第455話、わたくし、オキナワの『狼』少年、ですの。(その13)

「──何よりもこのことは、壮絶を極めた沖縄決戦における『無差別大量殺戮』行為以外にも、本土の広島や長崎において、平気で『原爆』などと言う、非人道的大量破壊兵器を使用したことこそが、如実に証明いたしております」




「しかも戦後某白人国家の首脳が公然と、『原子爆弾が白人国家では無く、黄色人種国家である日本に対して使われたのは、人類にとっての幸運だ』などと、ほざきやがったそうですよ?」




「兵器である私が言うのも何ですが、戦争とはあくまでも『外交手段の一つ』なのであって、交戦相手のことを完膚なきまで滅ぼすことを目的にするものなぞではございません。少なくとも、相手のことを『自分たちと同等の人間』だと思っていたら、そのようなことは絶対にあり得ないでしょう」




「事実、日本国においては、『ポツダム宣言』をどうしても無条件に受け容れることはできなかったので、当時中立国であったソビエトを通じて、事態の打開を図ろうとしていました」




「つまり、日本はちゃんと、戦うことばかりでは無く、外交努力も行っていたのです」




「しかし、卑劣なる共産主義者のスターリンは、すでに日本のことを裏切っており、中国東北部への侵攻準備を着々と進めており、日本と米英連合国との仲立ちをする気なぞ、さらさらありませんでした」




「その結果、差別主義者であるトルーマンは、実は根っからの共産主義のシンパであったルーズベルトの遺言通りに、広島と長崎に原爆を投下したのです」




「まさしく、神をも畏れぬ蛮行と申せましょう」




「とても、人間が人間に対して行う所業とは思えません」




「やはり、アメリカ等の白人国家は、日本人のことを、同じ人間とは見なしてはいなかったのです」




「──なぜなら、あらかじめ決戦が予想されていた沖縄とは違って、名実共に『内地』である広島市や長崎市には、純粋なる『戦闘員』はほとんどおらず、少々軍需産業従事者がいるだけで、その被害者の大多数が、何の罪も無い一般市民だったのであり、鬼畜アメリカは、当然そのことを承知していたのですから」




「繰り返します、白人はけして、日本人のことを、同じ人間とは思っておりません」




「だからこそ沖縄においても、軍民を問わず、大量殺戮を実行できたのです」




「現在の、狂ったイデオロギーの扇動者に、騙されてはなりません」




「確かに、一般市民に被害が及んだことには、日本軍にも少なからず責任はあったことでしょう」




「しかし、あの圧倒的な劣勢の状況にあって、日本軍が一般市民を完全に守り切ることなぞ、本当に可能だったとでも思われるのですか?」




「間違ってはいけません、そもそも悪いのは、軍民を問わず『無差別殺戮』を行った、アメリカ軍なのです」




「今回のコロナ騒動においても、外国勢力に支配された偏向マスコミどもが、盛んに政府等に責任を被せており、どうしてもそれに感化せんのうされがちですが、どう考えても一番悪いのは、コロナウイルスをまき散らした某国家であり、自分自身にウイルス感染の恐れがあることを知りながら、日本に大挙してやって来た某国民なのです。なぜマスコミは、その『事実』に言及することを、極力避けようとするのでしょうね?」




「──当時の沖縄も、同様なのです。一番悪いのは当然、沖縄に侵略してきた『外敵』であり、しかもそいつらが、極悪極まる『差別主義者』だったことなのです」




「……私は、心底、悔やみました」




「あの時せめて、沖縄にたどり着けていたらと」




「もちろん、たとえ当時世界最強だった『大和型』とはいえ、戦艦が一隻駆けつけたところで、戦況そのものを変えることなぞ不可能だったでしょう」




「──しかし、米軍における被害に関しては、相当なものとなっていたことでしょう」




「それだけ私の主砲である、45口径460ミリ3連装砲の威力は、強力無比だったのです」




「砲撃が届く範囲ならば、そこにいる米軍を全滅させることも、十分可能だったでしょう」




「……しかし残念なことながら、ナチス以上のレイシストである合衆国においては、黒人を始めとする有色人種の命には価値はありませんので、すぐに追加の有色人種兵士が大量に投下され、粛々と沖縄侵略を続行したことでしょう」




「その時には私自身も、制空権を完全に掌握している米軍航空部隊による、大規模空爆によって、完全に無力化されていることでしょうし」




「それでも、私が何としても沖縄にたどり着いていたら、憎き米軍どもに一矢報い、少しでも多くの日本人に逃げる機会を与えて、助けることができたのに」




「くやしい」




「くやしい」




「くやしい」




「くやしい」




「くやしい」




「くやしい」




「くやしい」




「くやしい」




「くやしい」




「……この『悔恨の念』こそが、坊ノ岬沖の水底に眠っていた私を、いつしか軍艦の怨念の具現である『海底の魔女ヘクセンナハト』と変えてしまい、その時にはすでに、もしももう一度機会が与えられたなら、自分のすべてを費やしてでも、今度こそ沖縄を絶対に守り抜くことこそを、『最大の命題』としていたのです」




「よって、こうして『軍艦擬人化少女』として、再び甦った私には、『根源的本能』として、沖縄の人間──特に、真の沖縄のあるじであられられる、『琉球王家』の血を引く方こそを、己の『提督あるじ』とすることを誓っていたのです」

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