第577話、わたくし、量子コンピュータを埋め込まれたくらいで、人格は変わりませんの⁉

ちょい悪令嬢「さて、今回は本来なら前回の『文学少女系悪役令嬢』の続きをするつもりでしたが、急遽予定を変更いたしまして、第574話と第575話の『量子コンピュータ』についての補足説明を行いたいかと思います」




メリーさん太「──えっ、あのいかにも思わせぶりな、『姉妹愛憎百合』短編の続きをやるんじゃなかったのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「元々量子コンピュータをテーマにしたのは、現在絶賛放送&配信中のオリジナルアニメ、『神様○なった日』に対する『考察』の意味もあったのですけど、本日未明の最新話において、少々気になるシーンが有ったのですよ」


メリーさん太「『神様○なった日』って…………ああ、現在『戦翼のシグ○ドリーヴァ』と、『今期のアニメのブービー賞』を巡って、熾烈に争っているやつか」


ちょい悪令嬢「──おい、よせ!」




メリーさん太「実は、『戦翼のシグ○ドリーヴァ』のオーディンが量子コンピュータを通して、『神様○なった日』のひ○ちゃんを乗っ取っていて、オーディンを倒すと、ひ○ちゃんが快復したりしてね☆」




ちょい悪令嬢「別々の制作陣の作品を、勝手に合体させるなよ⁉」


メリーさん太「『北欧神話』という共通点も有るんだから、やってやれないことも無いんじゃないの? むしろ最終回でそのくらいやってくれたら、評価爆上げなんだけどな」


ちょい悪令嬢「──いや、そんなことしたら、『大炎上』モノだろ⁉」


メリーさん太「……ていうかさあ、この不自然極まる突然のテーマの変更って、もしかして本作の作者が、『む○ぶと本。』の最新刊の『嵐○丘を継ぐ者』を、いまだ完読していないための、『時間稼ぎ』じゃ無いだろうな?」


ちょい悪令嬢「ギクッ」


メリーさん太「やはり、そうか…………まあ、電動アシスト自転車で一山も二山も越えて、本屋に買いに行っりしているんだから、文字通り『本』末転倒とはいえ、本を読む気力も無くなってしまっているのも、わからないでも無いけどな」


ちょい悪令嬢「ちゃ、ちゃんと読んだし! 一番肝心な、『ほ○るちゃん』と『夜長姫サマ』のエピソードだけは、しっかり読んだし!」


メリーさん太「ファンだったら、無理にでも全部読めよ! それに何よりも、自分の作品の続きを書けよ!」


ちょい悪令嬢「……いやあ、やはり、『思い立ったら吉日』と申しますことですし、元々量子コンピュータのほうも、もう少し話を続けようと思っていましたので、今回の『神様○なった日』を見た瞬間、どうしても書きたくなったのですよ」


メリーさん太「ほう、それ程刺激を受けたというわけか? 一体どのシーンよ?」




ちょい悪令嬢「ヒロインの女の子が、頭の中の量子コンピュータを摘出される前と後とでは、まったく『別人』になってしまうんじゃないのかと、疑問が呈された箇所です」




メリーさん太「……あー、なるほど。本作の作者が、いかにも好きそうなテーマだな」


ちょい悪令嬢「ええ、最新話を見るなりいろいろと考えさせられて、どうしても意見を述べずにはいられなくなったんですよ。──それにこれは、前々回までの補足説明という意味合いもありますしね」


メリーさん太「確かにこれって、『果たして「記憶喪失」の前後では、人間の人格は変わり得るか?』という、SF小説やファンタジー小説等の『多重人格』モノにおける、最大級の『争点』でもあるしねえ……」


ちょい悪令嬢「……争点、ですか? 本作の作者においては、そこのところははっきりとしておりますけど?」


メリーさん太「え、そうなの?」




ちょい悪令嬢「作者の別作品である『記憶喪失メモリーズ』においても、詳細に明言していたではないですか? 記憶を喪失しようが、量子コンピュータを埋め込まれようが、前世の記憶に目覚めようが、クラスメイトと派手に衝突して男女間で入れ替わろうが、その肉体の持ち主としてのアイデンティティは微塵も揺らぐこと無く、あくまでも『同一人物』であり続けると」




メリーさん太「なっ⁉ それってつまり、『肉体』が同一であれば、たとえ『中身』が超常現象によってまったくの『別人』そのものになっても、人としての『同一性』は変わり得ないってことか?」


ちょい悪令嬢「当然でしょう? これまで数多のラノベにおいて、多重人格のヒロインに対して、『……俺は一体、彼女の中の、どの「彼女」に惚れているんだ⁉』とか、無駄な苦悩をする主人公がいましたけど、たった『一言』で論破してみせましょうか?」


メリーさん太「……言ってみろ」




ちょい悪令嬢「大体、男──特に『若いオス』というものは、どんなに綺麗事をほざこうが、女──特に『若いメス』に対しては、何よりも『身体目当て』なんだから、中身なんて最初から関係無いんだよ!」




メリーさん太「──うおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ⁉」




ちょい悪令嬢「あら、わたくし何か、間違ったことでも、申しましたかしら?」


メリーさん太「間違ってはいないけど、物には言いようがあると言うか、もはやそれって『言っては駄目』なやつだろうが⁉ 今この瞬間一体どれだけの数の、記憶喪失モノを含む多重人格系『感動ポルノ』ラノベが、生命を絶たれたと思っているんだ? まさかあんた、すべての出版社にケンカを売るつもりかよ⁉」


ちょい悪令嬢「出版社なんぞに媚びて、言いたいことも言えなくなるくらいなら、Web小説オンリーで好き放題したほうがましですわ!」


メリーさん太「こ、こいつ、開き直りやがった……ッ」




ちょい悪令嬢「まあ、いつまでも『多重人格』全般について語っていてもキリがありませんから、話を『量子コンピュータ』に戻しますけど、『現実的な異世界転生=前世の記憶の復活』に関して何度も申してきましたが、集合的無意識とのアクセスによって与えられるのは、異世界人──すなわち『別人』の記憶や知識そのものでは無く、その人物の思考パターンの『基本的フォーマット』に過ぎず、実際に物事をあれこれ考えているのは、(前世の記憶に目覚めた)本人の脳みそに過ぎないのであって、これは『神様○なった日』のひ○ちゃんの場合も同様で、頭に埋め込まれていた量子コンピュータがもたらしてくれたのは、『オーディン』だか『興○博士』だかの思考パターンのみで、実際に思考し言動していたのは、ひ○ちゃん自身の頭脳に基づくものだから、量子コンピュータを摘出することによって、ある程度思考レベルが低下することはあり得るかも知れないけれど、過去の記憶をすべて失って、まったくの別人になることなんて無いのですよ」




メリーさん太「──『神様○なった日』、全否定じゃねえか⁉」


ちょい悪令嬢「否定と言うか、本作の作者とは、『考え方が違う』と言うだけの話ですよ」


メリーさん太「……それにしては、あまりにも容赦なく、ぶった切ったじゃないの?」




ちょい悪令嬢「確かに、自分の作品を盛り上げるために、『記憶』や『人格』といった、人間にとって最も大切な『自己同一性アイデンティティ』を、安易に揺るがしもてあそぼうとする、『感動ポルノ』作品に対しては、どうしても厳しい見解になってしまうのは、否定しませんけどね」




メリーさん太「……え、何か、怒っている?」


ちょい悪令嬢「まさかあ、論理的に『真に正しいこと』を、教えて差し上げただけですよ☆」


メリーさん太「やっぱ怒っているだろう、あんた⁉」




ちょい悪令嬢「もし仮に怒っているとしたら、そもそも『量子コンピュータ』そのものに対する、『扱いの杜撰さ』についてでしょうね。何度も何度も申しておりますが、自分の作品の中に量子コンピュータさえ登場させれば、『何でもアリ』になるようなズルばかりやっていては、本物の創作者クリエーターとは言えないでしょう。量子コンピュータはけして、それこそ『何でもアリのおとぎ話の神様』みたいに、『全知』をもたらすことなぞできません。あくまでも『無限に存在し得る未来の可能性』をすべて『データ』として提供するとともに、求める答えを得るのに必要な計算をするための、『基本的な考え方フォーマット』を与えてくれるだけで、実際に計算するのはあくまでも、人間自身の脳みそに他ならないのですよ」




メリーさん太「……うん、本当に、これまで本作において述べてきたことばかりだな」




ちょい悪令嬢「よって『だ○まえ』御大には是非とも、次回の最終話においては、誰もが驚くような急展開をお見せになって、今回の本作の作者の貴作への評価を、180度ひっくり返されることを、心よりお祈りしておりますわ♡」




メリーさん太「こ、こいつ、最後の最後に、いかにもわざとらしく煽りやがった⁉」




ちょい悪令嬢「大丈夫ですって、エロゲのシナリオライターって、音に聞こえた天才揃いですからね、きっと想像できないほどの、『逆転ホームラン』を見せてくださいますよ。──何やら脚本家様は、大の野球マニアであられるそうだし♡」




メリーさん太「最終回を目前にして、無茶苦茶ハードルを上げるのは、やめて差し上げろよ⁉」

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