第418話、わたくし、『ゼロの魔法少女』ですの。(その13)
「──というわけで、今回からはいよいよ、『本題』へと立ち戻ろうかと思います!」
「……誰だよ、おめえ? 魔王が『思います!』とか、言うなよ?」
「(
「わざとらしい『フリ』をかましやがって、ウゼェ…………そういえば、本題って、何だったっけ?」
「──忘れるなよ、一応貴様は
「仕方ないでしょうが⁉ あんたが話を反らし過ぎてるんじゃないの!」
「ところがどっこい、前回までの一連の『
「はあ?」
「まず、前回までのおさらいをしておこう。これまでの主張を一言でまとめると、『戦争等の大災害において、国民を殺しているのは、敵国等のよその国では無く、自国の政府なのだ』と言うことを、力説してきたわけだ」
「……う〜ん、確かに詳細な解説を聞いた後では、納得しないでもないけど、それってあまりにも『言い方』が、センセーショナル過ぎるんじゃないの?」
「うん、そう言われるかと思って、誰もが納得できるように、ちょっと言い方を変えてみようと思うんだが?」
「ほう、どんなふうに?」
「──つまり、
「……………………ええと、それって単に、『当たり前』のことじゃないの?」
「そうだよ? 『真理』とは往々にして、『当たり前』なことの中にあるものだからな」
「それにしても、何のひねりも無いと言うか……」
「ああ、だったら、少しだけ、付け加えようか? 『本当に素晴らしい国家とは、たとえ外国に対しては、戦争等をふっかけて、その国土を破壊し、無数の人々を殺傷しようが、とにかく自分の国民だけには、利益を与えられる国なのだ』とな」
「──!」
「どうだ、今度はわかりやすいだろ?」
「わかりやすいも何も、それって前にも指摘した、『侵略者の自己正当化のための詭弁』そのものじゃん⁉」
「ところが生憎と、この場合問題となるのは、あくまでも自国民にとっての利益を尊重するか否かで、相手国を完全に蹂躙するどころか、戦争の勝敗すら問わないのだよ。いっそのこと、旗色が悪くなったと見るや、たとえ戦争の比較的早い段階であっても、すぐさま降服して、自国に被害をほとんど及ぼさず、兵隊か非戦闘員かを問わず自国の被害者を少なくして、比較的有利な条件で戦勝国と戦後処理を協議したり、何ならいまだ戦闘を継続中の同盟国を裏切って、敵側に寝返ったりするのも、大いにアリなのだ」
「──それってまんま、『ヘタリア』じゃん⁉」
「そうだ、ヘタリアならぬ『イタリア』だ。にわかミリオタどもときたら、何かと言うとすぐに、イタリアをディスるよな? 『日独伊三国同盟の面汚し』とか、『次はイタリア抜きでやろう』とか。しかしだ、頑なに同盟を守り抜いた日独のほうは、結局どうなった? ドイツは国土を敵国に蹂躙されて、女子供を含む非戦闘員に多大なる被害を出したし、日本に至っては、『カミカゼアタック』などといった人類史上最凶の自爆テロを、若者たちに強要して犬死にさせたりするといった始末。果たして日独伊のうちどの国が、最も自国民の利益を考えていたものやら? もし今一度異世界転生の機会を与えられて、あの当時の日独伊のいずれかの国民に生まれ変わるのを、選ばされるとすると、我なら間違いなく、『最も犬死にをする確率の低い』イタリア人に、転生するのを選ぶぞ?」
「──た、確かに! 浅いミリオタは『格好良さ』だけで、日独ばかりを賞賛するけど、いざ実際に我が身に置き換えてみれば、馬鹿げた負け戦を国土が焼け野原になるまで粘るより、勝ち目が無さそうだと判断した途端、あっさりと降服してくれる政府のほうが、国民として絶対マシじゃん!」
「どうだ、こうして『視点』を変えるだけで、これまでの『近視眼的歴史観』が、どれだけ大間違いだったかわかるだろう? 学者とか政治家とかオタクとかWeb小説家とかいった、『屁理屈』を述べることしか能が無い阿呆どもに、最も足りないのが、まさにこの『自分の身になって考える』と言う、幼稚園時点ですでに教えられている、人間としての基本中の基本であることが、何とも哀れだよな。例えば少々異なる例をもう一つ挙げれば、同じ大国アメリカの国民であっても、第二次世界大戦当時においては、白人にとっては他の国よりも比較的ましな待遇にあったのに対して、最前線において主に『弾よけ』として使われていた有色人種たちにとっては、敗戦国である日独同様に、あまり好ましい環境では無かったのだよ。このように、あくまでも国民一人一人の視点に立てば、同じ国家に対しても、評価が大きく異なることになるのであり、原則的に最高幹部以外は国民皆兵で、自由や民主主義よりも平等主義を尊ぶ、共産主義国家においては、戦争ともなると一兵卒に至るまで士気が高いのは、至極当然のことでしかないのさ」
「いや、国民皆兵って、そのような全国民が平等に戦争に行かなければならない国よりも、そもそも戦争をしない国のほうがいいんじゃないの?」
「──その通り! まさにそれこそが、我々がこの異世界に転生する前に暮らしていた、何よりも平和憲法を尊んでいる、『現代日本』と言うことになるのだよ!」
「……あ」
「本作の作者自身、何度も何度も言っているように、現在の日本は平和憲法に基づいた『専守防衛』ゆえに、世界的にも優れているのであって、実は『自衛隊こそが、世界で最も理想的な軍隊なのだ』と言うことは、まさしく疑いの余地は無いであろう。とにかくこれほど世界有数の強力な軍隊を有しながら、七十年以上も軍事的紛争を起こさずにいて、自国民にはもちろん他国民に対しても、被害をまったく与えなかった日本国こそは、世界一の平和国家と誇っていいだろう」
「い、言われてみれば、まったくその通りじゃん! 何せ戦争と言う、『間違いなく世界における最悪の不利益』を国民に被らせることのない、現日本国政府は、ある意味『自国民の利益を最も守っている政府』と言えるかもね」
「政府にとって不幸なのは、この最大級の『利益』を、ちゃんと認識している国民が、ほとんどいないことなのさ。このまま自衛隊が専守防衛を堅持している限りは、大昔のように他国に無謀なケンカをふっかけて自滅したり、どのような軍事大国であろうと侵略を許したりすることは、けしてあり得ないと言うのにな」
「そうかなあ? 某大人口の共産主義軍事大国が本気で攻めてきたら、ひとたまりもないのでは?」
「わはははは! 現在ネット上においても、大陸人や半島人の工作員や、そのシンパの売国奴どもが、必死に日本sageの根拠として、そのような馬鹿の一つ覚えみたいなことばかり書き込んで、自分の低脳さをさらけ出しているけど、本当にお笑いぐさだよな。あいつら自分たちが、某超大国の指導者様のことを
……まあ、そりゃそうだよな、まともな指導者だったら、あえて『危ない橋を渡る』ような真似は、けしてしないだろうしね。
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