第414話、わたくし、『ゼロの魔法少女』ですの。(その9)
「じゃあ、異世界人って何のために、現代日本人の召喚なんかをしているんだろう? ──あ、もしかしたら、『理由なぞ無いのだ』、『そもそも異世界召喚なんぞが行われているのは、なろう系だけだしな!』が、正解だったりして?」
そのように、一応この世界に勇者として召喚された現役
「──確かになあ、それはそれで正解かも知れないが、そこで話が終わってしまうだろうが⁉ 禁止! 『実は答えが無いのが、答えなのだ!』系の返しは、禁止です!」
わかるわかる、ウザいよね? あの、自分のことを『意識高い系』だと、誤解している作風って。(※あくまでも、本作の作者のことを言っております)
「……いいかあ、人が何らかのアクションを起こす場合、その最大の理由としては、『そうすることが、本人にとって
「うん、だから、『なろう系』そのままに、魔王退治を転生勇者にやらせるのは、異世界の人たちにとっても、ちゃんとメリットがあるじゃないの?」
「魔王である我が言うのも何だけど、その世界の魔王は、その世界の勇者が、退治すべきではないのか? もし、他の世界の力を借りなければ魔王を倒せないとしたら、むしろその世界は、魔王に支配されることこそが、『必然』なのでは?」
「うわっ、いかにも侵略者が、自分を正当化する時に使いたがる、『詭弁』だよな」
「本作の作者によれば、それこそが『世界の選択』だそうだぞ?」
「世界の選択、って……」
「その国の主権のあり方は、その国単独で考えずに、周辺諸国の事情も加味して、一定の広い範囲で考えてみるべきだと言うことさ。例えば、百年ほど前の中国大陸は、『群雄割拠』の混乱の極みにあり、周辺諸国に悪影響を及ぼしかねなかったので、列強各国による『分割統治』が是と認められたし、それに対して現在の中国は、国内事情が安定しているだけでなく、経済的発展も著しいから、共産党政権による支配を、世界から認められているわけなのだ」
「──はあ、何その、あからさまな『後付け理論』は? 単に『現状を追認』しているだけじゃないの?」
「それこそが、『世界が認める』と言うことなのだよ。その地域を本来治めるべき者が納めなければ、当然混乱が生じて、その政権は倒れることになるのだからな。たとえ国際的に批判が大きかろうが、その政権によって国内や周辺諸国が安定しているのなら、その政権は『世界に認められている』ことになるのだ」
「だったら、旧大日本帝国の、満州支配はどうなのよ? 一定期間だったけど、その当時の世界は、日本の満州支配を認めていたわけ? もしそうだとしたら、現在日本が満州を支配していないのは、なぜなの?」
「誤解をしてもらいたくはないのだが、世界が認めるのは『現時点』のみなのだ。今おまえが言及した過去の出来事に関しては、『歴史が認めるかどうか』の話でしかないのだよ」
……う〜ん、それってやっぱり、『後出しジャイケン』的な詭弁にしか、思えないよなあ。
「『あちらの世界』の例え話は、もうその辺でいいから、その(いかにも眉唾の)理論が、この異世界にどう関わってくるわけ?」
「つまり、その異世界の勢力で魔王を倒せないと言うことは、魔王こそがその世界の覇者として認められたと言うことで、すべての異世界人は、魔王の支配に服すべきってことなのだ」
「──結局、『侵略者の理論』そのものじゃん⁉ だったらやはり、他の世界から勇者を召喚することも、やむなしじゃないの⁉」
「それはまさしく、異世界人側からすれば『他力本願』であり、我々日本人からすれば『内政干渉』じゃないのか? 世界の在り方としては、あまり健全とは思えぬがのう?」
「──うっ」
確かにおっしゃっていることは、現実の『国際政治学』的には正しいでしょうけど、それってもしや、『なろう系』作品の全否定じゃないのお⁉
「だったら、異世界人は、何のために現代日本人を、召喚しているのよ⁉」
「──そりゃあ決まっているじゃないか、『NAISEI』のためだよ」
………………………あれ?
「『NAISEI』って、あんた『なろう系』を、全否定していたんじゃないの?」
「──ぶほっ⁉ い、いきなり、何てことを言い出すんだ! 我がいつ、『なろう系』を否定するようなことを言った⁉」
「いや、『転生勇者による魔王退治』を否定するから、てっきり」
「別に、『なろう系』で行われているのは、『魔王退治』だけじゃないだろうが⁉ 『NAISEI』だって、れっきとした『なろう系』のメインテーマの一つではないか!」
「え、でも、『NAISEI』って、召喚術と言うよりも、偶然に異世界に転生した日本人が、将来スローライフwを実現するために、なぜか必然的に行われることになる、一応は『自主的な行動』じゃなかったっけ?」
そもそも、自分が日本人の生まれ変わりだと言うことを隠していることすらも、『デフォ』なんだから、召喚術とは関わり合いはまったく無いじゃん。
「そりゃあ、最初の頃は、おまえの言った通りだったろう。──しかし、現在のように猫も杓子も現代日本から転生者としてやって来て、決まって必ず『NAISEI』をやり始めたら、いくら何でも異世界人だって、そのからくりに気がつくだろうよ」
「ええー、あんなに各作品の主人公たちが、必死に隠しているのにぃ⁉」
「──おまえは、異世界の皆様を、馬鹿にしているのか⁉ あんなあからさまに、『また現代日本人である僕のチート知識が、何かやっちゃいました?』なんて態度をしていたら、嫌でも気がつくわ!」
そ、そうか、そりゃあそうだよな。
「そのようにして、『NAISEI』によってもたらされた、異世界における科学や経済等の長足の進歩に、すっかり味を占めた異世界人たちは、こう考えたわけだ。──いっそのこと、我々の召喚術で現代日本人を大勢呼び込んで、こちらで用意した『作り物のなろう系物語』において、あらかじめ決められたシナリオ通りに演じさせて、自動的に現代日本ならではの最先端の科学知識等を使わせるだけ使わせて、異世界の発展のための『使い捨ての道具』にしようとな」
──‼
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