第599話、わたくし、『文学少女系悪役令嬢』ですの♡【無限ほむほむ編】②

ちょい悪令嬢「うふふふふ、どうです、すごいでしょう?」


メリーさん太「……いや、あんたが自作の小説の中で、『自分には作者としてのチートスキルが有って、何と小説を書くだけで、本当に世界を生み出したり改変したりできる』ように記述すれば、現実にもあんたが『作者としてのチートスキル』を有している世界が、存在することになるなんて、どう考えても『屁理屈』以外の何物でも無いだろ? そんな屁理屈だけで『作者のチートスキルは存在するのだ!』とか言われても、とても納得できないんだけど?」




ちょい悪令嬢「でもこれって、『実はこの世界そのものが小説だったのだ!』と、言っているようなものでしょう? もしもこの世界がせ小説の中で描かれた世界であるなら、当然物理法則でも何でもガン無視した『何でもアリ』が許されるので、小説の登場人物が『神様』そのものの力を持っていようとも、別に構わないのでは? それともあなた、この世界は絶対に小説なんかでは無いと、断言できるわけ?」




メリーさん太「──おいっ、実際に『小説の登場人物』であるあんたが、そんなことを言い出すのは、反則じゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「そんなことはありませんよ? たとえこれが、正真正銘本物の『現実世界』であったとしても、結局は同じことですしね♫」


メリーさん太「うっ…………た、確かにな。そこに存在している者からすれば、『正真正銘本物の現実世界』以外の何物でも無かろうとも、『小説である可能性』についても、けして否定できないからな」


ちょい悪令嬢「ただですねえ、これはあくまでも『基本設定』に過ぎず、第596話の突発短編──ていうか、本作そのものにとってより大切なのは、そんなことでは無いのですよ」


メリーさん太「えっ、小説の中に現実世界を創り出して、意のままに改変したりできることなんかよりも、更に大切なことがあるだと⁉」




ちょい悪令嬢「──もちろん、『ループ』、ですよ」




メリーさん太「またそれかよ⁉………………………………あれ? そういえば、この『作者のチートスキルの仕組みプロセス』のどこに、ループ要素が有ったっけ? どちらかと言うと、『多重世界パラレルワールド』だろうが?」




ちょい悪令嬢「だって、両方の世界の『わたくし』同士が、お互いを小説の中に閉じ込め続けているのだから、無限に同じようなストーリーを繰り返すばかりで、まさしく『ループ』そのものではありませんか?」




メリーさん太「え、『自分自身』を閉じ込め合っているって、どっちの世界の『あなた』も、最愛の妹であるトーコちゃんを甦らせようとしているんじゃ無かったの?」


ちょい悪令嬢「『建前』では、ね? でも『本音』のほうは、どうなんでしょうね☆」


メリーさん太「……建前? それに、本音、って?」




ちょい悪令嬢「──さて、ここでいきなりですが、今回は久々に、かの超傑作ループ系魔法少女アニメ『ま○か☆マギカ』における、重大なる『問題点』をご披露いたします!」




メリーさん太「やめろよ⁉ おいおい、ほんと大丈夫なのか? せっかくめでたい10周年記念祭開催中だというのに、水を差すことになるのでは⁉」


ちょい悪令嬢「何と言っても『ループ』に関わることですので、本作としては、無視するわけにはいかないのです!」


メリーさん太「ループ関連と言うことは、当然ほ○らちゃんについての話か」


ちょい悪令嬢「ええ、彼女が魔法少女になる時に叶えてもらった『願い』について、重大なる問題に気づいたのです」


メリーさん太「……別に何も問題は無いだろう? 10年前の最初の放映中に明言されていたように、『ま○かとの出会いをやり直したい』だろ? そのあとに『彼女に守られる私じゃなく彼女を守る私になりたい』とかいった文言も続いているけど、キュ○べえに叶えてもらえる願いは一人につき一つだけだから、こっちのほうは、ほむ○ちゃんの個人的な『努力目標』のようなものに過ぎないしな」




ちょい悪令嬢「そうですよね、その願いの中には、別に『ま○かちゃんを「死亡」とか「魔女化」とか言った、「絶望の運命」から救い出す』なんて文言は、まったく含まれていませんよね?」




メリーさん太「………………………………はい?」




ちょい悪令嬢「皆さん、完全に誤解しているようですが、ほ○らちゃんが転校してきてからおよそ一ヶ月後の、『ワルプルギスの夜との決戦日』において、ま○かちゃんが死のうが生き延びようが、ほ○らちゃんの『願いの成就』には、何の関係も無かったのです」




メリーさん太「ええと……………………………………つまり、どういうこと?」




ちょい悪令嬢「TV本編では、ま○かちゃんが(女神化して)存在そのものを全次元で消し去ったので、『ま○かちゃんとの出会いをやり直す』というイベント自体が実行不可能になりましたが、(外伝の『マギ○コ』みたいに)運良くま○かちゃんが生存したまま『ワルプルギスの夜』の討伐に成功した場合においても、『ほ○らちゃんの願い』は実行されて、時間が巻戻っていたはずなのですよ」




メリーさん太「はあ⁉」


ちょい悪令嬢「つまりですね、ほ○らちゃんは無意識に、自分の『本当の願望』を、キュ○べえに願っていたわけなのですよ」


メリーさん太「……ほ○らちゃんの、本当の願望、って?」




ちょい悪令嬢「それはもちろん、『ま○かちゃんと出会ってから、(TV本編のストーリーそのものの)一ヶ月間をやり直したい』ですよ。──ただしこの願いは、理論上『無限』に続いていくことになり、ほ○らちゃん本人やキュ○べえすらも含めて、誰にも止めることができないのです」




メリーさん太「そ、そうか、『出会いをやり直す』だけでは無く、『ま○かちゃんを助けるまで』とか『ワルプルギスの夜を倒すまで』とかいった、限定条件を付けなければ、『出会いをやり直す』こと自体のみが『叶えられる願い』になってしまうから、そもそも『(ループを)止める手段』自体が存在していないんだ!」




ちょい悪令嬢「ていうか、ほ○らちゃんにとっては、むしろ『これで良かった』んですよ。──何せ、彼女自身の無自覚な『本当の願い』こそが、『永遠に同じ一ヶ月を繰り返すことによって、ワルプルギスの夜との決戦で死ぬ運命からま○かちゃんを切り離して、永遠に自分と二人っきりの「時間の繰り返しループの牢獄」の中に、閉じ込め続けたい』だったのですものね☆」




メリーさん太「──ちょっ、それって⁉」




ちょい悪令嬢「ええ、前回本作の作者が、あくまでも自身の『オリジナル案』として提示した、『自分だけのものにしたいからこそ、あえて最愛の相手を殺し続けるループ』と、実質上同じだったわけですよ」




メリーさん太「……う、うん、そうだな、あのくり返しループ現象が、ほ○らちゃんの願いによって行われているとしたら、ま○かちゃんを無限に殺し続けているのは、ある意味ほ○らちゃん自身のようなものだしね」




ちょい悪令嬢「つまりほ○らちゃんは最初から、神様にも匹敵する『悪魔』そのものだったとも言えて、本作で言うところの『作者としてのチートスキル』を有していて、『魔法少女ま○か☆マギカ』という物語を生み出し、ま○かちゃんを物語という名の『時間の繰り返しループの牢獄』の中に閉じ込め続けていた、張本人だったのです」


メリーさん太「……ほ○らちゃんが、『作者』、だって?」


ちょい悪令嬢「それに対して、女神様になることで『無限の時間の檻』をぶち破ったま○かちゃんこそが、『叛○の物語』ならぬ、『物語の登場人物の叛逆』の体現者だったのですわ」


メリーさん太「物語の登場人物の、『作者アクマ』に対する、叛逆って……」


ちょい悪令嬢「そして、更にそんな女神様ま○かちゃんに対して、『作者アクマ』の本性を現したほ○らちゃんが、(最愛の)彼女を再び『無限の時間の檻』へと閉じ込めたのが、新劇の『叛○の物語』だったってわけなのです」


メリーさん太「──うおっ⁉ すげえ、ちゃんとつじつまが合っていやがる!」


ちょい悪令嬢「ねえ、すごいでしょう? これって、前回の【無限ほむほむ編①】を作成中に思いついたのですが、まさかここまで、『ま○マギ』シリーズとのシンクロ性を誇るとは、本作の作者自身も思っていませんでしたわ」


メリーさん太「シンクロ性って…………ああ、これって本作の『ネタバレ』でもあるんだっけ?」




ちょい悪令嬢「実はわたくし自身と、現代日本におけるわたくしの転生体である明石あかしつきよみ嬢は、すでに、それぞれの世界における『作者』のチートスキルの持ち主が、それぞれの『わたくし』が別の世界において『転生』するといった作品を創ることによって、辛うじて物語の世界の中のみで生かし続けていると言うのが、本作における『隠し設定』なのです」




メリーさん太「──なっ、死んだ人間を、物語の世界で、転生させただと⁉」


ちょい悪令嬢「ある意味わたくしたちも、『物語の檻』の中に囚われているようなものなのですよ」




メリーさん太「……確かに、たとえ小説に書かれた世界であろうとも、それとそっくりそのままな世界が、現実に存在する可能性は大いにあり得るのだから、現代日本で死んだ者を異世界に転生させたり、異世界で死んだ者を現代日本に転生させたりすることによって、今もまだ生きていることにすると言うのは、理屈の上ではわからないでもないけれど、理論上においては、あまりにも無理があるんじゃないのか? ……例えば、『タイムパラドックス』のようなものが存在していたりするとか」




ちょい悪令嬢「──おおっ、メリーさん、いい勘していますね! 実はこの手法で実現可能なのは、擬似的な『時間遡行』のようなものに限られていて、結局は『物語の束縛』からは逃れられないのですよ」


メリーさん太「え、時間遡行? それに、物語の束縛って……」




ちょい悪令嬢「ほとんどのパターンとして、巷にありがちな『転生系』のWeb小説そのままに、生まれたてとか幼少期から物語はスタートするのですが、例えば『学園卒業時に、婚約者の前で死んでしまう』とか言った運命からは、けして逃れられないのです」




メリーさん太「──ああっ! そうか、まさしく『悪役令嬢』作品みたいなものなのか⁉」


ちょい悪令嬢「そうです、『破滅の運命』から逃れられるかどうかは、あくまでも本人の努力次第と言うことになります」


メリーさん太「……何と、本作が『悪役令嬢』作品であることには、そんな隠し設定があったわけか」


ちょい悪令嬢「すごいでしょう? およそ600話目にして、やっとタイトル回収ですよw」


メリーさん太「ここ数百話ほど、まったく悪役令嬢らしいことをやっていなかったから、てっきり『タイトル(&タグ)詐欺』かと思っていたけど、そうじゃなかったんだw」




ちょい悪令嬢「それこそまさしく、『ま○マギ』(&『マギ○コ』)そのまんまだったりするのです。『魔法少女としての絶望の運命からの解放』同様に、『悪役令嬢としての破滅の運命からの解放』こそが、本作に秘められた最大のテーマだったのですわ♡」
















メリーさん太「…………ちょっと待て、本作の裏設定的に、『あんたがすでに死んでいる』となると、ここにいる『あんた』は、一体何者なんだ?」




ちょい悪令嬢「(どこかの退職間近の刑事さんのように)おんやあ、メリーさん、どうやら『気づいてはいけないこと』に、気づいてしまったようですねえ?(んふっふっふ)」




メリーさん太「──怖っ⁉ やめろよ! (あの刑事さん、最新第14話ですごく怖かったんだから!) そういうのってむしろ、あたしたち『都市伝説』のセリフだろうが⁉」

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