第383話、わたくし、ソビエト空軍の偉大なるSS大佐ですの。(その12)
「……
負傷後の経過も順調なこともあり、久し振りに『職場』である、魔導大陸特設空軍の作戦司令室へと顔を出してみれば、旧友からいきなり驚くべき『内訳話』をされてしまい、つい我ながら間抜けな声を上げてしまった。
そんな、聖レーン転生教団直営『魔法令嬢育成学園』初等部5年D組担任教師である、私ことミサト=アカギのリアクションを、いかにも愉快そうに見つめている、応接用のテーブルの対面に座っている、ストロベリーブロンドの超絶美人。
「別にそんなに驚くことは、無いじゃないの? ──特に、
そう言って、わざとらしく胸元が目立つようにして、腕組みをする悪友。
……さすがは、『サキュバス』、己のセックスアピールを、ようく熟知なされているご様子で。
「ちょっと、『私にとって』って、どういう意味よ?」
「あらあら、おとぼけになって。このすでに
「魔法少女って。むしろあれって、『軍艦擬人化少女』じゃないの?」
「何を今更、軍艦擬人化少女こそが、『最も理想的な魔法少女』を体現しているのは、あなただって先刻ご承知でしょうが? ──ねえ、不定形暗黒生物たる、『ショゴスの王』さん?」
「……その名称で、呼ばないでくれない?」
それは、とても自分の唇から発せられたとは信じられないほどに、昏く重い声音であった。
「あら、そう? ──だったら、『ニャルコちゃん♡』で」
「──おい、ヤメロ!」
しかし、もはや腐れ縁レベルの友には、何ら通用しなかったのでした。
「……それで結局、その『実験世界』は、どうなったの?」
「ご想像通りに、魔法少女にはまったく効き目は無かったものの、人類のほうはウィルスの感染に耐えきれず、見事に『全滅エンド』よ。──どうやらさすがの教団も、『さじ加減』を間違えたようね」
「──ウィルスのほうも、『人造」だったのかよ⁉」
「あんな、異様に感染力が高くて、対応策が何も存在しない、『人間絶対殺すマン☆』そのままのウィルスなんて、自然に生まれてくるわけがないじゃないの?」
「……ああ、わかった、つまりこの世界は、その実験の反省に基づいて、改めて構築し直されているってわけなのね?」
何のことは無い、実はこの世界そのものが、最初から『第2フェーズ』だったのだ。
「さすがね、話が早いわ」
「しかし、人っ子一人いなくなった世界の中で、軍艦擬人化少女たちだけが、何の目的も無くうろついているなんて、どういう『ディストピア』なのよ?」
「案外、軍艦擬人化少女同士で、敵味方に分かれて、延々と『戦争ごっこ』をしていたりしてね♡」
「──一体どこの、『アズ○ン』だよ⁉」
「そういえば、ほんのついさっき、某国の『ビリ○リ動画』が人民政府の意を受けて、『アズ○ン』等のソシャゲを、一日90分以上接続できないようにする、システムの導入を発表したわよ?」
「──香○県かよ⁉」
いや、待てよ?
「……あれ? 確か『アズ○ン』て、香○県の駅前に、『一日一時間アズ○ン‼」とか、広告を出していなかった? つまり、一日一時間半も『アズ○ン』ができる、某国人民政府ほうが、規制が緩いってこと?」
「ええ、そうね」
「ていうことは、香○県は、某人民共和国よりも、国民統制組織だったのかよ⁉」
「ええ、そうね」
「『ええ、そうね』、じゃねえよ⁉ 確か香○県のほうは、自○党系のボス議員が中心になって、条例を制定したんだよな⁉」
「ふっ、人民を弾圧するのに、保守系か革新系かの、違いなんてあるわけないじゃないの? 本当に『代議士制度』なんかで、自分自身の完全なる自由や権利が守れるなんて、おめでたいことを考えるほうが悪いのよ」
「いい加減話を戻すけど、そんなふうに前回の失敗もあったことだし、さすがに教団のほうも、『兵器』に過ぎない人工魔法少女といっても、やはり自律行動可能な『知能』くらいは必要だと痛感して、今回の『実験世界』のように、魔法少女の素体である『ショゴス』に、別の世界から『悪役令嬢』の精神を、
……えー。
「いいの? そんなにあっさりと、『世界の設定』なんかを明かしたりして?」
「別に、構わないんじゃない? どうせこの作品も、今回のWebコンテストの終了とともに、最終回を迎えるんじゃないかと思われるし」
「──だからそんな、メタっぽいことばかり、言うなって言っているんだよ!」
「だって、無数の烏が合体して、ドイツの伝説において災厄をもたらすと言われる凶兆の大烏、『フッケバイン』そのものとなったり、その上ジェット機と融合して更なる形態へと変化しようとするところなんて、まさに前回の『実験世界』における、『
……………………………………あ。
「そういえば、そうじゃない⁉ 実はあの烏の化物って、『あちらの世界』において現在アジア大陸を脅かしている、例の『ウィルス』や『
え? え? 私までメタ的な発言をしてしまっては、アレだけど、今回のシリーズが始まった段階では、例のウィルスについては、それほど騒がれていなかったのでは?
一体、本作の作者って、何者なのよ⁉
「……あー、誤解しないでね、別に本作の作者は、『予言者』でも何でもないわよ? そもそも、すべては『ありふれた
な、なるほど、確かにそうだわ。
ウィルス等による『バイオハザード』なんて、ゲーム等の創作物の中においては、すでにありふれているし、更には『蝗害』ともなると、もはやアジア大陸東部の諸国においては、古来からの『恒例行事』とも言えるっけ。
──うん、待てよ?
「でもさあ、一つだけ、『予言』以外の何物でも無いのが、あるじゃないの?」
「えっ、そんなの、あったっけ?」
「敵の『悪役令嬢』を、ドイツ人──しかも、旧第三帝国の
「──ホンマ、むちゃくちゃ、タイムリーじゃん⁉ まるでここ数日中に起こることを、前もって予測していたみたいじゃないの!」
「『ドイツのライプツィヒのサッカースタジアムにおける、日本人観戦者グループの追い出し事件』、実はこれは、単に『コロナウィルス感染問題』にとどまらず、現在のドイツの国内事情と、世界中の誰もが知り得る『ドイツ人の本性』とに、深く関わってくるの」
「ど、ドイツの、国内事情と本性、って?」
「まず、ライプツィヒは旧東ドイツ地域に含まれていて、当然現在においても、『共産主義思想』が深く根を下ろしていて、自分たちのイデオロギーに反する者は、『粛正』も辞さないという過激な資質を備えているとともに、当然のごとく、旧西ドイツ地域に比べて経済的には格段に劣っており、常に貧困にあえいでいるために、ライプツィヒのみならず旧東独全域にわたって、非常に不満がくすぶっているのよ」
「……ああ、まあ、念願の統一を果たしたものの、それ以来の『東西格差』は、ドイツにおける最大の『国内問題』であり続けているわよね」
「そうそう、そうなのよ! まさにそんな『国内問題』を抱えていながら、『移民ウエルカム☆』な政策を大々的に展開するものだから、とうとう寝た子を起こすことになり、ドイツ人の忌むべき『本性』が現れ始めているの!」
「うわっ、先が読めた! ……つまり、その『本性』てのは?」
「──もちろん、『
「やっぱりいいいいいいいいいいいいいい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます