第745話、わたくし、『進○のスクールカースト』は、ユング心理学的に、立派に本編だと思いますの⁉(後編)

ちょい悪令嬢「さて、『進○の巨人』最終巻──特に、本編とおまけ漫画『進○のスクールカースト(※以降『ス○カー』と略す)』との関係についての【考察座談会】の、最終回をお送りしたいかと思います!」




メリーさん太「……『最終回』って、本当だろうな?」




ちょい悪令嬢「や、やだなあ、メリーさんたら、もはや語るべきテーマも決まりきっているんだから、これ以上引っ張ったりはいたしませんよ!」


メリーさん太「どうだか…………それで、前回提示した、もはや『始祖の巨人の力』を失ったエ○ン君が、巨人がまったくいなくなった未来の『現実世界』の中で、マ○コ君の幽霊を視たり、これまた成仏したはずのユ○ルちゃんを知覚できたり、更には『異世界転生』した後のまったくの別世界において、(失ったはずの)巨人化の力を使えたりすることを、論理的に解説してくれるわけなんだな?」


ちょい悪令嬢「はい、ここはよりわかりやすい、『異世界転生』のほうで説明を行いたいかと存じます」


メリーさん太「へ? むしろ完全に『パロディ』そのものの、『転生ヴァージョン』のほうが、わかりやすいだと?」




ちょい悪令嬢「ほら、本作において何度も何度も申してきたではないですか? 現代日本と異世界との間では、時間の前後関係なぞ一切存在せず、二度目の異世界転移が、以前の転移時よりも、前の時点に転移することだってあり得ると。よって異世界においては、元々エ○ン君がいた『進○の巨人』世界において、『始祖の巨人の力』や『巨人化能力』そのものを始めとする、『巨人』関係の力が失われた時点のエ○ン君であっても、『道』を通じて、いまだユ○ルちゃんの力が健在な時点の『座標』へとアクセスすることによって、『巨人関連の力』を以前同様に使えることになるのですよ。──そしてこれは、百年後の『巨人関連の力が失われた世界』における、『ス○カー版エ○ン君』においても同様で、『百年後の世界』を『時制の違う異世界』と見なせば、『座標』を介して『巨人』関連の力が使用可能となって、例えば、すべての『ユ○ルの民』にとっての『御本尊様』である、『始祖ユ○ル』ちゃんを知覚できたりするようになれるのです」




メリーさん太「──いやいや、ちょっと待った! それはあまりにもおかしい!」




ちょい悪令嬢「……おかしいって、どこがです? 量子論や集合的無意識論に則った、完璧な理論のはずなのですが?」


メリーさん太「まず、異世界とか未来…………ぶっちゃけて、ほとんど『他の作品』であるかのような世界にまで、『始祖ユ○ル』ちゃんの力が及んで、『道』を通じて『座標』にアクセスできるわけが無いだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「え? そんなこと、誰が決めたのですか?」




メリーさん太「は?」




ちょい悪令嬢「もちろんメリーさんにおかれましても、『進○の巨人』における『座標』が、ユング心理学における『集合的無意識』であることは、もはや異論は無いですよね?」


メリーさん太「あ、ああ」




ちょい悪令嬢「『集合的無意識』には、ありとあらゆる世界のありとあらゆる時代のありとあらゆる存在の記憶と知識──いわゆる『情報』が集まってくるのだから、エ○ン君が、『進○の巨人』世界とはまったく関係無い異世界に転生しようが、『巨人』関係の力がすべて失われた百年後の『ス○カー版エ○ン君』になろうが、集合的無意識にさえアクセスできれば、『進○の巨人』世界において行使できていた、『巨人』関連の超常の力をすべて行使できるようになるのですよ」




メリーさん太「──そんな馬鹿な! 『巨人の力』を行使できるのは、『始祖ユ○ル』ちゃんが健在な時点の、『ユ○ルの民』だけのはずだったろうが⁉」




ちょい悪令嬢「それはそれこそユ○ルちゃん自身に、限定的な集合的無意識とのアクセス能力しか無く、自分の影響下にある『ユ○ルの民』に対して、更に限定的なアクセス権のみを与えていただけであって、ユ○ルちゃんとまったく関係無い異世界や未来世界で、偶然ユ○ルちゃん以上のアクセス権を手に入れることができれば、当然のごとく、『進○の巨人』本編のエ○ン君どころか、ユ○ルちゃん自身以上の力さえも行使できるようになるのです」




メリーさん太「──それってもはや、『進○の巨人』の話では無いのでは⁉」


ちょい悪令嬢「そりゃそうですよ、『進○の巨人』本編では無く、異世界ヴァージョンや未来ヴァージョンにおいて、エ○ン君の『生まれ変わり』が、『進○の巨人』世界の(本物の)エ○ン君と同じ力が使えるかどうかを問題としているのだから、結果論として、『進○の巨人の話では無くなる』のは当然でしょう?」


メリーさん太「……あ、そういえば、そうでした」


ちょい悪令嬢「そもそも、始祖ユ○ルちゃんはもちろん、すべての元凶である他称『光るム○デ』あるいは『大○の悪魔』であろうとも、真の神様同然の全知全能──言うなれば、『集合的無意識との全面的アクセス権』を有しているわけ、『やれること』には自ずと限界が存在するのです」


メリーさん太「ええっ? ユ○ルちゃんとかム○デちゃんとかって、それこそ『進○の巨人』世界における、『神様同然』の存在じゃ無かったの?」


ちょい悪令嬢「そうです、あくまでも『進○の巨人』世界の、神様に過ぎないのです。そしてまさにそれこそが、『ネック』となっているのです」


メリーさん太「ね、ネック、って?」


ちょい悪令嬢「本作で言えば、『内なる神インナー・ライター』のようなものですよ」


メリーさん太「……あー、そういう」




ちょい悪令嬢「特定の世界の中に具体的に存在している限り、いくら超上級の集合的無意識とのアクセス権を有していても、真の神様としての力を行使することなんて、夢のまた夢に過ぎないのです。──なぜなら、『真の神様』というものは、無限の平行世界すべてに影響力を行使できないとならないのですから、そもそも『世界』というものから、束縛されていては駄目なのですよ」




メリーさん太「本作で言うところの、『外なる神アウター・ライター』か。しかしすべての世界の外側に存在している神様なんて、それこそ本当に存在し得るのか?」


ちょい悪令嬢「あはは、そんなもの、存在するわけ無いじゃないですか?」


メリーさん太「はああああああああ⁉」




ちょい悪令嬢「もしそんなものが存在しているとしたら、『すべての世界を夢見ながら眠り続けている女神様や龍神様』などといったところでしょうが、でしたらその女神様やら龍神様やらは、『どこ』で眠っているのでしょう? 本作における『外なる神アウター・ライター』なんて、『ライター』と言うだけあって『小説家』を想定しているけど、それこそ何らかの世界に属していなければ、小説なんて書けませんよね?」




メリーさん太「本当だ! だったら、『始祖ユ○ル』ちゃんとかム○デちゃんとかエ○ン君に、『集合的無意識とのアクセス権』を与えているのは、一体誰なの⁉」


ちょい悪令嬢「だから、そんな存在なんて、存在しないんですってば」


メリーさん太「ええー?」




ちょい悪令嬢「先程の『女神や龍神』なんて、集合的無意識を具象化するための『概念的存在』でしかないのです。便宜上『誰か』が主体的に集合的無意識を司っていて、下々の者にアクセス権を譲渡しているといった『てい』にしなければ、普通の常識的な人間としては、イメージすらできませんからね」




メリーさん太「じゃあ、ム○デちゃんやユ○ルちゃんは、どうやって神様同然の、『集合的無意識とのアクセス権』を手に入れたんだよ?」


ちょい悪令嬢「単に偶然に自分の力や努力によって、手に入れただけですよ」


メリーさん太「『偶然に』って、何ソレ⁉」




ちょい悪令嬢「すべての元凶のム○デちゃんは、最初からほぼ『外なる神アウター・ライター』そのものの超上級のアクセス権を持っていただけだし、ユ○ルちゃんは絶体絶命の大ピンチの時に、そんなム○デちゃんと接触することによって、『何としても生き延びたい!』という感情を爆発させることによって、ム○デちゃんから自分の子孫である『ユ○ルの民』限定の、『巨人関連の力』を発動できるアクセス権を手に入れただけだし、エ○ン君にしても、『進○の巨人』世界の場合は、『巨人を憎む心』により巨人の力を手に入れることになっただけだし、『ス○カー』世界の場合は、始祖ユ○ルに関係無く単なる偶然か何かでアクセス権を手に入れることになっただけだし、ユ○ルちゃんがム○デちゃんのアクセス権を介したことも、『進○の巨人』世界のエ○ン君が、グリシ○さんの策謀によりユ○ルちゃんのアクセス権を分けてもらったのも、元々本人がそうなることを強く願ったからであって、『神様という名のプロセス』自体は別に重要では無いのですよ」




メリーさん太「……己の飽くなき欲望によってこそ、『チート転生者』となれるって、それってまさか」


ちょい悪令嬢「ええ、本作ならではの、『集合的無意識とのアクセスによる、なろう系転生物語の実現』論そのものってことですよ」


メリーさん太「……そうか、『ム○デ』とか『始祖ユ○ル』とか『巨人継承の儀式』なんて、あくまでも『プロセス』に過ぎず、そもそも『集合的無意識とのアクセス』なんて、誰の身にも起こり得ることだったんだ」


ちょい悪令嬢「一応『進○の巨人』の設定では、『ユ○ルの民』限定のアクセス権と言うことになっていましたが、それはあくまでも『巨人関連の超常の力』に過ぎず、『マ○レ』かどこかの『ユ○ルの民』以外の人物が、偶然に集合的無意識とのアクセスを果たして、『炎の大魔術』等の、『巨人』にはまったく関係のない超常の力を持っていたって、別におかしくは無いでしょう?」


メリーさん太「言われてみれば、『巨人』が存在しているんだから、どこか別の地域で『魔法』が存在していても、何ら問題は無いよな⁉」


ちょい悪令嬢「これはむしろ『進○の巨人』世界において、『巨人関連の力』がまったく無くなった後でこそ、重要な意味が生じるのです」


メリーさん太「あ、そうか。無くなったのは『巨人関連の力』だけなんだから、誰か『炎の大魔術』を隠し持っていたとしても、それまで消えて無くなるわけじゃないんだ!」


ちょい悪令嬢「実はこれって、むちゃくちゃ参考になったんですよ!」


メリーさん太「へ? 参考になったって……」




ちょい悪令嬢「本作の作者の某作品において、最終的なオチとして、『剣と魔法の異世界が完璧な現実世界となり、完璧な現実世界が剣と魔法の異世界になる』といった逆転現象を予定していたのですが、そんな『現実世界か? そうで無ければ、超常なる創作物の世界か?』などと言った、『両極端』な決着のし方では無く、それこそ『進○の巨人』の『誰かの正義は、誰かの悪』ばりに、『誰かの現実は、誰かの超常』といった感じに、まとめ直してみようかと思いましてねえ」




メリーさん太「……な、なるほど、異能バトル作品モノにおいて最強の異能力者を倒すことによって、一見平和が戻ったかに思えたものの、主人公の知らないところで、まったく無関係の人間が異能の力を隠し持っていて、メインキャラクターたちにとっては、完全な現実世界を取り戻せたように見えていながら、まったく別の場所では異能バトルが続行していたりしてね」




ちょい悪令嬢「──ていうか、すべての異能を無くした後でも、また新たなる異能力者が生まれる可能性を否定することなぞ、量子論的に、絶対に不可能ですからね」




メリーさん太「ちょっ、それって⁉」




ちょい悪令嬢「そうです、あたかも『巨人の復活もあり得る』と臭わせた、単行本版『進○の巨人』の最終話ですよ」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「何度も何度も申しますが、本人が心から望んで、死ぬほど努力をし続ければ、誰の前でも集合的無意識への扉は開き、超常の力を手に入れることができるのですから、『完璧なる現実世界の実現』なんて、単なる絵空事に過ぎないのでございます」




メリーさん太「すげえわかりやすい例え話で言うと、月ロケットを製造して、それに乗って月に到達するなんて、数百年前ではそれこそ『おとぎ話ファンタジー』に過ぎなかったんだから、人間が心底欲し、その実現のために全力で努力をし続ければ、どんな超常的なことでも為し得るのは、けしてファンタジーでは無く、あくまでも『現実の話』なんだよな」












ちょい悪令嬢「──と言うわけで、個人的感想では無く、あくまでも論理的に考証すれば、『進○の巨人』の単行本における最終話は、間違い無く『正しい』ことが証明されましたので、『アンチ』の皆様におかれましては、ご自分の個人的感情や、どこぞからの政治的命令や経済的利益に基づいて、理不尽な言いがかりをつけるのは、金輪際おやめいただきたいかと存じます♡」




メリーさん太「……いや、個人的な意見は、別に構わないだろうが?」


ちょい悪令嬢「それがあくまでも、論理的に正しければね」


メリーさん太「うわあ、『論理合戦』には絶対の自信のある本作の作者じゃないと、絶対に言えない台詞だよな」

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