第307話、わたくし、最初の艦む○、『エースの赤城』ですの♡(中編)
「目標──原初の
「肉体も完全に固定しておらず、四肢の一部では、
分析クルーたちの報告通り、海面から上半身を覗かせた
その、まさしくこの世のものとは思えない異様なる光景を目の当たりにして、我がサルベージ船の
「……ちょっと、まずいんじゃないですか、ポッチさん? あれって完全に、『エヴ○』の旧劇場版の、『リ○ス』じゃないですかあ? 見開かれた瞳も、鮮血のごとく真っ赤だし」
「──な、何を言うか! あれはリ○スなどではない! 『
「はあ? ショゴスって……」
「……君は、かの有名な、『不定型なメイドさん』を、知らないのかね?」
「ああ、クトゥルフ神話において、旧支配者『古きもの』によって創造されたと言う、『不定型生物』のことでしたっけ。一応奉仕種族であるとともに、主に海中を行動範囲にしていますから、本作を含むいろいろな作品において、『メイド』とか『
「……いや、そんなメタ的なことを言っているわけではなくてだな、あの無数のショゴスで形成された
「は? ショゴスが、最初の軍艦擬人化美少女キャラって……」
「まあ、見ていれば、わかるよ」
「……はあ」
あえて言葉足らずに留める私の台詞に、訝しげな表情となり、気の抜けた返事をするルーク。
まさに、その時であった。
「──
「髪の毛が、みるみるうちに、黒く染まっていきます!」
「大理石のように無機質だった全身の素肌も、血の気が差し始めました!」
「瞳のほうも、赤から黒へと、移行中!」
次々に耳に飛び込んでくるクルーたちの報告通りに、巨大なホログラムスクリーンの中では、
さすがに新大陸一の腹黒男のルークも、相当面食らっているようであった。
「こ、これは……」
「そうだ、これこそが、
「へ、兵器、ですか?」
「──ほら、ご覧」
そうこうしているうちにも、ちっぽけな人間どもの慌てぶりなぞ一顧だにせず、悠々と海中から両手を持ち上げて、いったん握り合わせたかと思えば、今度はゆっくりと両腕ごと開け広げていく。
「「「──なっ⁉」」」
両の手のひらの皮膚がお互いに糸引いていたかと思えば、どんどんと距離が開いていくにつれて、極東風の『弓』を象っていったのである。
更には、長い黒髪の幾房かが、緑色になるとともに、実物大のレシプロ戦闘機数十機へと変化していった。
そのうちの一機を弓につがえて、あたかも『試し打ち』とばかりに、ほぼ真上へと向かって放つ、
「「「──うおっ⁉」」」
遙か大空へと文字通り『矢のごとく』飛翔したかと思えば、すぐさま鋭く弧を描いて急角度で落下し始めて、『彼女』自身や我がサルベージ船の、すぐ直前の海面に着弾するや、あたかも水蒸気爆発でも起こしたかのように、盛大な轟音とともに水柱がほとばしり、周辺一帯の海面は大揺れに揺れまくり、巨大なサルベージ船が木の葉のように翻弄されて、ここ
「えっ、今のって確か、
「零戦と言っても、『カミカゼアタック』専用機だから、機首に『特殊な爆弾』でも詰め込んでいたんだろう」
「
「大丈夫だ、言っただろう? あの
「……『エースの赤城』? 『艦○れの赤城』よりも以前から存在していた、『
「言っておくが、これは別に、チンケな『対立煽り』なんかを仕組んでいるわけではないからな? そもそも『エースの赤城』も今となっては、『艦○れ』グループの一員と言えるし…………『
「──どうして急に、旧帝国海軍の海防艦の名前なんか、叫んだし⁉」
「そもそも、このように全身真っ白で瞳だけ真っ赤だった、巨大な美少女キャラが、黒髪の極東風美人の軍艦擬人化キャラとなったのも、この『
「……いや、何で『軍艦擬人化美少女キャラ』が、こんなに巨大なんですか?」
「実はSF小説等のお約束的にも、ロボット等のいわゆる『人造人間』の類いを、本物の人間同等の性能を有するように作成するとなると、特にいわゆる『電子頭脳』を、人間並みの『自然な思考』を可能とするレベルにするためには、人間の頭脳の数十倍の大きさの超高性能のコンピュータを搭載しなければならず、そうなると必然的に、電子頭脳を収容する頭部はもちろん、全体的に巨大化しなければならなくなるから、こうした人造人間のプロトタイプは、『巨大美少女』とならざるを得ないのだよ。更には、本作の作者においては、以前にも述べたように、『軍艦擬人化美少女キャラはむしろ、軍艦並みに巨大であるほうが、よほど効率的なんじゃね?』という、至極妥当な考え方に基づいていることだしな」
「また、メタ的なことを言い出したりして………まあ、確かに、軍艦の力をフルに発揮させるなら、軍艦と同じ大きさにしたほうが望ましいのは、当然でしょうなあ。──いやでも、これって、『艦○れ』どころか『アズ○ン』までも含めて、軍艦擬人化作品の、全否定になっているんじゃありませんか⁉」
「そうとは限らんぞ? 特に『艦○れ』なんて、プレイヤーの
「──駄目じゃん⁉」
そんなこんなと、いつもながらのお馬鹿なやり取りを行っていた、
「──ちょっと、今度はどこに向けて、矢をつがえているんですか⁉」
「……方向的には、魔導大陸のほうかな」
「ポッチさん、何を落ち着いているんですか? さっきの
「仕方ないだろう、元々
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