものだよな⁉」




ちょい悪令嬢「具体的に申しますと、それこそ女性の皆様が『真に男女が対等なる社会』を目指して、自らの意志で全力で努力しているというのに、そのことごとくで邪魔をしてくるのが『LGBT』のやつらなのです。女性アスリートがオリンピック等での好成績を目指して頑張っていると、『LGBT選手』が肉体的には男性であることをフルに活用して上位順位を独占したり、長年の努力が実って国会において男女の議席が均衡しようとしていたまさにその時に、男性議員が突然一斉に『体は男♡心は乙女』宣言をして、生粋の女性議員を押しのけて議席を独占したりすると言った、真に公平なる社会造りにとっての『害悪』以外の何者でもないのです!」




メリーさん太「……うわあ、確かに『真の男女平等』を実現するためには、『LGBT』は存在自体が『害』だわ。これはもう、擁護のしようが無いわ」




ちょい悪令嬢「もちろんすべては、この国の為政者が、『差別のまったく無い社会ベース』を造り上げることこそが、何よりも『前提条件』なのですけどね」


メリーさん太「『差別のまったく無い社会』って…………そりゃあ、それこそが理想だろうが、そんなの一朝一夕には実現できないから、みんな苦労しているんじゃないか?」


ちょい悪令嬢「何言っているのですか、むちゃくちゃ簡単にできますよ。──むしろそのことを証明するために、今回と前回にわたって長々と、『差別のまったく無い現在の日本の社会システム』について述べてきたと言うのに、一体何を聞いておられたのですか?」


メリーさん太「はあ⁉」




ちょい悪令嬢「だから、言っているではないですか! 人は男とか女とか『LGBT』とかでは無く、あくまでも『個人』として、自らやる気を持って努力をし続けて、自分ならではの夢の実現に全力で取り組んでいけば、そこには差別など感じる余裕なぞ無くなり、すべては『個人の問題』でしかなくなるのだと!」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「そして、今回はついに、『LGBT』問題に、トドメを刺そうかと思っております!」




メリーさん太「なっ⁉ トドメを刺すって、一体どうやって⁉」




ちょい悪令嬢「ほら、本作においては何度も何度も、『同性愛は存在しても、同性愛は存在しない。よって、憲法においてすでに内心の自由である同性愛の自由は保障されているのだから、いるかいないか確定しない同性愛者なぞ、保護する必要は無い』と申してきましたが、今回はその『決定版』をお送りしようかと存じます」




メリーさん太「け、決定版、て……」


ちょい悪令嬢「メリーさんは、『同性愛を差別しない』とは、具体的にはどういうことだと思います?」


メリーさん太「え? そ、そりゃあ、『同性愛者』の皆様を、差別しないってことだろう?」


ちょい悪令嬢「……もう、メリーさんたら、たった今『同性愛者なんて存在しない』と、言ったばかりではありませんか?」


メリーさん太「あ、あれ? そういえばその通りだけど、同性愛者がいないんなら、同性愛って、どうやって保護するんだ? ──ていうか、同性愛者がいなかったら、同性愛って、そもそも存在し得るのか?」




ちょい悪令嬢「れっきとして存在しますよ、いいのです。──さあ、お答えください、そもそも恋愛や思想等の自由を保障している『内心の自由』とは、一体何ですか?」




メリーさん太「内心の自由とは何ぞやって…………それはもちろん、国民の誰もが心の中で、どんな思想を持とうが、どんな信仰をしようが、誰に対して愛情や憎悪を抱こうが、小児性愛や近親愛等の変態性癖を密かに拗らせようが、それを具体的に行動に移して、犯罪等に走らなければ、まったく処罰されることは無いってことだよな?」


ちょい悪令嬢「そう、『内心の自由』を『差別問題』に絡める場合の最大のポイントこそ、『国民の誰もが、適用範囲になる』ことなのです」


メリーさん太「へ? それって、どういう……」




ちょい悪令嬢「つまり、『同性愛を日本国憲法に則って、完璧に公平に保障する』と言うことは、、『同性愛を行うことの自由』を保障することであって、『自称LGBT』どもなんぞに、独占させることでは無いんですよ!」




メリーさん太「──ああっ、そうか、そう言うことか⁉」




ちょい悪令嬢「ようやくご理解いただけたようですわね。別に『同性愛』は、『LGBT』のやつらの『専売特許』なんかでは無く、すべての国民にその自由が保障されているのであり、それこそが『真の公平なる社会』というものなのです! それなのに『LGBT』のやつらときたら、その万民に開放されている権利を、いわゆる『言ったもん勝ちカミングアウト』で独占しようとしている、むしろ『特権意識バリバリ』な、正真正銘本物の『差別主義者』なのですよ!」




メリーさん太「……そうかそうか、そうだよな。まさしく本作においてこそ、これまで何度も何度も、『現在異性を愛していようとも、将来同性を愛する可能性を否定できないし、現在同性を愛していようとも、将来異性を愛する可能性を否定できないゆえに、この世に「同性愛」は存在しても、「同性愛者」なぞ存在しない』って、言い続けてきたんだからな。『同性愛』というものが憲法で保障された『内心の自由』であるならば、当然のごとくすべての国民にとっての不朽の権利であるべきであって、『自称LGBT』どもなんかに独占させるなんて、もっての外だよな⁉」




ちょい悪令嬢「どうです? 『同性愛者』──ひいては『LGBT』などといった輩が、論理的に存在し得ないことが、これで完全に証明されたでしょう? 現在自ら『LGBT』を名乗っているやつらはすべて、単なる『嘘つき工作員』か、救いようのない『差別主義者』以外の何者でも無く、保護するどころか全力で排除すべきなのですわ! 言っておきますが、これ自体はけして、『差別発言』なぞではありませんよ? 何せ『同性愛』がすべての国民に許された権利だとしたら、勝手に自分たちだけが『同性愛者』であるかのように名乗りを上げたところで、いかなる意味でも法的な保護の対象にならないのですからね。──つまり、本作は今回、『自称同性愛者どもには、いかなる特権も無い』と、論破してみせたわけなのです!」




メリーさん太「何せ『同性愛』自体は憲法において保証されているし、本作が言うように『男女平等』とかの限定的なものでは無く、『すべての個人が差別されない社会』が実現されたのなら、自分のことを『男と思っていようが、女と思っていようが、それ以外だと思っていようが、自分では判断不可能だろうが』、何も問題無くなるし、現在における『LGBT』どころか、『ジェンダー』に関わるすべての問題が、完璧に解決してしまうって寸法だよな」




ちょい悪令嬢「そもそも日本国民を始めとして世界中の誰もが、『自分が男であるのか女であるのかそれ以外の何者であるのか』を、常に悩み続けているのであって、別におまえら『LGBT』どもの専売特許じゃねえんだよ⁉ ──とにかく、これ以上『LGBT保護派』が増えようが、『LGBT反対派』が増えようが、『LGBT』に関係する創作物に対する『表現規制』が進められる可能性おそれが否定できず、本作の作者が至上の命題としている『表現の自由』が損なわれてしまうくらいなら、『LGBT』の存在そのものを、『概念』レベルでこの世から抹殺することも厭いませんので、どうぞお覚悟のほどを♡」

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