第271話、わたくし、ジェット機誕生80周年を言祝ぎますの。【Me262版・前編】

「──He162実験部隊『エーザウ』の司令大佐にして、『魔法令嬢育成学園』初等部六年生でもある、ヘルベーラ=イーレフェルトです。前回と前々回の【ジェット機誕生80周年記念番外編】において、第二次世界大戦時のドイツによって開発された、黎明期ながらもしっかりと実用的なジェット機群の、『機体設計』や『ジェットエンジン』が、他の列強諸国よりも段違いに優秀だったことが判明したわけだけど、これとは別につい先日特集を組んだばかりの、ドイツ空軍を代表する世界初の実用ジェット機であるMe262については、どうだったのよ」




「いい質問なの。──読者の皆様、こんにちは、いつでもどこでもあなたのスマホにお邪魔する都市伝説的美幼女、あたしメリーさんなの。まさにドイツとポーランドとの歴史的係争地である『ポメラニア地方』ご出身にして、現在もポメラニアンと合体して犬耳を生やしている、これまたドイツ空軍を代表するジェット戦闘機He162の妖精的存在である、『ザラマンダー幼女団』の五人を我が身にまとわりつかせている、ヘルベーラ大佐が言ったように、せっかくだから以前行った【Me262解説コーナー】の補足説明的なことを、今回特別にやっておこうと思うの」




「……とはいえ、また性懲りもなく本編とは外れたことをするのは、読者様には申し訳ないと思うんだけどね」


「そんなことは無いの、結構この【ドイツ製ジェット機解説コーナー】は、読者の皆様に人気のようなの。それに本来なら今回は、巷の流行に乗って、『シ○ミ子が悪いんだよ』ネタで一本エピソードを創ろうとしていたくらいなんだから、むしろ【ドイツ製ジェット機解説コーナー】のほうが、本作においてはまだしも『定番』と言えるの」


「あのアホ作者、確かに本作にはサキュバスが二人も登場しているとはいえ、何と節操の無い……ッ」


「他にもユネコちゃんあたりが、『……タチコお姉様が、悪いんですよ?』とか言って、問答無用に襲いかかるといった、ネタも用意されていたの」


「もうそれ、『まちカ○まぞく』だか『マリ○て』だか、わからないじゃないの⁉」


「それに比べれば、今回の番外編は、よほどましだと思うの」


「う〜ん、そう言われてみると、『シ○ミ子』ちゃんネタのほうも、見てみたい気がしてきたけど」


「──そういう趣味だったの⁉ いきなりあたし的に、最大のピンチに陥ってしまったの! そういえばこのところずっと、いたいけな幼女を五人も張り付けたままだし⁉」


「……こらこら、人を『ユロリコーン(たった今考えついた、『百合+ロリコン』からなる造語)』みたいに言うんじゃ無いの、ただの好奇心に過ぎないんだから。それよりも、とっとと解説コーナーを始めなさいよ?」


「合点承知なの、むしろこの話題を引き延ばしても、誰も幸せにはならないの」


「それで、Me262って、『機体設計』や『ジェットエンジン』において、どれだけ特別な存在だったわけ?」


「まず機体設計についてだけど、基本コンセプトしては当然のごとく、当時最先端の革新的軍用機たるジェット機ならではに、何よりもその『速度性』に重点を置いて考案されており、とにかくスピードが出るように設計されていたの」


「え? ジェット機なんてジェットエンジンさえ積んでいれば、プロペラ機なんかよりもスピードが出るはずなんだから、機体デザインなんて、それほど重要視しなくてもいいんじゃないの?」


「それこそ、素人ならではの浅はかさ──と言いたいところだけど、何と当時のイギリスやアメリカのプロの技術者たちさえも陥ってしまった、致命的な『落とし穴』だったの」


「落とし穴って……」


「いくらジェット機でも機体設計をいい加減にしてしまうと、何と一番肝心な点である速度についても、プロペラ機に劣ってしまいかねない──つうか、当時実際に製造された英米のジェット機のほぼ全部が、プロペラ機並みかそれ以下だったの」


「ジェットエンジンを搭載しているというのに、プロペラ機以下の速度しか出せなかったですってえ⁉」


「それだけ機体設計も、ジェットエンジン並みに、ジェット機にとっては重要だったということなの。事実Me262の開発においても、胴体は極力空気抵抗を無くすために、見るからにスマートな流線型だったし、コクピットや主翼や尾翼の位置や形も、できるだけ空気抵抗やお互いの干渉を低減させるようにデザインされていたの、特にMe262の胴体の代名詞とも言える、あの非常に特徴的な三角形の『おにぎり型』は、できるだけ空気抵抗の少ないスマートさと、できるだけ多くの燃料を搭載するために十分なる体積とを確保しようとした、最も理想的な形態なの」


「た、確かに、あの燕や鮫を彷彿とさせる、シャープな機体は、いかにもスピードが出そうだよね」


「そしてジェット機開発において高速性を追求するに当たって、英米が軽視して大失敗に終わったのに対して、ドイツだけが重視して成功を果たしたのは、主翼の面積を極力少なくするとともに、翼厚のほうもギリギリまで薄くすることだったの」


「そう言われてみるとMe262って、まさしく戦後の超高速ジェット機並みに、『本当にこんな薄くて小さな翼で、ちゃんと浮力を稼いで空を飛ぶことができるのか?』と言いたくなるほど、いかにも時代を超越した本格的なジェット機ならではに、『先鋭的ラディカル』過ぎるんじゃないの?」


「そうなの、まさしく『浮力』と『高速性』は相反するからして、もはや飛行機としてのていをなさぬほど、薄くて小さな翼のほうが、重量はもちろん空気抵抗も少なく、いかにも空気を切り裂いて飛んでいくといった感じで、高速性においては欠かせないファクターなの」


「それはわかるんだけど、こんなに極端に薄く小さくて、ちゃんと翼の役割を果たせるの⁉」


「……そこら辺はまさに、おっしゃる通りで、さすがにここまで薄くて小さかったら、『浮力』のほうが犠牲になってしまい、特に離着陸に難があって、初期の試作機においては、離陸時に事故が頻出したほどなの。──とはいえそれも、後輪式の降着装置を有するプロペラ機に対して、前輪式に改めるとともに、更には離陸時には補助ロケットを併用することによって、正常な離発着を実現することに成功したの」


「そういえば、Me262って、離発着時において敵機に狙い撃ちにされて、撃墜されるケースが多かったんだっけ?」


「それについては、エンジン自体の加速性が悪かったことも、大きな要因となっていたの」


「ジェットエンジンの、加速性が悪かったというのは?」




「当時のジェットエンジンは、どの国においてもいまだ『試行錯誤』の段階であったゆえに、どれも似たようなものだけど、急激に出力を上げたり下げたりしたら、エンジン自体が対応できず、下手するとエンストしてしまいかねないので、スロットルレバーの操作には、常に慎重を要して、急な加速や減速は御法度だったの」




「……ああ、確かに当時のドイツ製のジェットエンジンって、よその国のやつよりも高性能ではあるものの、いろいろと不具合を抱えていたことでも有名だったっけ」




「それについては、【後編】において、詳しく述べようと思うの。──というわけで、読者の皆様におかれましては、【後編】のほうも、どうぞよろしくお願いいたします♡」













「──これって番外編なのに、後編に続くのかよ⁉」


「しかも本日中に、公開予定なの♫」

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