第547話、わたくし、『同性婚』が合法化したら、余裕で日本を滅ぼせますの♡(前編)
──ホワンロン王国王城スノウホワイト最上階、最高首脳会議場。
現在ここは、かつてないほど重苦しい雰囲気に、包み込まれていた。
「……何か、何か、有効な対策は無いのか⁉」
「軍部は一体、何をやっているのだ!」
「三角諸島ぐらい、とっとと、ぶんどってやればいいのだ!」
「しかし、肝心の『ジャポーン弓状列島民主主義国』のほうが、乗ってこないからなあ……」
「くっ、『専守防衛』か、難儀なものだ」
「向こうさんから手を出してもらわなければ、さすがに周辺諸国が黙っちゃいなからな」
「海向こうの『アメリゴ合衆国』も、大統領選挙が落ち着けば、間違いなく介入してくるぞ?」
「ジャポーン国内の『学術会議』は、何をやっているんだ⁉」
「散々我が国から資金提供を受けておきながら、ジャポーン弱体化工作が、全然進んでいないじゃないか!」
「何が、『同意無き性交渉の犯罪化』だ! いい歳した学界の重鎮が大勢集まって、それで仕事をしているつもりか⁉」
「SNS工作員である、『似非フェミ』部隊も、完全に役立たずだしな」
「よりによって、『ポテトサラダ』に『唐揚げ』だと?」
「それはただ単に、
「工作員としてだけでは無く、女としても役立たずなやつらだな⁉」
「こんなやつらの子供に生まれなくて、本当に良かったよ……」
「大丈夫、こいつらって、きっと一生、結婚なんて──」
「──我らの協力者である、工作員の悪口は、そこまでだ!」
「そうとも、ジャポーン国内の男女間や年代間の分断工作に関しては、少なくとも学術会議よりは役に立っているしな」
「……それは、学術会議のほうが、まったくの能無しってことじゃないのか?」
「──くっ、外からも駄目、内からも駄目、どんなにちょっかいをかけても、梨のつぶてじゃ、もはややりようがないぞ⁉」
「……しかし、ジャポーンを落とさないと、我が国は本格的な海洋進出ができないでは無いか!」
「何でもいい、現状を一挙に打開できる、妙案は無いものか……」
そのように、文字通り『万策尽きた』かのようにして、王国指折りの貴族や高級官僚たちが、全員苦痛の表情で沈黙した、まさにその時、
「──妙案なら、ございますわ」
「「「なっ⁉」」」
会議場の入り口から鳴り響く、涼やかな声音。
そこには、二人の男女を引き連れた、銀髪金目の幼い少女の姿があった。
そんないかにも『場違い』そのままな人物の登場に対して、この国の重鎮たちの反応は劇的であった。
「──こ、これは、筆頭公爵家令嬢殿!」
「『
何と、むしろ彼女に対して祖父同然の年嵩の高位の紳士たちが、畏まる有り様であったのだ。
「用向きですかあ? うふふ、皆様のほうこそ、何だか面白そうな『悪巧み』を、なされているご様子ですこと」
「ぬなっ⁉」
「悪巧みなどと……」
「そ、そんな、まさか」
「まあ、そのようにごまかされずとも、よろしいではございませんか? どうぞ
「参加って……」
「巫女姫様が、ですか?」
「先ほど申しましたでしょ? 妙案が、ございますって」
「妙案、ですと?」
「……そういえば、そちらの方々は、どなたでしょうか?」
そう言いながら、ちらっと、『
──そうなのである、王国の運命を担うお歴々の皆様ときたら、
それも、そのはず。
その二人ときたら、すこぶるつきの妙齢の美女と、幼いながらも希に見る美少年であったのだ。
もちろん、どこぞの国の『上級国民』などと言った輩では比べ物にならないほどの、伝統ある王国きっての貴人たちであるからして、そんじょそこらの美女や美少年程度では、それ程興味を惹かれることなぞ無かったであろう。
──つまり、そこにいたのは、そんじょそこらの美女や美少年では、
「……うふふふふ、さすがは王国の最高首脳会議、女性のお貴族様もお役人様も、魅力的な方ばかりですこと♡」
縁なし眼鏡の奥から、蠱惑的な流し目をくれながら、意味深なことを宣う、年齢不詳の美女。
なぜだか途端に顔を真っ赤に染め上げてしまう、
「あはは、そうだね、こんな渋いロマンスグレイのおじ様方に、こうして一度に大勢お会いできるなんて、僕も光栄だよ♫」
金髪碧眼の天使や妖精もかくやといった感じの、幼いながらも妙な色香を感じさせる半ズボン姿の少年の、とびっきりの笑顔を目の当たりにして、妙に挙動不審となる『おじ様方』。
それを見て、頃合いよしと畳みかけてくる、幼き公爵令嬢。
「ふふっ、いかがですか、皆さん?」
「……い、いかがとは」
「何のことでしょう、巫女姫様?」
「
「工作員って……」
「その二人が、ですか?」
「しかも破壊、って」
「まさか、あのジャポーンを⁉」
「聞くところによると、かの国の某政治家さんが、おっしゃったそうではないですか、『もしもこのジャポーンにおいて、このまま「同性愛」の増加を野放しにしていると、国を滅ぼしかねない』、と」
「──うっ」
「ちょっ」
「巫女姫様⁉」
「それは禁句ですぞ!」
「いろいろとマズいではありませんか⁉」
「滅びますよ?」
「「「…………は?」」」
「何ならこの
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