第586話、わたくし、『同性愛』はOKですが、『同性愛者』はNGですの⁉(前編)

メリーさん太「……ええと、前回の単発新作短編には、一体どういった意図があるわけでしょうか?」




ちょい悪令嬢「ほら、以前から申しておりました、第582話から第584話までの、『鮮血のクリスマスにようこそ♡』シリーズにおいて考証した内容の、試験的作品化ですよ。ちなみに前回の第585話の『わたくし、現実というゲームは、ハズレの選択肢を選ぶべきだと思いますの⁉』は、第582話の『ナイスボート編』をベースとしております」




メリーさん太「……ああ、『スクールデ○ズ』について考証したやつか。確かに言われてみれば、前回の短編は『スク○ズ』の影響が大きいよな」




ちょい悪令嬢「第582話でも述べましたように、現実世界はもちろん、基本的に単独シナリオであるアニメ作品において、マルチシナリオであるエロゲやギャルゲ等を、そのまま持ち込むことは不可能なはずなのですが、これを集合的無意識論や量子論等に則って無理やり実現するとしたら、どういった方法が考えられるかと言うのが、前回のテーマであったわけでございます」




メリーさん太「……それで、本作の作者お得意の、『スマホで選択肢』パターンだったわけか」


ちょい悪令嬢「巷にあふれる三流ラノベやWeb小説みたいに、何も無い空間や頭の中に突然選択肢が表示されるとかいった、考え足らずの『雑設定』にはしたくありませんでしたからね」


メリーさん太「──年の瀬も押し迫った12月30日だと言うに、全方面にケンカを売るスタイルは、いまだ捨てるつもりは無いようだな⁉」


ちょい悪令嬢「一応、作品のコンセプトとしては、まさしく『スク○ズ』自体で試みられた、『果たしてマルチシナリオタイプのエロゲやギャルゲ等の世界観を、そのまま現実世界に持ち込むことはできるのか?』なので、極力『現実的手法』を模索しなければならず、すでに本作の作者の幾つかの作品で登場させた、『スマホの画面上での選択肢方式』を活用したわけなのです」


メリーさん太「……現実世界そのものを、エロゲやギャルゲに変えてしまえるなんて、具体的にはどんな仕組みになっているんだ?」


ちょい悪令嬢「もちろん、毎度お馴染みの『集合的無意識とのアクセス権』ですわ。作中において『自称女神様』がご披露した例の『奇跡の選択肢アプリ』は、どちらも一定の制限がかけられた、集合的無意識とアクセス権そのものだったのです」


メリーさん太「……一定の制限、って?」




ちょい悪令嬢「『最も推奨する言動』アプリのほうなら、そのシチュエーションにおいてターゲットの女の子を攻略するために、『最も推奨される言動の情報』限定のアクセス権を、『最も忌避すべき言動』アプリのほうなら、そのシチュエーションにおいてターゲットの女の子を攻略するには、『最も忌避すべき言動の情報』限定のアクセス権を、利用者に与えるという次第なのですよ」




メリーさん太「──そのまんまじゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「でも、非常に現実的だと思いません? そもそもユングの言うところの『人類にとっての過去の情報の集大成』である集合的無意識は、まさに現在インターネットによって実現されていると言っても過言では無く、後はその無限の情報のうちから、真に自分にとって有用なものだけを、効率的に入手することができるか否かだけの話なのです」


メリーさん太「……つまり、この二つの『集合的無意識とのアクセス権』を具現化したアプリこそが、真に理想的な『検索システム』と言うことか」


ちょい悪令嬢「ね、こう言うと、非常に現実的でしょう?」


メリーさん太「で、でも、あんた自身が何かにつけて言っているように、そもそも現実世界における『未来の可能性』は無限にあり得るのだから、現実の女の子を攻略するための、『絶対的に有効な言動』とか『絶対的に逆効果な言動』とかを、特定することができるわけなの?」




ちょい悪令嬢「作内でも、ちゃんと述べていたではないですか? 『最も推奨する言動』のほうは、一発でターゲットの女の子をオトせるとは限らないと。あくまでも『そういった可能性のある言動』でしか無いのであり、前回のラスト同様、結局のところバッドエンドで終わることもあり得るのです」




メリーさん太「と言うことはやっぱり、『最も推奨する言動』のほうは、本当は『役立たずアプリ』だったってわけ?」


ちょい悪令嬢「現実問題として、人の未来の思考や行動を完璧に予測することなぞ不可能なのであって、だからこそ『数で勝負』をするのです」


メリーさん太「数で勝負って…………ああ、作中でも、『最も推奨する言動』は、(一度や二度の失敗であきらめたりせずに)何度も繰り返す必要があるとか、書いてあったな」




ちょい悪令嬢「言うなれば、将棋の『最善手』のようなものなのですよ。実は『最善手』といえど絶対では無く、対応の仕方では無効化することも可能なのですけど、時間の無い勝負の最中に適切な対抗策を模索する余裕なぞあるはずも無く、ろくに対応できないままで次々に『最善手』を指され続けるうちに、すっかり圧倒されて勝機を失ってしまうと言った次第ですわ」




メリーさん太「……あー、確かにこれ以上無く、『数で勝負』だわ。まあ、女の子としても、『最も好ましい』可能性がある言動を畳みかけられたら、そりゃあ攻略されてもおかしくは無いか」


ちょい悪令嬢「言ってみれば、いかにも生活に疲れた小金持ちのオバハンが、美青年ホストから、『あなたは美しい!』とか、『まだまだお若いですよ!』とか、心にも無い美辞麗句を連発されるうちに、つい『その気』になってしまうようなものですよw」


メリーさん太「──だから何なの、あんたのその『常在戦場』そのままな、『ケンカ腰』は⁉」




ちょい悪令嬢「そもそも女の子をオトすための『最も推奨する言動』なんてもの自体が、まやかしみたいなものじゃないですか? それこそエロゲやギャルゲのプログラムでもあるまいし、ちゃんと生きていて自分の意思で行動している一個の人間に対して、『最適解の選択肢で攻略してやる!』とか、失礼にも程があるのでは?」




メリーさん太「おいっ、前回の作品設定を台無しにするばかりか、この世のすべてのエロゲやギャルゲを否定するようなことを、いきなり言い出すんじゃないよ⁉」




ちょい悪令嬢「それにひきかえ、本作の作者は毎度のことのように、一見何の役にも立ちそうにない、『女の子に対しては絶対に忌避すべき言動』アプリのほうをイチオシするんだから、わかってるよね♫」


メリーさん太「えっ、何で『最も推奨する言動』では駄目だったのに、『最も忌避すべき言動』だったら、絶対的に効果があるの?」




ちょい悪令嬢「だって、『忌避すべき言動』をそのまま使うんじゃなくて、忌避すべき言動を『忌避する言動』をとっているからですよ?」




メリーさん太「………………………………あ、そういえば、そうでした」


ちょい悪令嬢「もしも目の前に地雷原があったとして、無数に埋められた地雷の中には、少しは『不発弾』があってもおかしく無いけど、とにかく地雷が埋められていると思われる場所はすべて避けたほうが、文字通り『無難』であることは間違い無いでしょう? よって少しでも『目の前の女性の気に障るかも知れない』可能性のある言動は、それが本当に破局をもたらすかどうかはともかく、慎むべきってことなのですよ」


メリーさん太「……なるほど、女性に対しては、文字通りに『地雷ワード』は、絶対に御法度と言うことか」


ちょい悪令嬢「──おい、誰が『うまいことを言え』って、言った?」


メリーさん太「はいはいw ──まあとにかく、これも本作の作者お得意の、集合的無意識論や量子論に則った、『リスク回避』ってことか」


ちょい悪令嬢「そうですけど、今回に限っては、それが『本筋』では無いのです」


メリーさん太「……え、そうなの? だったら何だよ、その本当の『本筋』、って?」




ちょい悪令嬢「──それこそはまさしく、『真に人を愛する』、と言うことですわ♡」




メリーさん太「また大上段に、振りかざしてきたなあ⁉」




ちょい悪令嬢「そもそも前回の短編はもちろん、大本オリジナル(?)の『スクールデ○ズ』アニメ版において、主人公のマ○ト君がヒロイン攻略に大失敗して、文字通りの『ご愁傷様エンド』になってしまったのは、ゲームとアニメとのシナリオ形態の違い以外にも、まさに『エロゲ脳』そのままに、女の子のことを生身の人間では無く、あたかも自分の意思や感情を持たない『つくりものプログラム』であるかのように対応したことが、最大の原因だったのですよ。前回の作中でも述べましたが、本来あのような『超常的なアプリ』は、あくまでも『補助的』にのみ使用すべきで、まず何よりも本人の『一途な恋心』と、それを成就させるための『不断の努力』こそが、必要なのであって、前回の短編や『スク○ズ』の主人公のような、『ハーレム思想』なんてものは、最初から『人間として間違っていた』のですよ」




メリーさん太「──うおっ、確かにこれは大上段に振りかざしてもおかしくは無い、『ド正論』だわ! 反論のしようが無いぜ」




ちょい悪令嬢「そしてまさにこの『ド正論』こそが、実はこの世に『同性愛者』なぞ一人も存在せず、『LGBT保護』や『同性婚』等の法制化なんて、何の意味も無いことを、如実に証明しているわけなのです」




メリーさん太「は?………………………………って、ちょっと、いきなり何てこと言い出すのよ⁉」







(※後編に続きます)

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