第558話、わたくし、ついでに『エンド○スエイト』の原作版も、再考証したいと思いますの♡

ちょい悪令嬢「──いやあ、『ヨ○ガノソラ』の最終回、良かったですねえ。まさにこれぞ、ハッピーエンドの大団円♡」




メリーさん太「……え、あれが? あれって初放映当時において盛大に物議を醸した、禁忌の『兄妹エンド』だったのでは?」




ちょい悪令嬢「………………………え? 『兄妹エンド』って? 何をおっしゃっているのです? 最終回は間違いなく、『メイドさんエンド』だったでは無いですか?」


メリーさん太「は?」


ちょい悪令嬢「は?」


メリーさん太「………………………あ。あんたもしかして、あの『おまけアニメ』を勘定に入れているわけ? いや、あれは『カウント外』でしょうが? あれはあくまでも、『公式によるパロディ』みたいなものだし」


ちょい悪令嬢「……だから、『除外』しても、構わないと?」


メリーさん太「そりゃ、そうでしょう!」




ちょい悪令嬢「だったら、他のエピソードも、『除外してOK!』、と言うことになりますよね?」




メリーさん太「………………………は?」




ちょい悪令嬢「……まったく、あれだけ何度も解説して差し上げたのに、『ループ』というものを、いまだわかっておられないのですね。何なら、前回の『エンド○スエイト』の復習でもいたしますか?」


メリーさん太「ああ、アニメ版『ヨ○ガノソラ』みたいに、まさに『ギャルゲ』そのままの、別々の『ヒロインルート』によるオムニバス形式こそ、この現実世界における『ループの具現化』そのもの──とか何とか、言っていたっけ?」


ちょい悪令嬢「それに、『すべての世界は、あくまでも等価値なのであり、どんな世界であろうとも、ループや並行世界を論ずる上で、けして除外されることは無い』とも、言い続けてきたつもりですけど?」


メリーさん太「──ッ。じゃあ、あんなあからさまな『おまけギャグコーナー』も、正式な『ヒロインルート』だったと言うのかよ⁉」


ちょい悪令嬢「ええ、よって『ヨ○ガノソラ』というアニメ作品は、正しく『メイドさんエンド』であったというわけですわ!」


メリーさん太「いやでも、本作においては、それぞれの世界には『前後関係』は無く、けして『ループ系』の創作物の最後の周回が、ループにおける最後の周回であるとは限らないとも、言っていたじゃんか⁉」




ちょい悪令嬢「『ループ系』ならね。──しかあし! 『ヨ○ガノソラ』を『ループ系』と見なしているのは、本作の作者の独自見解に過ぎず、アニメ版の各ヒロインルートは、実際の放映時の順番が尊重されなければならず、よって最終的に勝利をもぎ取ったのは、メイドの初○さんであったことになるのですよ!」




メリーさん太「──うおっ、何かいかにも『ダブスタ』気味な理論だけど、明確なる否定の言葉が見つからねえ! た、確かに、番組最後のエピソードは、『初○さんエンド』だもんな⁉」


ちょい悪令嬢「ご理解していただけて、恐縮ですわ。──でも、御指摘通り、少々『ダブスタ』的なところもありました故に、少々補足説明を付け加えることにいたしましょう!」


メリーさん太「……補足説明、って?」




ちょい悪令嬢「前回の続き、つまりは、『エンド○スエイト』における、『ループの前後関係』に関する、補足説明ですよ!」




メリーさん太「えっ、まだ続けるつもりなの⁉ いい加減やめようよ、敵をつくるだけだろうが?」




ちょい悪令嬢「大丈夫です、今回はアニメ版では無く、あくまでも原作についての考証ですから」


メリーさん太「──それのどこが、『大丈夫』なの⁉」




ちょい悪令嬢「本当に大丈夫ですって、何せこれまでの反省を踏まえて、原作を『再評価』する方向で、論ずる予定ですから」




メリーさん太「……再評価、だと? あの『傲慢』が服を着て歩いている、本作の作者がか?」


ちょい悪令嬢「えらい言われようですが、その通りです。本来本作における『ループ』に対する基本的なスタンスは、『すべての周回は順不同』でしたが、他人様の実在の作品に対しては、少々考え方を改めた次第であります」


メリーさん太「考え方を改めたって、どういうふうによ?」




ちょい悪令嬢「前回も申しましたが、ループやタイムトラベルや異世界転生のように、複数の世界に跨がる超常現象であろうとも、現在自分が存在している目の前の世界のみを、確固とした現実の世界として考えるべきであって、それ以外の世界に関しては、もはや『夢の記憶』のようなものに過ぎず、確たるものとして考える必要は無いわけなのですよ」




メリーさん太「ああ、まあな、それが最も『現実的な考え方』だろうな」


ちょい悪令嬢「そうすると、原作版『エンド○スエイト』の、『現実なのは、最後の周回のみで、後のループの周回は、今や消え去ってしまっている』という見解は、けして間違いとは言えなくなるんじゃないでしょうか?」


メリーさん太「──え? いやいや、そうなると、『ループの各周回には、時間的前後関係なぞは無い』という、大原則にそぐわなくなるんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「もちろん、その考え方も重要ですわ。現にほんのついさっきネット上の某『アニメや漫画のまとめサイト』において、『実は今回の「ひぐ○し」の新作アニメ「業」は、各エピソードが時系列的に、放映されているんじゃ無いのか?』という、本作の作者の常日頃からの持論と合致した、非常に独創的な考察をなされた方がおられたくらいですからね」


メリーさん太「おっ、確かに本作お得意の、『すべての世界は最初からすべて(時間の前後関係的にも)揃って存在している』に則っているし、もしかしたら『正解』かも知れない、大注目のご意見だよな⁉」




ちょい悪令嬢「ただしそれは、『ひぐ○し』や『シ○タゲ』や『ヨ○ガ』やアニメ版『エンド○スエイト』のように、作品全体が『ループ』──すなわち、同じようなエピソードの繰り返しによって構成されている作品のみが、該当するものと思われて、『ま○マギ』や原作版『エンド○スエイト』のように、作中において他の周回の描写がまったく無いか、ほとんどが『最後の周回』のみを扱っている場合は、あくまでも『ループ』というものを、確固とした現実世界における視点により、『夢の記憶』のようなものに過ぎないと見なしているも同然なので、各作品の作者様の設定なされている通りの時系列を尊重して、作品のメインステージこそを『最後の周回』と位置づけても構わないのですよ」




メリーさん太「……ああ、なるほど、確かに論理的に正しいとは言え、何でもかんでも本作の独自見解をごり押しするんでは無く、『ケースバイケース』で考証すべきってことか」


ちょい悪令嬢「と言うわけで、本作における再考証の結果として、原作版『エンド○スエイト』に関しましては、全面的に正しいということになりました。パチパチパチパチ♡」


メリーさん太「──いや、ちょっと待てよ」


ちょい悪令嬢「うん、どうしたのです、メリーさん?」




メリーさん太「……それってつまりは、原作版『エンド○スエイト』においては、実は『ループ』なんてって、ことになるんじゃ無いのか?」




ちょい悪令嬢「はい、そうですが?」




メリーさん太「──『そうですが』じゃ、無いだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「でもこれって、原作版『エンド○スエイト』の『現実性』が認められたわけだから、むしろ喜ばしいことではありませんか?」


メリーさん太「『現実性』のために、『ループ』では無くなってしまったら、意味が無いじゃないか⁉」




ちょい悪令嬢「そんなことありませんよ? だってちゃんと、『目標』を達成しているのですから」




メリーさん太「へ? 目標って……」


ちょい悪令嬢「そもそも『ハ○ヒ』シリーズにおいて、『S○S団』は、何のために存在していると思っておられるのですか?」


メリーさん太「そ、そりゃあ、ハ○ヒ嬢の『神様パワー』の暴走を、未然に防ぐために決まっているでしょう?」


ちょい悪令嬢「その通りです、よって今回も、そのためにこそ、『ループ』が行われたのですよ」


メリーさん太「は? 違うでしょう? ハ○ヒ嬢の神様パワーが暴走したからこそ、ループなんていう超常現象が起こったんじゃないの⁉」




ちょい悪令嬢「いいえ、もしも実際に暴走が起こっていたら、ループから脱出することなぞできなかったろうし、場合によっては、もっとむちゃくちゃな状況になっていた恐れすらあります。それがあんな『夏休みを終わらせたくない』などと言った、そこら辺の子供でも考えつくような『生ぬるい不思議現象』で終わったのは、『暴走』そのものだったのでは無く、むしろ『暴走を防止するための警告』みたいなものだったからですよ」




メリーさん太「……ループが、警告、だと?」




ちょい悪令嬢「つまりですね、いつもの『リスク回避』のための、『無数の失敗例ばかりの記憶のダウンロード』ってやつですよ。あのように『遊びほうけるばかりの夏の日々』を繰り返しているうちに、何だか不安を感じていくのです。『何かが足りない』とか、『このままでは駄目だ』とかね。──すると、8月31日が近づいてくるうちに思い出すのですよ、『ああっ、そうだ、俺って遊びほうけていて、夏休みの宿題を全然やっていなかった! 古○、長○、朝○奈さん、今から俺の家に集まって、大勉強会だ!』と。そして、そんな突然絶叫し始めたキ○ン君を目の当たりにして、『何それ、面白そうじゃないの⁉ 良い子でお利口さんの私は、これまで夏休みの宿題で苦労したことは無いけど、みんなで力を合わせて難題を乗り越えるのも、それはそれでも得るものがあるし、団長の私も参加させなさいよ!』とハ○ヒ嬢も乗ってきて、見事彼女の欲求不満による暴走自体も、未然に防げたというわけですわ」




メリーさん太「──ええっ、つまりは、実際には起こっていない『偽りのループの記憶』によって、ハ○ヒ嬢の暴走を未然に防いだわけか⁉」




ちょい悪令嬢「そもそもループなんて実際に起こるわけが無く、すべては本当は存在しやしないあくまでも可能性の上の代物である、『無数の並行世界の自分自身の記憶』を、集合的無意識を通じて脳みそに刷り込まれることによって、擬似的に無数のループを繰り返したような記憶を持つようになるだけの話なのですよ。よって、集合的無意識との完全なるアクセス能力を有する長○さんは、数万回ものループの確固たる記憶を持つことになり、ほとんど偶然にしか集合的無意識にアクセスすることのできない、他のS○S団メンバーは、『デジャブ』的なあやふやな記憶しか持たないことになるわけですが、そんなあやふやな記憶でも、『このまま夏休みを終わらせてはならない』とか、『何かが足りない』とか、『下手したらハ○ヒが暴走を起こしてしまうのでは』とか言った、『危機感』を煽られることになって、本来はループを何度も体験して初めて得ることのできるはずの『正解』を、たった一度の夏休みで獲得することを可能にしているといった、次第なのでございます」




メリーさん太「……ああ、言わば、これまた本作の作者お得意の、『「リゼ○」のス○ル君は、実は実際には「死に戻り」を行っておらず、無限の「失敗例」の記憶のみを、集合的無意識を介して与えられることによって、一度も死ぬこと無く、あらゆる難問を解決することを可能にしているのだ!』って、やつか」




ちょい悪令嬢「そういう観点からも、前回も述べたように、作中においてまったくループの描写が無かった、原作版『エンド○スエイト』は、非常に正しかったわけなのですよ」


メリーさん太「……ほんと珍しいよな、本作の作者がここまで、他人様の作品を手放しに褒めるのって」




ちょい悪令嬢「これもすべて、『ひぐ○し』のお陰なのです。現在ネット上で大盛況の各『考察スレ』を見るまでも無く、作品を批判して切り捨てるよりも、考察等を『ああだこうだ』言いながら、骨までしゃぶるように楽しみ尽くした方が、絶対にお得ですしね♫」




メリーさん太「そうだな、結果的に自分に合わなくて『切る』のは構わないが、頭ごなしに否定するのは、厳に慎むべきだよな」




ちょい悪令嬢「とはいえ、『ループには時間的な前後関係は無い』の大原則も、まったくの誤りというわけでは無く、それこそケースバイケースで、今回のように完全に完結した『エンド○スエイト』という、一つのエピソードの中の最終ステージならともかく、『ひぐ○し』や『ま○マギ』や『シ○タゲ』のような、作品自体が『ループ』をテーマとしている場合は、一度『最終ステージ』を設けていても、その後『続編』や『番外編』や『派生作品』等が生み出されることによって、結局全体的に『順不同』になることも、大いにあり得るのですからね」




メリーさん太「……なるほど、現行の『ひぐ○し業』なんて、まさにそれだし、本家の『ま○マギ』と外伝の『マギ○コ』の前後関係も、非常に微妙と言わざるを得ないよな」




ちょい悪令嬢「──と言うわけですので、別に本作における『ループ』に対する考証が、絶対的に正しいというわけでは無く、それぞれの作品ごとに、ケースバイケースで考証することこそが、何よりも肝要かと思われますので、その点はお間違い無きよう、よろしくお願いいたしますわ♡」




メリーさん太「まあ、アニメ版『ハ○ヒ』は、そういったSF的考証とかでは無く、主人公が『暴力ヒロイン』であることのほうが、よほど問題かと思うしね」




ちょい悪令嬢「──おいっ、何で最後の最後で、いかにも物議を醸すような、爆弾発言をぶっ込んでくるんだよ⁉」

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