第394話、わたくし、シ○タゲもジョン・タイターも、論破可能ですの。(その3)

 ──これまでずっと、本作を始めとしてこの作者の諸作品において、さんざっぱら言ってきたよね?




「現実世界と言うものは、『質量不変の法則』等の物理法則に支配されているのだから、人間がいきなりこの世界から消失して、肉体をそのまま伴って別の世界に転移してしまうといった、『タイムトラベル』や『異世界転移』の類いは、絶対に為し得ないのだ」って。




 更には、万が一そんな物理的な世界間転移を実現してしまった場合には、物理学の基本中の基本である、『一つの場所に、二つの物体は、けして同時に存在し得ない』を、無理やりに実現してしまうことになるので、場合によっては二つの物質を構成する素粒子同士が、何かこうSF小説的なわけのわからないw衝突や結合をしでかしてしまうことによって、核爆発並みの大災害が起こりかねないの。


 それと言うのに肝心な当事者であられるジョン・タイター大先生がおっしゃるには、地球自体が公転しているので、タイムマシンで到着してみれば、宇宙空間に放り出される可能性もあり得るので、けしてそんなことにならないように、タイムトラベルの到着時の位置取りについては、いかにも御都合主義的な『万事OK☆』設定を施したから大丈夫だ──とか何とかほざいていたけど、むしろ空気という物質の存在しない、宇宙空間に到着したほうが、生存率が上がるんじゃないのおw




 ──さて、以上の諸々を踏まえると、SF小説に書いてあるようなタイムトラベルや、Web小説でお馴染みの異世界転生なんて、絶対に実現不可能になってしまうかと言うと、さに非ず!




 何度も何度も言っているように、まさにそれを唯一現実的に可能とするのが、人間ならではの『妄想力』だったりするのよ!




 例えば、男子高校生のはちじょうじまキョンろう君が、かまくらしちはま辺りで、海を眺めながら黄昏れていた時に、突然現れた中学生くらいの女の子が、「……キョンくん、もうこれ以上哀しまないで、これからはずっと、私が一緒にいるから。──そう、私こそは未来から、あなたを救うためにやって来た、女子大生の『みらい』なの。私のことは『みらいちゃん』と呼んでね♡」などと、ささやきかけてきた場合、キョン太郎君は、どう反応すればいいでしょうか?



 ええ、そうよ、『ダッシュで逃亡』の一択よ。言わせるんじゃないわよw


 いきなり自分のことを「未来人の女子大生」なんて語り始める、メンヘラ中学生なんか、恐怖以外の何者でも無いじゃない?




 ただし、キョン太郎君は──否、世界中の全人類は、みらいちゃん、彼女が未来人であることを、100%完全に否定することができるでしょうか?




 ……くくくくく、できるわけないわよねえ?


 何せ『妄想癖』なんだから、彼女自身だって自分のことを、完全に未来人だと思い込んでいるんだし。


 えっ? 彼女の親兄弟や幼なじみの友人なんかだったら、みらいちゃんが間違いなくこの時代に生まれて、そのまま何事もなく健やかに暮らしてきたことを、証明することができるんじゃないかですって?


 確かに、肉体的な外見は、そうでしょう。


 では、中身──すなわち、『精神面』のほうは、どうでしょうねえ?




 そうなの、もしも未来人が『精神』だけで、彼女の時代からこの時代にタイムトラベルしてきて、女の子の肉体を乗っ取っていたとしたら、その真偽を判別することなんて、果たして可能かしら?


「精神体だけのタイムトラベルなんて、そんな馬鹿な!」とおっしゃる方もおられるかも知れないけど、あらあら、むしろ皆様にとっては、毎度お馴染みのことじゃないの?




 ──そうよ、異世界転移ならぬ、異世界『転生』よ!


 例えば『戦国転生』なんて、間違いなく『過去へのタイムトラベル』の一種でしょうが?




 これが、現代日本人が自分の肉体をそのまま伴って世界間を移動する場合なら、異世界『転移』と言うことになるけど、もう一度赤ちゃんの頃から戦国時代の人間として生まれ変わるのなら、立派に異世界『転生』と言うことになるわけ。


 そういった次第で、タイムトラベルも異世界転生の一種だとしたら、本作の作者お得意の、『集合的無意識とのアクセス』方式によって、何と現実的に実現できることになるの!


 量子論に則れば、集合的無意識には、ありとあらゆる世界のありとあらゆる時代のありとあらゆる存在の『記憶と知識』が集まってきていることになるから、当然『特定の未来人の記憶と知識』も存在しているので、集合的無意識とアクセスすることさえ可能なら、未来人の記憶や知識を己の脳みそに刷り込むことによって、まさしく『妄想癖』そのまんまに、自分のことを未来人だと思い込むことは、十分にあり得るわけなのよ。


「──いやいや、そもそも集合的無意識とのアクセスなんて、一体どうすればできるんだよ⁉」と思われた方もおられるでしょうが、実はどなた様でも至極簡単に、実現可能なのでございます。



 何せ、今晩にでもいつものように、ただ眠りにつくだけでOKなんですもの。



 そうなのよ、自分のことを本気で『未来人』だとか『異世界人』だとか思い込む『妄想癖』の人って、実は非常にリアルな未来や異世界の夢を見ることによって、「今のは単なる夢なんかじゃ無い! これぞまさしく『前世の記憶』が甦ったのだ!」とか何とか言い出して、自分のことを未来人や異世界人なのだと、完全に信じ込んでしまうわけなのよ。



 ──しかも、その夢が単なる夢なのか、はたまた本当に集合的無意識とのアクセスを果たしたのかは、誰にも区別できないのだから、本物の未来人や異世界人の記憶や知識に触れたとも言えて、事実上タイムトラベルや異世界転生を実現したとも見なせるの。



 この点に関しては、ジョン・タイター自身も、(部分的には)同様な考えに基づいているようで、「タイムトラベルとは実は、時間の異なる異世界パラレルワールドに転移するものである。だからこそ『タイムパラドックス』問題を無効化できるのだ」とか何とかおっしゃっているので、問題は無いでしょう。



 ──ただし、まさにその彼の言うところの、この現実世界と似たり寄ったりの『並行世界パラレルワールド』なるものの定義が、でたらめ極まっているものだから、とても擁護できないのよねえ。



 これに関しては、アニメ版『シュ○ゲ』の本編とも密接に関わってくるから、次回以降に一緒にまとめて詳しくご説明するつもりですので、どうぞご一読のほど、よろしくお願いいたしますわね♡

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