第436話、わたくし、小説家なら、作品で語るべきだと思いますの!(前編)

ちょい悪令嬢「──さて今回は、いきなり何の前触れも無く【番外編】が5回も続いたことですし、ここいらで仕切り直しとして、毎度お馴染みの【座談会】を挟みたいかと思います☆」







メリーさん太「………………………ふゆぅ〜」







ちょい悪令嬢「あれ、どうしたのですか、メリーさん。何だかどこかの『マンション絶対殺すガール』でお馴染みの魔法少女そっくりな、ため息を深々とついたりして?」


メリーさん太「だってここで、『──いやいや、ちょっと待って!』とか言ったら、あんたすぐに『お約束、あざーす!』なんて、返してくるじゃない? もう、そんなウザいやり取り、繰り返したくないのよ」


ちょい悪令嬢「そ、そんな! 冒頭の流れをそのように断ち切られたら、スムーズに本編に入れないではありませんか⁉」


メリーさん太「ああ、そこのところは大丈夫よ。今回に限っては、こちらから言いたいことが山ほど有るから」


ちょい悪令嬢「へえ、珍しく積極的ですねえ、メリーさんにしては」




メリーさん太「──積極的にもなるわよ⁉ 一体何なのよ、前回までの【番外編】は! いくら何でも、まずいんじゃないの⁉」




ちょい悪令嬢「は? まずいって、何が?」


メリーさん太「しらばっくれるんじゃないわよ! あれって完全に、最近の『某時事問題』を、モチーフにしているでしょうが⁉」




ちょい悪令嬢「時事問題? まさかあ。あの【番外編】はあくまでもフィクションであり、実在の事件や人物やマスコミや周辺諸国等には、一切関係はありませんよ♡」




メリーさん太「──そんな、紋切り型テンプレの台詞で、誤魔化されるのは、時代遅れのラノベの『某神様少女』だけだよ! どこからどう見ても、『某時事問題』そのまんまだったじゃん⁉」


ちょい悪令嬢「……う〜ん、だったら一つ一つ、否定していきましょうか?」


メリーさん太「一つ一つ、って?」




ちょい悪令嬢「まず、文化レベルが劣っていながらも平和に暮らしていた某国へ、突然高い文明や武力を持った国から侵略者が来て、気がついたら内政なんかを横取りされていて、完全に『植民地』扱いされて、全国民的に搾取されていたけれど、その分確かに文化レベルが急上昇していき、独立意識が高まっていくと同時に、むしろ相手の祖国からうまく最先端の科学技術やその他の知的財産を盗み取るための、個々の侵略者に対する買収やハニトラ、相手国への工作員の潜入や現地協力者シンパの洗脳等々、元植民地側による『剽窃システム』を構築していたところ、文明国家のほうもそれを察知して、新しい法律を策定して、これ以上の知的財産の流出を防ごうとしたんだけど、元植民地側の工作員タレントの扇動によって、世論を『法案反対』一色に染め上げて、法律そのものを廃案に追い込まれてしまった──というのが、今回の【番外編】における、あくまでも完全にオリジナルな骨格プロットとなっております」




メリーさん太「──どこがオリジナルだ! それこそ『某時事問題』そのものじゃないか⁉」




ちょい悪令嬢「何言っているのよ? これって他でもなく、本作の本編そのものじゃないの?」


メリーさん太「え、本編て……」




ちょい悪令嬢「現在進行中のエピソードである、『わたくし、ゼロの魔法少女ですの』の【魔王と勇者編】よ。あれってまさしく、これまで『NAISEI』とか『チーレム』等によって、様々な面で現代日本からの転生者に搾取され続けていた異世界側が、むしろ効率的に現代日本の最先端の科学技術や政治経済軍事等における戦略技術等の、いわゆる『知的財産』を搾取するシステムを構築したりするといった内容を、あなたの言うところの『某時事問題』が世間で広く話題にのぼる以前よりも、普通に行っていたじゃないの?」




メリーさん太「……あ」


ちょい悪令嬢「これはあくまでも、Web小説ならではのテンプレの代表格である、『チート転生者』の否定であり、ひいてはテンプレの『なろう系』作品そのものの否定なのであって、イデオロギー的意味合いがまったく無かったのは、メリーさんご自身もようくご存じでしょうし、『某時事問題』とどことなく被ってしまったのは、あくまでも偶然の一致に過ぎないのですよ」


メリーさん太「じゃ、じゃあ、『相手国への工作員の潜入や現地協力者シンパの洗脳等々、元植民地側による剽窃システムの構築』ってのはどうなのよ? これについては今回の【番外編】の公開以前においては、全然触れていなかったじゃないの? これこそ例の『某時事問題』の影響じゃないの⁉」


ちょい悪令嬢「いいえ、これにもちゃんと根拠があり、今回【番外編】において記した、『「逆転生の秘術」によって日本に工作員を潜入させて、買収やハニトラやSNS等々による煽動工作を行い、『親異世界派』のシンパを増やしたり、自分たちに有利に政治経済システムをねじ曲げようとしている』という内容についても、時事問題とかイデオロギーとかにまったく関係無いと断言できます」


メリーさん太「……断言できるって、また大きく出たわね、その根拠は?」




ちょい悪令嬢「作者の別作品で、しかも半年以上前に開催された、『小説家になろう』様サイト公式イベントである『夏のホラー2019』参加作の、『本当は怖い異世界転生⁉【病院編】』において、ズバリ『逆転生の秘術』によって異世界人が密かに現代日本に潜入してきて、本国からの指令に呼応して一斉に武装蜂起するといった作品を発表しているから、前回までの【番外編】においても同じようなアイディアを投入しても、別に不自然ではないでしょう?」




メリーさん太「──ああっ、そういえば、そうだった!」


ちょい悪令嬢「ていうか、そもそも本作『わたくし、悪役令嬢ですの!』においても、一年以上前の第55話の、『わたくし、いきなり軟禁状態になって、大ピンチですの⁉』から始まる作中シリーズにて、自分の周囲の親しい人たちが、どんどんと『別の世界からの転生者の精神』に乗っ取られていって、まったくの別人になるという、古き良き『精神型宇宙人侵略SF』そのままな、コズミック恐怖的エピソードが存在していおりますしね」


メリーさん太「第55話って、それこそ一年半も前のエピソードじゃん! そんな以前から、あたかも最近のSNS等における『潜入工作員そのままな広告塔的芸能人』たちによる、各種扇動ツイート大流行を予言していたような作品を発表していたのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「予言も何も、先ほども言ったけど、これらの作品には『イデオロギー的な意図』なぞ、微塵も無いんですってば。それよりも大いに主張したいのは、『なろう系』作品ってさあ、なぜか異世界人が何の屈託も無しに現代日本からの転生者を大歓迎しているように描写しているけど、親御さんからしたら、お腹を痛めた我が子を、わけのわからない『寄生精神体』に乗っ取られているようなものじゃないの? その点について(さっきも例えに出した)大昔の『精神体型宇宙人による地球人乗っ取りSF』そのままに、『もうちょっとおまえら危機感を持てよ?』とあぶり出したのが、本作の第56話なのであり、更に斬新なアイディアとして、異世界から現代日本への『逆転生の秘術』なるギミックを投入して、いつの間にか異世界人が日本に潜入していて、密かに侵略工作を行っている恐怖を描き、『なろう系』における脳天気極まるお約束テンプレである、『異世界人はみんな、日本人にフレンドリー♡』という幻想をぶち壊してやったのが、『本当は怖い異世界転生⁉【病院編】』であり、今回の『日本でこそこそエルフちゃん』編なのよ」




メリーさん太「──ええっ、そうなると『日本でこそこそエルフちゃん』とかいうふざけたエピソードタイトルには、そういった『アンチなろう系』的な意味合いが含まれていたわけ⁉」


ちょい悪令嬢「普通、エルフがわざわざ日本までやって来て、その理由がただ単に『日本人(の主人公)に好意があるから♡』とか、おめでた過ぎるんだよ。実は正統派ファンタジー作品における『エルフ』とは、人間とは比べ物にならないまでに高度な知生体なのであり、更にはとても同格の生物ではあり得ないほど長寿の魔法生物でもあるんだから、間違いなく『食物連鎖』的にも格段に上位の存在であるはずで、三流Web小説に描かれるように、日本人の主人公に執着しているとしたら、『好意』とか『性欲』とかじゃなく、同じ『三大欲求』だったとしても、ズバリ『食欲』によるもの決まっているじゃん」


メリーさん太「──おいっ、各エルフ系作品はもとより、馬鹿の一つ覚えみたいに、ハーレムの中にエルフ少女を参加させているほとんどすべてのWeb作家の皆様に、ケンカを売るような真似はよせ!」


ちょい悪令嬢「そいつらに贈る言葉は、ただ一つ、『……おまえら、もっと現実というものを見ろ』、だけですわ♡ いきなり異世界なんかに飛ばされた現代日本人が、他種族の女の子にチヤホヤされるわけが無いし、そもそもファンタジー種族って、ほとんどすべてが人間なんかよりも上位の存在だから、確実に差別の対象となり、『奴隷』や『食物』にされたり、いいとこ『遊戯の駒』として、おまえらの大好きな『なろう系Web小説』そのままの『人形劇ごっこあそび』を、知らぬ間に演じさせられるのが関の山でしょうよ☆」


メリーさん太「……知らぬ間にって、ああ、確かにそれって、本作の【魔法令嬢編】の根本的テーマである、『ショゴスによる実験世界』そのものってわけか」


ちょい悪令嬢「もっと詳細にお知りになりたい方は、これまた作者の一年以上前に(『カクヨム』様オンリーにて)公開済みのオリジナル作品である、『エルフの女神様♡』のほうをご覧になってください。タイトルからは予想だにできないまでに、エグい内容となっており、どなた様も必見ですよ♫」


メリーさん太「──結局、宣伝かよ⁉ しかもしつこいまでに『オリジナル』であることを連呼しているのは、あくまでも『某時事問題』とは無関係であり、イデオロギー色についても一切無いと主張するつもりだな? だったら作中のエルフ族の国である『カニバリア王国』が、大陸の極東の部にあったのは、どういうことなんだよ⁉」


ちょい悪令嬢「もちろん、イタリア半島をモデルとしておりますが? 作中にちゃんと、そういった記述があったでしょう?」


メリーさん太「すっとぼけるなよ、時事問題のみならず、これまでの歴史的経緯からして、違うほうの半島国家のはずだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「歴史的経緯からしても、イタリア以外の何物でもありませんけど?」


メリーさん太「……何ですって?」




ちょい悪令嬢「作内においては何よりも、半島国家と世界的宗教組織である聖レーン転生教団が、全編的に『共犯』関係にあったじゃないですか? これって第二次世界大戦時における、イタリア王国と、そこに内包されていたバチカン市国とを、モデルにしているのですよ」




メリーさん太「あー、確かに、それって間違いなく、『歴史的事実』じゃん⁉」




ちょい悪令嬢「どうです、これで前回までのエピソードが、『某時事問題』とはまったく関係の無い、作者のオリジナル作品だということが、おわかりになられたでしょう?」




メリーさん太「……こええ、この作者が、心底こええ。どう考えても『某時事問題』をモチーフにしているくせに、屁理屈に屁理屈を重ねて、反論を完全に封殺しやがった。屁理屈を言わせれば、どこまで天才なんだよ⁉」

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